2016年作品、日本フランス合作映画。
第69回カンヌ国際映画祭にて「ある視点」部門審査員賞受賞。
解説はギンレイホールのサイトから。
郊外で小さな工場を営みながら平穏に暮らしていた夫婦と娘の3人家族。ある日突然、夫の旧い知人で最近まで服役していたという男が現われ、住み込みで働き始める… 圧倒的な人間描写で平凡な家族の心の闇をあぶり出し、家族を問い直す衝撃の家族ドラマ!
大変! 浅野忠信がふらりと平和な家族にやってきたりしちゃったら、奥様が犯されちゃう! エプロンつけたまま、立ったまま、後ろから犯されちゃーうーーー!! という予感をいだきながらふらりと日曜最終回のガラッガラの映画館に行きましたら、やっぱりそういうアレがアレでこれがこうなって、うわぁぁぁん胸糞悪実、予想を遥かに上回る後味悪さ!!! この後味の悪さとアレでアレな感じは真木よう子の「さよなら渓谷」以来、トラウマレベルのエンディングはスピルバーグの「ミスト」並!
浅野忠信の不穏な佇まいときたら筆舌に尽くしがたい。この人の悪役っぷりときたら大変な凄みがある。
主演の筒井真理子さんの役作りが半端ない。物語の間で八年の月日が流れるのですが、深田晃司監督に言わせますと『筒井真理子さんは(中略)物語前半の撮影と後半の撮影の合間の3週間で、章江の見た目をがらりと変えてきてくださいました。年月の経過が一目でわかるその説得力ある変わりぶりには、フランスのポスプロのスタッフも驚いていて、当初中盤に入れていた「8年後」のテロップを外す結果となりました』とのこと。いや、ほんと、この映画、撮影に一年くらい時間あけたのかしらと思っちゃうくらいの役作りっぷり。映画の前半でまだ水っぽい人妻だった彼女が、中盤には肉がたるみ生活に疲れ髪の毛も薄くなった中高年のおばさんに大変身ですよ、この変化をたったの三週間で生み出したのですか。凄まじい女優さんです。
筒井真理子の夫役を演じた古舘寛治さんもよかった。怒ったり眉間にしわ寄せたり怒鳴ったり大泣きすることが俳優の仕事だと思ってる人たちに、彼の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
共演の太賀さんはとてもよい青年俳優。イケのメンじゃないですが(世間水準で言ったら全然ハンサムですけど)、よい俳優さんになってくれることでしょう。楽しみ。聞けば監督は1980年生まれの37歳、ひぃぃ、天才長編映画監督現る!! これからがほんとに楽しみです。
それにしても浅野さん、見るからに不穏で本当に怖い、底が見えない恐ろしさが怖い。胸糞悪みな作品ではありましたが、大変に見応えがありました。よろしければぜひ。あなたの魂が強い日にどうぞ。
※Wikipediaのこの項、あらすじが全部書いてあるので見ないほうがいいですよー。