冬の星トルコの人の祈りかな/メヴラーナ旋回舞踊を見てきたよ

イブラヒムおじさんとコーランの花たち (字幕版)

大阪でセミナー見たあと、神戸まで足を伸ばしてメヴラーナ旋回舞踊を見てきました。トルコの神秘主義宗教の祈りの舞踊です。会自体は、現地の商工会の慈善イベントみたいで、良いお召し物の山手マダムがやはり良いお召し物のかわいらしいお嬢さんと連れ立って「なんかお父さんがチケットもらってきちゃって、おつきあいで行かなくちゃー」といった感じの参加者が多かった。東京からわざわざ足を運んできた人って私くらいだったんでしょうか。正直、場違い。隣に並んだでかい時計と良い生地のスーツをお召になったおじさまたち(つっても私のちょっと同世代)はずーっと喋ってて、途中で退出してくれてほんとにほっとした。

 

メヴラーナ旋回舞踏ってこんな踊り。

概要をざくっとWikipediaるとメヴレヴィー教団は日本語では旋舞教団といわれ、スカートをはいた信者が音楽にあわせて、くるくると回転をし踊るという宗教行為(セマー)で知られる。これは祈りの手段であり、回転は宇宙の運行を表し、回転することで、神との一体を図るというものである、です。

この踊りを、2003年のフランス映画『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』で知りました。いつか機会があったら生で見てみたいものですじゃ、とそのときからずっと思っておりました。4年に一回くらい来日してるみたいで次回のチャンスもゼロではないのですが、今週は大阪でセミナーもあるし、京都の紅葉もきれいそうだし、長野でお父ちゃん入院してるし、ぐるっと関西から中部一周してくればえぇですやんとお出かけしてきました。行ってよかったですたい。

 

旋回舞踏を見ている間、こちらまで敬虔な気持ちになり、彼らの祈りと私の気持ちが同化していく。お母さん、なんで死んじゃったんだろうと思いながら踊りを見つめる。青年から中年まで、老人まで、人生を信仰に捧げた男たちが踊っている。どういう仕立てか知らないけど、ちょっとした動きで裾が水平に持ち上がるくらいにひらひらと動く。光を落とした暗い会場の中で目を細めると風に煽られて地面に落ちていく白い花が旋回している様子を見るようで、ここが神戸という街の中にいるとは思えなくなる。

・・・・思えなくなるんですけど! 途中からっ!! 茶色いお帽子と白いボレロと白いシャツ、白いスカートのおじさまのひとりに目が釘付けになる。トルコのサンタといってもいいようなポコンと出たお腹のおじさん。踊るしろくまみたい。すごくかわいい。サムソン高橋さんのマンガを読みすぎてて、私の中に「中年熊萌え」要素が植え付けられてしまったみたい! だめだめだめ、そんな後ろ暗い目線でこの舞踏を見てはだめ! ダメなんだけど、わー、宗教に関わる人たちって質素な暮らしをしてるからみんなほっそりしてるってわけじゃないの? なんでそんなおおらかでかわいい体型してるの? むぎゅーっとしたらポイーンと弾かれそう!! ポイーンって弾かれたいなー。いやいやいや、遺憾遺憾! こんな敬虔な場所ではしたなくってよ。中には「乙嫁語り」に出てきそうな眼光鋭い細い方もいましたけれどもね。全般的にみんな「くまー」「おおらかー」という感じでね、えぇ。

 

「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」は、こんなお話。
1960年代のパリ。13歳のユダヤ人の少年モモ(ピエール・ブーランジェ)の父(ジルベール・メルキ)が突然家出する。一人ぼっちの彼を助けたのは、トルコ移民のイブラヒム(オマー・シャリフ)だった。
モモは早く経験したくってたまらないんだけど、なかなかうまくいかない。「今日こそは!」と小銭握りしめてお出かけするんだけど、イブラヒムおじさんにつかまって失敗、だけどこれをきっかけに二人は仲良くなっていき・・・というお話。イブラヒムおじさんはモモを故郷に連れていき、この旋回舞踏を見せるのです。10年以上も前にみた映画だというのに、そのワンシーンがとても美しく、深く記憶に残ってました。実物が見られてよかったです。

 

公演の最初にエルトゥールル号遭難事件からイラン・イラク戦争でのトルコ航空による日本人救出作戦など、今日に至るまでのトルコと日本の交流を描いたスライドショーを拝見いたしました。今回は熊本地震復興支援の祈りのために来日し、東京・京都で公演があったようです。神戸では、神戸大震災や其の数年後に起きたトルコ南西部地震などの支援や交流を経て開催となった模様です。「海難」のパンフレットなども置いてありました。美しく長く続く友情の国同士です。これからも仲良く手を取り合っていきたいものですね。

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