青春がまぶしすぎるの春嵐/漫画「ベイビーステップ」

ベイビーステップ(1) (講談社コミックス)

お見舞い全巻ジャイアントキリング一気読みKindleに同梱されていた「ベイビーステップ」既刊全38巻。一度、機内サービスで1巻から3巻まで読んだことがあるけれど、普通の熱血爽やかスポーツ漫画じゃん、と思ってそれほど興味を持たずにいた。それから数年経ち、「あらあら、この漫画も入れてくれたのか」と読み始めてみたけれど・・・、驚いた、「漫画はじめて物語・錦織圭が生まれるまで」とサブタイトルをつけてもいいような作品でした。あらすじはWikipediaから。

几帳面で真面目な男子高校生・丸尾栄一郎が、テニスの魅力に目覚め、成長していく青春ドラマ。
主人公の丸尾栄一郎は、小学生の頃から成績オールAで、クラスメイト達からは「エーちゃん」と呼ばれている普通の高校1年生。ある日、栄一郎の授業用ノートを、隣のクラスの鷹崎奈津に貸すことになり、その神経質に几帳面なノートの凄さから変人扱いされてしまう。後日、運動不足を解消するため、南テニスクラブ(通称STC)の無料体験に参加した栄一郎は、そこで奈津に偶然に会い彼女がプロプレイヤーを目指していることを知り、彼女との会話を通じて本格的にテニスを始めるようになる。
最初こそ体力のなさから小学生にも馬鹿にされる栄一郎であったが、初試合では第5シードの大林良に善戦するなど、意外な才能を見せ、STCのコーチ三浦に目をつけられる。「全てのボールに追いつき、それをコントロールできれば理論的には負けない」という言葉を信条に、類まれなる動体視力と、試合中でもノートで試行錯誤する独自のプレースタイル、そして生来の素直さと生真面目さからくる努力・吸収力により、驚異的なスピードで実力をつけていく。

「テニスって楽しいなー」という少年らしい思いから本気でプロになると決心してからの行動がすごい。錦織くんもこうやってテニスプレイヤーの階段を登りつめて行ったのかとまるで彼のドキュメントを読むよう。主人公の少年は一人っ子だけど、特別裕福な家庭として描かれているわけではない。建設会社社長をおじいちゃんに持ち自宅内に土俵をつくってもらった環境で育った琴奨菊のように格段恵まれているわけでもない。

学校の成績が落ちてきてもそれでも普通の子よりは学力があるけれど、あまりにもテニスに夢中になっているのを少し苦々しく思っていた母親も、父親におされ息子の夢を応援するようになる。二週間のテニス留学を許可し(アメリカのテニススクールに二週間留学するというもの、作品掲載時は38万。プロが見てくれて飛行機代と滞在費入れて38万って逆にやすいような気も)にこやかに成田から送り出す。

いやぁ・・自分に子供がいたとして、こんなふうにできるのかしらと、少年漫画を読んで我が人生を省みる、粛々と省みる。錦織圭の親御さんもこんな気持ちだったのかしら、羽生結弦のお母さんは? 澤穂希さんのお母さんは、サッカーを諦めアメリカで結婚しようとしている澤穂希に対して「あなたが選ぶならそれでもいいけど、そんなことをするためにアメリカに行ったの?」と言ったそうだけど、世界に自分の身体ひとつで羽ばたこうとする子供を見つめる親の気持ちとは!

こういう「思いもよらぬ才能を持ちメキメキ頭角を現していくスポーツ少年を持った親」の描写だと、やはり曽田正人「シャカリキ」のお姉さんとお母さんを思い出しますわよね。「ドカベン」のおじいちゃんとサチコから「ちはやふる」の家族まで、「このスポーツ漫画のこの親がすごい!」というまとめ記事はどこかにないかしら。あるいは、「このコーチがすごい!(漫画編)」とか、そのときには宗像コーチは避けて通れないわよね、えぇ。こうやって親御さんの気持ちで少年漫画を読む年頃になりました。おろろーん!

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