さようなら十輝いりすさんさようなら／宝塚星組公演「こうもり／THE ENTERTAINER！」

昨年夏に鑑賞した宝塚の「ガイズアンドドールズ」でくまちゃんを胸ポケットに入れた十輝いりすさんにはふーっとなって、はっ、待てよ、私の十輝いりすたんファーストコンタクトは大空祐飛さんの「クラシコ・イタリアーノ」ではなかったか、そうだそうだ、あそこで「はふーっ」となったのだ。背が高くて足が長くて新宿は戸山の出身で、大地魔王、じゃなくて大地真央をもっと派手にしたような顔のパーツのくっきりした人で、この世になんてなんて、なんていうの？　なんていえばいいのかしら、不思議に美しく魅了的な女性がいるものなんだー、あわわわー、なんてことなのかしら、同じ人類で！、と思ったのが2012年の冬のこと。

そしてご縁があって昨年の「ガイズ・アンド・ドールズ」を見て敵のマフィアのボスなのになんておちゃめな足長さんとハフハフし、今年のミュージカル「こうもり」でも「このまま専科に行くんですよね？　魅力的なバイプレーヤーとして活躍してくれるんですよね？」という良い役どころで登場しているのでが、この「こうもり」をもって十輝いりすさんは退団。退団。退団。句会マダムが「次の宝塚行く？」と声をかけてくれたとき、「はいはいはいはいはいはい」と勢いよく挙手し、本日行ってまいりました。十輝いりすさん退団。退団。

『こうもり』のあらすじは、宝塚公式サイトから。
“ワルツ王”と呼ばれる、ヨハン・シュトラウス二世の傑作オペレッタ「こうもり」。名曲の数々で彩られ、今なお世界中の人々に愛される作品が、北翔海莉を中心とした星組メンバーにより新たに飛びっ切り愉快なミュージカルとして甦ります。

でね、前回の「ガイズ・アンド・ドールズ」もそうだったんですけど、星組はトップスターの北翔海莉さんと妃海 風さんがスバ抜けて歌がうまいの。紅 ゆずるさんも夢妃 杏瑠さんも勿論うまいけど、トップの男役・娘役が本当に歌がうまく踊りが上手だからこそ、それを活かせる、というか活かしたい演目はバリバリのミュージカル。力がある2人だからこそ、直球勝負のミュージカル！　今回の「こうもり」も景気が良くって無邪気で華やかで色鮮やかなミュージカルなんだけど、とても星組向きな演目なんだと思う。よい題材だったと思う。群舞も独唱もダンスも活き活きとしていて、楽しかったし、衣装も舞台も美しかったよー。同じカラーコーディネートのカップルたちがくるくるくるくる踊るシーンなんてあなたそりゃもうキュートでチャーミングでふわふわしていて泥臭くなくて垢抜けててほんとに素敵だった。現実世界に実装されたメリーゴランドみたいな感じ。これはちょっと引いた位置から舞台を全体で掴みたい完成度。最初のピンク色の群舞とかも鷲掴みっぷりがパネいっす。

後半のショーの「THE ENTERTAINER！」もジャズあり・ポップあり・クラシックあり・さらにまさかのアイドルタイム（男性アイドルよりはるかに姿勢の美しいひとたち！）ありの、星組の魅力がぎーっちりと詰まった闇鍋宝塚。さらにこのショーを貫くしっかりとしたストーリーもあり、宝塚を裏返しにするような演出も楽しく、見ていてまったく退屈しない豪華なエンターテイメントでした。それを支えるのは北翔さんと妃海さんの歌唱力があるからこそで、この2人は本当にすごいなーと。

専科の汝鳥伶さんも出てらしたのですが、彼女が初舞台を踏まれたのがいまから４５年前・・・・くらぁっ・・・・なんてヴェテランヌ！！！　すっごいキャリアですな！　いつまでも元気で舞台に立っていてほしいものです。

そして、十輝いりすさん。チャーミングで背が高くて足が長くてよい声で歌がうまくてステップのキレの良い十輝いりすさん。今回のミュージカルでは警察署長を、ショーでは謎のホニャララ役を。あぁ、もう、すてき。いいにおいがする。なんでか客席の私のところにまで彼女が動くたびによい匂いがするのが伝わってくる。そして宝塚の舞台の彼女を拝めるのは、私は今日が最後。今日が最後、今日が最後。なんでこんな綺麗な生身な人間がいるのかしらー。オセロットみたいな気高さと凛々しさよねー、身長180cm以上あると思うんだけど、なんでー！　我が家のウカちゃまが夢咲ねねちゃんだとしたら、オセロットは十輝いりすさんに譲るわ！（謎の猫トレード）

※うふふふ、ニヤニヤ愛読書☆

今回の席は、前から一桁番目のＳ席。うわーん、なんて舞台の近さ！　宝塚の出し惜しみない演技を身近で感じられる素晴らしいお席！　下手にオペラグラスを使うと焦点があわなくなるような距離！　あぁ、もう、北翔さんがつけてる全部の指輪のデザインまで見えるような位置！　ハフハフ！　さらに私の席は通路側。やめて、あぁー、なんでステージからこんな美男美女たちがわーって降りてきて私の目の前で踊ってるの？　踊り子さんに触れと言ってるの？　お、おちついて、ウカやん、かんざしを太ももに刺し正気を保つのは今よー！！！、ってなくらいのハフハフした時間でございました・・・。なにかが体の中から漏れでた気がするくらいのハフハフタイム・・・・。いやぁ素晴らしかった。

こんな真っ向勝負のミュージカルができる組は星組しかないんだろうなーと思いつつ、この数年で十輝いりすさんの出演作を偶然にもたくさん見ることができたご縁に感謝しつつ、日比谷をあとにしましたとさ。

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宝塚はとても華やかな場所なので「こういうときは逆に流行に左右されないヨージで！」伺ったのですが、劇場に入るとおめかししてないもっさりした女性もちらほらといて、近くの席では氷結果汁のロング缶を飲んでる女性も居たりして（持ち込むにしても、氷結果汁グレープフルーツ味ロング缶かよ！！！）、宝塚から「ハレ」の気配がなくなってしまったのかしらんと若干心配になりました。やっぱさー舞台を見に行く時は、演者の方に敬意示してきちんとした格好でいこうよー。

そして振り返ると「こういうときに周囲の方にも失礼でない服」を選ぶとき、夏はヨージで、冬もヨージなのか、あたしゃ・・・とただいま反省中。まぁ冬は着物もあることだしね。こういうときに謎の猫Ｔシャツを着て行かないくらいの良識は持ち合わせてるわよ、キッキッ！