「カネ」って、つまりは人間関係だ - この世でいちばん大事な「カネ」の話 西原理恵子


この世でいちばん大事な「カネ」の話 
西原理恵子 (装丁・祖父江慎) 理論社
この本は理論社の「より道パンセ」という中学生以上向けのすべての人に向けられた、生きていくためのリアルなテーマを描いたシリーズの中のひとつのもの。
お金のことを語ろうとすると一面的なことでは済まされず、この本では、彼女のおいたち、ふるさと高知を出て美大に入学し、最下位の美大生が働いてお金を稼ぎ出すようになるまで、ギャンブル・為替・FX、そして最後に仕事のこと、働くということ、人生のこと、というようにいろいろな角度から語られています。
あっちゃこっちゃに飛んでるようでいて、結構系統立てて話が進められています。貧乏だった自分の若い頃を思い出しながら読み、これからの人生のすごし方を考えるのもよし、これから大人になるお子さんと一緒に話し合いながら読むのもよし! 世のお父さん・お母さんたちが言いづらいことを、大変わかりやすくゆるぎのない文章でたくさん語られています。「最下位には最下位の戦い方がある」「働くこと。働きつづけるってことが、まるで『自家発電』みたいに、わたしがその日を明るくがんばるためのエンジンになってくれたのよ」とか、「人の気持ちと人のカネだけはアテにするな」とか「人が喜んでくれる仕事って長持ちするんだよ」とかね。これを読んでまたひとつ、親への感謝を深くしたわたしです。装丁も楽しかよ! 祖父江さん魂炸裂よ!
ご興味のある方、たったの定価1300円です。金持ち父さんにもならなくってもいい、年収10倍の自分を目指さなくてもいい、だけど、お金というものの本質を真っ向からきちんと捉え、幸せな人生をまともに過ごすということはどういうことか考えるよい機会になるのではないかと思います。特に最終章、私は涙を流さずにはいられませんでした。
これを読んだら次は、『毎日かあさん(5(黒潮家族編))』を読むといいです。女の人生は一本道なんだなぁと痛感できます。引き返すことはできないんだなぁ。
三連休の思い出総括、蛤の酒蒸しどっちゃり、ベトナム刺繍ハンカチーフ、コーヒー、辛子明太子。ところで今夜もI氏がいいこといってるぜ!
【「蟹工船」化現象の背景】
今のいわゆる「派遣切り」問題に繋がる直接的な「因」は、冒頭にもあるように平成16年(2004年)施行の「改正派遣法」である。それが今回の世界恐慌という「縁」によって、「派遣切り」という「果」をもたらしたのだ。
政府も経済界もみな世界恐慌を「因」のように語っているがそれは責任転嫁のゴマカシである。事実は逆だ。世界恐慌はあくまで「縁」。「因」がなければ、今回のような「果」は起きないのだ。

続きはWebで! (これもWebだけど)
芭蕉の俳句の推敲遍歴だそうです。(NHK教育にて)
1.山寺や石にしみつく蝉の声
2.さびしさや岩にしみ込蝉のこゑ
3.閑さや岩にしみ入蝉の声

5 COMMENTS

かちゃにゃ

他所様の本棚を覗く、というのは
なかなかさせてもらえないことではありますが
自分から手に取らない本をこちらで紹介されていて
興味がわくこと度々です。
遅ればせながら今年もよろしくお願いします。
私の今年最初の本はディック・フランシスです<読み終わってない

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ようこ

「この世でいちばん大事な「カネ」の話」、早速読みました。働いてお金を稼ぐ、ということの本質を、ここまでえぐった本はなかったのでは?電車の中で読んだので、あふれる涙に、かなり気まずい思いをしましたが、でも、車内の乗客に「これ読んでよ~」と話しかけたくなるほどでした。いや、いいもん紹介していただきました。ありがとうございます。

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スガ

わーようこさんにそういってもらえてすごくうれしいです(ひらがなばかりで頭が悪いみたいですみません)。私も読むまではここまで「うっ」とくる本だとは思っていなかったのです。「一ヶ月30万」のリアリティとかね、ああいう感覚を忘れずにしたいものです。

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スガ

あ、たぶん、私が知ってる「ようこ」さんだと思っての書き込みです。違っていたらごめんなさい!

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ようこ

あ。たぶん大丈夫のようこです。
すみません、ハンドルネーム、あちこちにコメント書いていたら、なんだか混乱してしまったのです。ばかばか。

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