藤田和日郎原作・劇団四季「ゴースト&レディ」

先週の話。重篤なネタバレはないつもりです。

竹芝に劇団四季のミュージカル「ゴースト&レディ」を見に行きました。このミュージカルは、日本を代表する漫画家・藤田和日郎の日本の人気漫画「黒博物館 ゴースト アンド レディ」が原作になっています。クリミア戦争の天使と呼ばれたフローレンス・ナイチンゲールと、ひょんなことから彼女の仲間となって戦地までつきあう羽目になったゴースト「グレイ」の物語です。
その「ひょんなことから仲間になる」という事件そのものが、藤田和日郎節の真髄っ!! つまりグレイは、うしおととらの「とら」であり、からくりサーカスの「鳴海にいちゃん」なのです。

黒博物館 ゴースト アンド レディ コミック 全2巻セット [-]

そんな「うしおととら」以来の藤田和日郎ファンのわたくし、劇団四季で大丈夫なのかしら、なんてたってライオン・キングの劇団四季、『心配ないさぁーー』とかグレイが歌っちゃったらどうしようかしら、夏休みのちびっこ大量導入月間に向けて子供向けの内容になっているのではないでしょうかと不安に思いながら、浜松町駅からJR東日本四季劇場[秋]へ徒歩で向かいました。

劇場は新しく、座席は前方座席の良い席、左・中央・右と通路で別れている中央の一番端。前方座席は段差がないので、正直、前の方の頭が被ってしまうこともないわけではないですが、大変良い席。取ってくださった○ちゃん、ありがとう。

そして開幕。登場人物のみなさんがずーーと歌っているけどどうして・・?!と不審に思ったりしましたが、そうでした、私はミュージカルを見に来たのでした。

終幕。

さて、わたしは最初の疑念をお詫びせねばなりますまい。
まずグレイの萩原隆匡さん、誰が本物を連れてこいと行った選手権ナンバーワン。「からくりサーカス」の阿紫花さん的ニヒルさと、「うしおととら」のとらちゃんのチャーミングさを併せ持つセクシー幽霊が魅力爆発、歌がうまい。通路側の席に座っていたのでグレイが近くを通ったときじっくり拝見しましたが、衣装の作り込みの細かさに感心しました。
そしてフローレンスを演じた谷原志音さん、びっくりするほど歌がうまい。最後の熱唱では客席からぐすんぐすん音が漏れておりました。
登場人物たちは適度に圧縮されておりましたが、原作の魅力を損なうものではなく、脚本もよく構成されておりました。

劇中、「???」な演出が二回出てきます。ギャグ・・ってわけでもないんだろうけどどうとらえたらよいのかな、という演出が。しかし、その演出は、本ミュージカルのラストシーンで客席のすべての人を説得させるためのものでした。その瞬間、客席の人々は、このラストシーンに向けて準備されていたシーンがいくつもあったことに気がつくのです。すべてのシーンはこのラストシーンのため。藤田和日郎節大爆発の終幕。ちくしょーいい仕事しやがって! わたしたちは、グスングスンとくぐもった音を立てながら幕が閉じるのを皆で見守ったのです。ぐすんぐすん。

客席には、お迎えの車でやってきたと思しき関係各社のえらいおじさまたちや、劇団四季ファン、また藤田和日郎ファンと思しき男性二人組などもちらほら。えらいおじさまたちが「なかなか大人向きの話なんだねぇ」と感心しているのを小耳に挟みました。また、二十代後半と思われる青年が「誘ってくれてありがとう!こんなにおもしろいと思ってなかった!」と興奮し、その友人の方が「もう一回来ようよ、一ヶ月くらい空けてさ」などと話しています。うんうん、あたい、そういうシーン、漫画「からくりサーカス」で見たことあるーーー!! お芝居のあとも美しいものを拝見させてもらいました。

ナイチンゲールの物語は、今後この話に統一しちゃっていいんじゃないかな。いつかブロードウェイに輸出できればいいよね。そんな日を楽しみにしています。

 

からくりサーカス(1) (少年サンデーコミックス)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください