白衣光りみんな美人に見えまして/9泊10日手術入院ツアーの巻 その3 入院ライフ淡々と


入院5日め、作業している談話室に自動的にランチが運ばれてくるほどのフリーダム患者っぷり。

手術当日、その後

半分麻酔が効いたまま、病室のベッドに戻されました。冷涼な手術室にいたためか身体が冷えきっており、歯の根が合わず「寒い・・寒い・・・毛布ください」とお願いし、電子掛毛布をかけてもらいました。ひとまず身体が暖まってくると眠気が襲ってきて、点滴や抗生剤を受けたりしながらうつらうつら。45分寝て15分ほど目が覚めて、また45分ほど寝ての繰り返し。手術前に「メガネや入れ歯、コンタクトレンズはすべてはずしてください」と注意されるのですが、このときも裸眼で視力0.0*となどという視界、目覚めていたところでなにが見えるわけでもございません。

手術直後は、以下のものを装着しておりました。
・酸素マスク
・肺血栓防止のためのフットマッサージ
・硬膜外カテーテル(背中に)
・膀胱留置カテーテル(平たくいうとお小水タンク)
・点滴用チューブ
・心電図モニター
・血液酸素マーカー

盛りだくさんです。もちろん手術直後は絶食絶飲です、水が欲しかったらうがいをしてその水で湿り気を唇に与えるのみです。水が飲めないのがこれだけ辛いとは。看護師さんが定期的に点滴を変えたり、抗生剤を入れ替えたりしているのですが、白衣の美人がきてまたなにかやってくなーくらいの視界です。LINEで姉たちが「大丈夫!?」と長めのメールをよこしたのですが、「大丈夫、寝てる。また寝る」という男らしい返信をしたのみでした。

手術後6時間経過したのち、酸素マスクが外され多少身体が楽になりました。背中に大きな枕をあてがわれ身体を横たえてみると、空っぽになったお腹の中で小腸や大腸などの長めの臓器がざばーっと動く音がします。これはぎぼちわるい。。また仰向けになり、こりゃーえらいサイズの塊が無くなったんだなと改めて認識しました。おぉ、恐ろしや恐ろしや。

 

手術後2日目 入院3日目

この日も一日うつらうつら。フットマッサージと心電図モニターと血液酸素マーカーが外されました。ちょっと身軽になってほっと一息ついてると、看護師さんが「さぁー歩きましょうねー、歩かないと治りませんよー」と笑顔で登場。
点滴を吊るすあの柱みたいなのを持ってきて、膀胱留置カテーテルと点滴、硬膜外カテーテルをひっかけて、「さぁ歩きましょう!」。いええええ、短い距離を歩いても心臓がバクバクし息苦しくなる。もう辛い辛い、ベッドに帰らせてー、と病室からナースステーションの入り口まで歩き、すぐベッドに戻る。

思ったよりダメージでかいのね、と思っていたところ、ランチが登場。重湯とりんごジュースとスープ。パックのりんごジュースがとてもおいしかった。水分がしみていく感じ。唇がガッサガサで、鏡にうつった自分の顔も明らかに老けこんでいたところに、命のりんごジュースでした。

この日は夜も重湯、スープ、ジュースの流動食。友達や家族とちょこっとLINEしたり、身体を半分起こしながらiPadで好きな漫画を読みながら、やっぱり腸がゴロゴロするのが気持ち悪くてまたすぐ仰向けになったり、うつらうつらしたりという夜を過ごす。

この日につけていたものは以下の3つ。まだトイレは自力で行けません。
・硬膜外カテーテル(背中に)
・膀胱留置カテーテル(平たくいうとお小水タンク)
・点滴用チューブ

 

手術後3日目 入院4日目

朝食後、尿のカテーテルが外れました。おぉ、かなり身軽になりました! そしてトイレに自分でいけ、と。

もう点滴用のあの脚のついた柱のようなものは貸してくれません。自力で、猫背になりながら、硬膜外カテーテルを片手に下げてトイレに行くのです。あの柱があったらあったでトイレの中では邪魔だし、硬膜外カテーテルも背中から管が出ているのでこいつもなかなかに負担。鏡をじっくりと見ると本当に老けている、土気色ってこういう色を言うんだなとしみじみ思ったり。この日は午後にお友達がお見舞いに来てくれました。いやーありがてえ。いろいろとありがてぇ。このありがたいお見舞いについてはまた別途。

この日の夜、身体についていたものは以下のもの。
・硬膜外カテーテル(背中に)
・点滴用チューブ、抗生剤のみ

 

手術4日目 入院5日目

午前中に点滴用チューブもチューブを受け入れる針も外れ、硬膜外カテーテルも外れました。いやっほう! 身体になにもついていませんよ、身軽に、身軽になりましたよ! 食事もお米の粒がはっきりとわかるお粥になってきています。

この日は月曜日。無事に手術も終わったのでしれっと病室から通常営業しようと思っていましたが、起き上がっていると腸類がごぞごぞ動いてぎぼちわるい。アシスタント嬢の動きをちらちらスマホでチェックしながら、うとうとしていると午後3時頃、お見舞いの人がやってきた。「あ、○○さん、どうしてここが・・・」と言ってるそばから、「あ、●●ちゃん、今日来てくれたの?」と返事してるそばに、「あー、▲▲さん、ようこそいらっしゃいました」と同時に(本当に5分以内に!)三人の方が来たのです。あわわわー、などとやってる間に○○さんはよくよくお礼を言う暇もなく帰られてしまい、●●さんと▲▲さんと談話室に移動。お腹がどうにも収まりがわるく20分ほどしか対応できず申し訳なかった。

その日は仕事もせず、Facebook に「今こういう状況です」と報告文を投稿し、そのまま眠る。まだ身体を横向きにして寝ることができません、どうしたってザバーッという腸が動く音が聞こえるんですもの。1LDKにぎゅうぎゅうと暮らしていた4人家族が転勤になり、地方の100平米のマンションをあてがわれたような違和感を内臓たちが一心に感じていた時期だったのでしょう。

硬膜外カテーテルが外れるとシャワーが使えるようになります。浴室の全身が移る鏡を改めてじっくり見ると、顔が老けているのです、二十才は老けているのです、東京発博多行きの深夜バスに2回連続で乗ったみたいな顔になっています。鏡に写った自分の身体をじっくりみると、傷口には医療用テープが貼られ、皮膚からはハリと生気が失われています。地方の温泉で居合わせる古希を過ぎた年配のご婦人でこういう感じの人がいるよね、と思ったりしました。あわわ、あたい、こんなことになっちまったのかい、と愕然とし、さらにもうひとつ驚きの事実が。

ヘアが無くなってました・・・。

剃られてたんだねー、そりゃー剃るよねー、手術の時、邪魔だもんねー。できましたらこの波平さんみたいな部位を残さず、思い切ってあのそのあのその、と逡巡したりしましたが、まぁ医療でのことですし、いやーこんなつるピカハゲ丸になるとはいやはやいやはや。

カテーテルを外すと、ベッドの上で起きる諸々の問題を自力で解決することになります。ベッドの両サイドの手すりを使って傷跡が傷まないようにゆっくりと起き上がったり、お行儀が悪いのですが、片足を立ち膝にして食事をしたりしていました、そうしないと胃がムカムカして収まりが悪かったのです。その日はなかなか寝付くことができず、iPadで漫画読んだり、youtubeで動画見たりして4時頃ようやく眠りにつきました。

 

手術5日目 入院6日目

朝の検温で39.2度の年初来最高値を叩き出し、看護師さんの顔が一瞬曇りましたが「どうもそういう熱があるって顔してるようには見えないしねー」と放置。おぉぉー、まぁー、ですよね、そうですよね、そういうこともありますよねぇー、なにしろお腹開いてまだ数日しか経ってないんですもののねぇー、身体にもいろいろございますよ!
この日は午前に数時間、午後に数時間、PCで仕事したりしました。

 

手術6日目 入院7日目

一階のファミマで珈琲を買う余裕ができてきました。この日も午前と午後に数時間ずつ軽くお仕事を。ガスは出るけどお通じはまだで、この日の夜に下剤を飲みました。

 

手術7日目 入院8日目

「そろそろお通じがないとねぇ」とドクターが心配してましたが、前夜に飲んだ薬が効いてその日の朝にお通じが! そして立て続けに合計4回もお通じが! これで腸の動きが元に戻ったとドクターも看護師も私も安心。ファミマに朝昼晩に一回ずつおじゃまし、ミネラルウォーターや珈琲を楽しむ日々です。我が家にいるより快適よ。

 

手術8日目 入院9日目

10日目で退院と予定されていましたがが、この日は採血と退院前診察を。朝一番に採血し、その結果を見ながら先生の診察をしてもらいました。手術の傷口を留めていたホッチキスの針も全て抜きます。これはあんまり痛くない、プチンプチンって感じで衝撃が殆どないです。傷口の上には養生テープのような素材のシールをペタペタと貼られ、「これは自然に剥がれるから、自然に剥がれるまでは自分で剥いだりしないように」と注意を受けます。ホッチキスに養生テープ、しまいにダクトテープとか出てくるんじゃないと思ったくらい。

夜、談話室で仕事していたらドクターが「筋腫の写真見る?」と声をかけてくれましたの。手術の経過や病理所見を伝えるための割りとオフィシャルな場のようだったのですが、かなり食いついて見させてもらいましたよ。手術中の写真を見せてもらいましたが、こんなんでしたよ。ちなみに手術写真の拡張子はpngでした。jpgじゃないのね、メモメモ。

でっでかい!!! でかいよ、君!!!! こんなん入ってたの!?

「これね、2700gありました。出血が懸念されていましたが、先生の執刀が上手で80ccしか出血しませんでしたよ。当然輸血もなし。組織にもおかしなところはありませんでした。明日退院です。おめでとうございます。」

2700gって新生児姪っ子の体重と一緒じゃないですか! そんなん抱えて過ごしてたの!? えーっと、ということは、わたくし、2012年にXXkgだったのをダイエットして9kg落として、でも多分そこからも順調に体重落ちていたようで、この夏心労がたたって●●kgになったときって筋腫抜いたらyykgだったっちゅーこと? うわぁ、中学生の時の体重じゃん! あんとき自分の影が細くなってびっくりしたけど、痩せてたんだなぁー、そして高齢出産の星とはもう思われないんだなぁー。

などという計算を頭のなかで素早くさせながら、先生に感謝の言葉を。あぁこれで退院です。その日はちょっと興奮して寝付けなかったのですが、半藤利一のエッセイ読みはじめたら1ページも読み終わる前に眠りにつけました。素晴らしい。

 

手術9日目 入院10日目

この日退院です。クレジットカードで精算したら「もう帰っていいですよー」とあっさりと送り出されました。現金持ち歩かなくて済む入院は本当に楽でした。

気になる治療費など含めて、お話はその4へ、続く。

2 COMMENTS

のの吉

twitter拝見しながら一緒におろおろしたりするぐらいで何もしておりませんが、無事退院おめでとうございます。

養生テープ!は笑いました。私の傷口は縫わず留めずで、ビニールテープ貼っただけでした。
医療というより、なんか文房具っぽいんですよね。

早く回復されますように。

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ukasuga

ありがとうございます。おかげさまで回復しつつあります。でも今週はぼちぼちね★ ビニールテープってあの養生テープでしょうか? 糸と針で縫うより、ホッチキスでバチンバチンのほうが治りが早いのかもしれませんね。医療の進歩を感じた一週間でもありました。

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