伊勢丹の二階で泡と近松忌/川上弘美「いとしい」

いとしい (幻冬舎文庫)

あらすじはamazonの作品紹介から。2000年の作品、幻冬舎文庫。
「好きになるということは、好きになると決めること」母性より女性を匂わせる母と、売れない春画を描く義父に育てられた姉妹ユリエとマリエ。温かく濃密な毎日の果てに、二人はそれぞれの愛を見つける。高校教師になった妹マリエは教え子のミドリ子の兄と恋に落ちるが、ミドリ子の愛人は母の恋人だった…。芥川賞作家が描く、傑作恋愛小説。

ふわふわした夢みたいな話かと思ってあわあわと川上弘美の世界にどっぷり浸って読み進めていくのだが、最後に夢から醒めるようにして主人公は恋を失う。川上弘美は喪失していくことを描くのが本当にうまいねぇ。やさしい日本語で描かれていく失恋の描写に、読む速度がとても遅くなっていく。どっぷりはまった。「恋の小説が読みたいのー」という人にはぜひ進めたいですな、「いとしい」と「センセイの鞄」を。

その「夢みたいな話」には村上春樹の「1Q84」の空気さなぎみたいなものも登場してきて、あら、春樹たんはこれを読んでから1Q84を書いたのかちらんと思っちゃったくらい。川上弘美の新作が出てましたね。読もうっと。
水声


伊勢丹の二階の洋服売り場の中に「ザ・スタンド」という小さいカフェがありますざんしょ。あそこで一杯引っ掛け(なにしろブリュット一杯がワンコインで飲める)ながら、この本を読み終えた。楽しく愉快にお買い物をしている大陸からのお客様たちを横目に、あぁこういう風景、ロンドンのハロッズでも見たなーと思いながら。ハロッズは中東からのお客様でいっぱいだった。外国からのお客様を見ると、ぜひ滞在を楽しんでいってね、といつも思いますよ。よい旅を!

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