概況
9/2-9/8 秋になったような気がした!! 今週になって理解した、誤解だった!!! 猫ちゃん体重3.26kg、「なにか水が溜まっているとかそういうんじゃないですよね・・」と、獣医師が遂に心配し始めた! 大丈夫かしら。
モンキーマン
インドの架空の都市を舞台にひとりの男の復讐劇を描いたアクション映画。アメリカ・カナダ・シンガポール・インド合作。ロケ地はインドネシアとのこと、コロナ禍を挟んで大変難航した撮影だったそうです。
ヒンドゥー世界で今も篤く信奉されているハヌマーンという猿の姿の神様がいる。知恵、強さ、勇気、献身、自由の象徴であり、ガネーシャと並ぶ人気の獣神。インド(っぽい国の)の山奥でハヌマーンの物語を主人公が母親から教わるところから物語は始まる・・・・
面白いという評判だったので事前に内容を調べず行ってきた。長身細マッチョ・脱いでもすごい・睫毛長々・手足も長々・漆黒の髪ツヤツヤふさふさの主人公を演じる男性が、どうもスラムドッグ$ミリオネアのあの男の子に見えるんだけど、気の所為かしらどうかしら、こんなにバリバリ武闘派の人だったのかしらと訝しみながら鑑賞しました。
えぇ、彼でした、デーヴ・パテールでした。本作では、監督・脚本・制作・主演をこなす、つまり、デーヴ・パテールのデーヴ・パテールによるデーヴ・パテールのための映画でした。えぇースラムドッグ$ミリオネアのあの男の子が、こんな暴力満載映画を作るとは!
血みどろのアクションなれど動きが洗練されていて目が離せない。デーブさんの身体能力の高さが素晴らしい、ジョン・ウィックよりはるかにキビキビしている。インドで著名なタブラ奏者が出演しており、彼の演奏にあわせてベスト・キッドみたいなシーンになるところ(見ればわかる)からムネアツ度が増していき、物語も加速する。相棒のさえない小悪党のお兄さん、裏社会で生きる美しすぎる女たち、なるほど世界は広く深いのだと改めて感じることができる作品でした。出血ものが平気でしたらぜひぜひ劇場で。
北杜夫「ヤマケイ文庫 どくとるマンボウ青春の山」
終戦前年、避けられぬ死への斑紋を抱きつつ訪れた憧れの上高地。
父との葛藤を胸に対峙した穂高岳。単行本未収録作品を含め新編集。
昆虫や信州の自然に憧れ、松本高校へ入学した北杜夫。入寮してすぐ王ケ頭まで徒歩で行き、山頂で信州すげーーと感動し(松本市内から徒歩で!? パードン?)、次の週には上高地を目指す。新島々から上高地まではバスは走っておらず、ここも徒歩で行く(徒歩で!? パードン?)。上高地の小さな宿に泊まり、徳平峠から穂高を目指し・・・・。
その上高地行きのエピソードがとても鮮やかだったらしく、このエッセイ集にはこの話が何度も出てくる。「こういう編纂ってアリなの?」と心配になるくらい登場してくる。終戦直前の松本近辺の交通事情や宿泊施設の運営などがわかり、当時を知ることができる貴重な記録としても読める。先生はほんとうに上高地が好きだったみたいで、読んでいるそばから私まで上高地に行きたくなってくる。みなさんも、上高地かーどうしたもんかなーと思ったときは、この本を読むといいですよ! 自然しかなかった時代の上高地が目に浮かぶこと請け合いです。
東京国立博物館 平成館「創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」
公式サイトより
京都北郊の紅葉の名所、高雄の神護寺は、和気清麻呂(わけのきよまろ)が建立した高雄山寺を起源とします。唐から帰国した空海が活動の拠点としたことから真言密教の出発点となりました。(中略)平安初期彫刻の最高傑作である国宝「薬師如来立像」や、約230年ぶりの修復を終えた国宝「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」など、空海ゆかりの宝物をはじめ、神護寺に受け継がれる貴重な文化財をご紹介します。
神護寺には二・三回行ったことがある。「ここには国宝の曼荼羅があるんですよ」と聴きましても、「え、このボロそうな寺に?」としか思っていなかった。なので今回、そのヴェールに包まれた神護寺の秘密に触れることができると知り、行ってきた。素晴らしかった。あの曼荼羅は、空海の時代の宇宙の姿なのです。あれを見て衝撃を受けなかった僧侶はいなかったことでしょう。自分の目でみることができてよかったもののひとつとして生涯記憶することでしょう。
しかし、この貴重な国宝をどうやって運んできたのかとても気になった。十二神将とか薬師如来立像とか五大虚空蔵菩薩坐像といった立体物も多いんですのよ? どうやって運んできたの? ウレタンの形取って、それに包んで運んだりしたのかな? 開催中に東京で大地震が起きなくてよかった。漫画「阿・吽」で知ってる名前もたくさんでてきた、漫画読んでおいてよかったーーとも思った。素晴らしかったですね、えぇ、ほんとうに。
映画「エイリアン:ロムルス」
人生初エイリアンが本作。クソな社会に絶望した若者たちがそこから抜け出したはいいが、次の地獄が待っていたというお話。彼らがたどり着いた宇宙ステーションに残る機材が、ファーストエイリアン(というの?)制作時の最先端の機器であることに気がつく。これは往年のファンのみなさまムネアツなことじゃろうてと感じ入りました。おそらく他にもそういうムネアツポイントが散りばめられているのでしょう。
往年のファンとおぼしきといえば、暗闇で歩くには介添の方がいたほうがよいのでは、という年代の高齢男性のお客様がいて、そのふたりが上映中トイレに3回行っててちょっと心配した(出口近くの席だったので)。高齢化社会が進むと、上映中の映画館もうっすらと照明をつけたままになるのではないでしょうかどうでしょうか。
しかし若者たちが虐げられている地獄よ。文明が進みすぎると仕事なんてなくなっちゃうから、じゃぁどういう社会をこの後築いていけばいいのか、そんなこともまで考えてしまいましたよ。
映画「ベイビーわるきゅーれ」
社会不適合者な殺し屋の少女たちが、社会になじむため奮闘する姿を描いた異色青春映画
ふたつ見ても3時間。殺し屋役の伊澤彩織の身体能力がすごく、特に「2」の最後の10分間の格闘シーンは凄まじく、対戦相手の丞威と見事なバトルをかましてくれる。丞威の弟分キャラの人の作り込みがちょっと過剰で「んー」となりましたが、低予算映画だろうによくぞここまで・・と。清掃係の水石亜飛夢さんがイケメンなのになかなかのズッコケっぷりでよかった。このひと、TOKYO VICE で名前がついてる役ででていたのか。かわいい女子高生と暴力と格闘、海外ウケしそうな作品だけどどうかな。
世界を貧困に導く ウォール街を超える悪魔
香港が金融都市としての役目を終わりつつあり、次にその役割を担うのは日本だというので読んでる。
著者のニコラス・シャクソンはイギリス人。イギリス近現代金融史も紹介されてますが、みんながなぜイギリスのことを「ブリカス、ブリカス(ブリティッシュ+カスのネットスラング)」と呼ぶのかその理由がよくわかりました。
先日、チャールズ3世の戴冠式の前後を紹介する「素顔のチャールズ3世 -イギリス 新国王の1年-」というドキュメンタリ番組を見ました。彼らの王冠に埋め込まれた巨大な多数の宝石、その石を貴方がたはどうやって入手したのか、そしてもうそれらは入手できないはずですがそれについてどう思いますか、と質問したくなる内容でした。きれいな顔してるけどHSBCもなかなかえげつない。LVMHの傘下ブランドは、いま、Louis Vuitton、Christian Dior、Celine、Givenchy、Fendi、Loewe、Marc Jacobs、Kenzo、Berluti、Loro Piana、Tiffany & Co.、Bulgari、TAG Heuer、Chaumet、Hublot、Zenith、Moët & Chandon、Dom Pérignon、Hennessy、Veuve Clicquot、Château d’Yquem、Ruinart、Guerlain、Acqua di Parma、Benefit Cosmetics、Fresh、Make Up For Ever、Kenzo Parfums、Sephora、Le Bon Marché、DFS Group って感じなんだけど、なんでこんなにブランドを抱えていくのかその理由も理解できた。金融の悪魔がどれくらいえげつないか、一章読むごとに恐ろしくなっていく。とてもおもしろい。そしてこの本の内容が自分の人生にどう関わっていくのかしっかり見極めていきたい。こういうのを突き詰めると、エイリアンの絶望した若者たちを量産することになっちゃうんじゃないかしら。やだねぇ。