あらすじはamazonから。
1950年秋。サルデーニャ島から初めて本土に渡った祖母は、「石の痛み」にみちびかれて「帰還兵」と出会い、恋に落ちる。いっぽう、互いにベッドの反対側で決して触れずに眠りながらも、夫である祖父には売春宿のサービスを執り行う。狂気ともみまごう人生の奇異。孫娘に祖母が語った禁断の愛の物語。遺された手帖と一通の手紙が、語られなかった真実をあきらかにする。ストイックさとエロティックさが入り混じった不可解な愛のゆくえと、ひとにとっての「書く」という行為の気高さをゆったりとした語り口で描きだす奥行きの深い物語。
「奥行きの深い物語」という表現は、ちょっと変わった面倒な人を「個性的な人だよね」と評することと非常にとよく似ているような気がしますが、なかなかのオチでございました。ギクシャクした訳語ながら(多分、原文はもっとギクシャクしていたのではないかと思います)、日本でいったら大正2年生まれ、第二次世界大戦を若き妻として生きたひとりの女性「祖母」の人生に興味が尽きず、一気に読めてしまう中編です。イタリアにも「女体盛り」的な性愛の趣向があるのかーという変なところにも感心いたしました。新潮クレストブックから。
新潮クレストブック ミレーナ・アグス「祖母の手帖」
https://chidori.kimonomichi.com/?p=12793
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