淡々と常の日に戻り餓鬼の首/高村薫『マークスの山』読了

マークスの山(上) 講談社文庫 マークスの山(下) 講談社文庫
マークスの山(上)マークスの山(下) 高村 薫
高村薫のマークスの山、読了。
1995年に映画化されたときも、それが話題になったときも全然興味がわかなかったものですが、今、夏の高村薫イッキヨミ月間に入っているものでして。。
舞鶴の原子力発電をめぐるアラフォー男子二人の冒険活劇「神の火」は、なんというか中部・東海の山岳地帯に生まれ育った私にとっては、北朝鮮の工作員やロシアのスパイが暗躍するような物語は、正直、現実離れしすぎていてぴんとこないところが多かったのですが、マークスの山は南アルプスが舞台。舞台となった北岳は、物語では山梨県側から入りますが、私の地元からも反対側から拝むことができ、それだけでも親近感がわくってもんですよ! ふんがー! 
夏休みの読書にふさわしい夢中になれる物語でした。登場人物の人生に事件をずっしりと落としこむ感じがすごく好き。残り20ページしかないのか、と久々に思いました。
この物語は、閨閥の人種と市井の人種の、決して交わらない物語でもあり、あら、これなにかに似ているわ、あら、あれよ、あれ、『本格小説』よ!、と気がついた次第。
本格小説〈上〉 (新潮文庫) 本格小説〈下〉 (新潮文庫)
本格小説〈上〉 (新潮文庫)本格小説〈下〉 (新潮文庫)水村 美苗
とはいえ、本格的な刑事小説でもありまして、『なに、刑事さんたちのこの行動力と体力、私には絶対無理!!!』と何度も思いましたよ・よよよ。

2 COMMENTS

えつこ

はじめまして。夏の高村薫イッキヨミ月間だなんてすてきだわ!と思い書き込みします。「マークスの山」、映画もぜひ。小説と切りくち(犯行じゃなくて物語の)が違うので好き嫌いわかれそうですけれど・・・イッキヨミ順的に次は「照柿」でしょうか。夏に読むにうってつけですね。
では。本のはなしもすきですが一番はウカちゃんの写真。いつも楽しみにしてます。とくに手!いや足か?ウカさまならなんでもいいっす。

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スガ

えつこさま、はじめまして(でしょうか?)
『照柿』はなぜか単行本発売時にすぐに読んでおりまして、老後(?)の楽しみにとっておいた『マークスの山』を今回うっかり読んでしまって・・・。吾妻さんと一緒に仕事してみたいなーと思いましたよ☆ 映画も、見てみますね。演技がちゃんとできる人たちがでていた時代の作品でしょうから。
ウカちゃん写真2枚アップしておきましたー。今後ともよろしくお願いいたします。ニャッハー!

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