試される北の大地に辰野金吾/一泊二日マイル消化・「ゴールデン・カムイ」小樽巡礼の旅

だめだ・・・聖地巡礼力が私には足りないっ!!!

先月末に「来月、マイルが失効しますぞえー」というメールが届き、えっ、そんな急に言われても・・・困る・・・というわけで和歌山いけないかな、赤子パンダを見たりちょっと獰猛なビッグサイズの猫ちゃんの絵を見に行くことはできないかしらと探してみたら、南紀白浜便全滅。ぐぬぅ。

というわけで、便数豊富な新千歳空港に空きがあったので小樽に行くことにしました。かつて「北のウォール街」などと言われていた小樽。あの金塊強奪大作戦ロードムービー☆グルメ漫画がなぜ小樽からスタートしたのかその謎を探るために、土曜の早朝、わたくしは羽田空港へ向かったのでした。

 

行ってみて思ったのは、ブラタモリの小樽回を見てから来ればよかった、という圧倒的な小樽知識不足っ!!! 小樽ってー裕次郎記念館と硝子とオルゴールでしょー、あたい、そういうファンシーなのはちょっと・・・と思って、なんの予備知識仕入れず行ったのを大変に後悔しました。この小樽旅、聖地巡礼というより、どちらかというと「大阪近代建築巡り」に近い属性の旅となりました。

物語の舞台となった当時の小樽は、札幌よりも遥かに栄え人口も多く、高名な建築家の手による贅沢にして豪快な銀行や商社の立派な建物が軒を連ねていた街でした。小樽の補完都市として、また軍隊を置くことなどにより機能的に設計された札幌が、次第に人口が増え地位が逆転していきます、それが大正末期。しかしそのとき、函館は小樽よりももっと栄えていたそうで、札幌の二十倍の人口がいたというのですから驚きです。

私は二十年ほど前に函館競馬を見に行きました。「初夏の北海道☆ランララン」と気軽な気持ちで出向きましたらあまりの寒さに震えが止まらず、駅前の商業施設で不本意な上っ張りを買った苦い思い出しかありません。またそのときの函館駅前のなんだか寂れちゃっててすみませんという佇まいも記憶に残っております。

そんな函館・小樽二強時代を経て、現在の札幌一強時代に至ったことを思へば! 
そんな殷賑を極めた都市を舞台にした作品であるならば! 
戦争帰りの行き場のない男たちが、
人の出入りの多い賑やかな都市の近くでうろつき、いかがわしい噂を耳にし、
それにのめりこんでいったとしても、その気持もわからんでもない。

わからんでもない!

 

で、上の建物は、重要文化財旧日本郵船(株)小樽支店。今年の11月から長期修復期間に入ってしまうとのこと、よかった。この建物のことはまるで知らなかったのですが、ゴールデンカムイのスタンプラリーをやってる小樽博物館運河館で係員の女性に進められて共通入館券を買って行きましたが、行ってよかったです。

こちらの写真は、樺太との国境線を決めた「日露国境画定会議」が開かれた会議室。約60畳分の大きさの一枚に織り上げられた絨毯、その絨毯の上に置かれたテーブルクロスも一枚仕立て、大蔵省印刷局で作られたという金唐革紙(上野にある弥太郎一家の屋敷で見たことがある)、重厚で美しい家具。窓がある海側の席にロシア人を座らせ、下座である山側の席に日本人が並び、その会議は5時間に及んだとのことでした。なんとうづくしい会議室! とろりとした硝子窓から見える小樽の海、いぶし銀の光を放つ上品な金唐革紙、このテーブルだってどういう大きさなんでしょう、ちらっとテーブルクロスをめくってみたいものですわ! 設計は佐立七次郎、施工は地元の大工の棟梁山口岩吉。

小樽には辰野金吾設計の「日本銀行旧小樽支店」があり、こちらも現役の建物として使われています。ユーリオンアイスの聖地巡礼で行った唐津でも出会った辰野金吾に北の街でも出会ったわけですが、辰野金吾ってばすげえ、行く先々で出会える建築家おじさん! その他にも素晴らしい建物が多数残っておりました。小樽へはゴールデンカムイ全巻を電子書籍でもっていくんじゃなくて、素直に近代建築や近代史をまとめた本を持っていけばよかった!! なんてボンクラ旅!! マイル消化などという邪な目的で出向いたからこういうことになるのよ!

 

さて、小樽の他の印象といえば、北の海に面したウォール街ということでバンクーバーにも似てるなと思ったり、中国人団体旅行客がファミマで食品を買い占めていて棚が空っぽになっているのを見たり、日本人観光客は全然いないじゃないか、小樽はもうオワコンなのではないかと心配もした、果たして日本人観光客はどこにいるんじゃろうか全然いないじゃないかと思っている矢先に道に迷ってしまい川越市の菓子屋横丁みたいな場所に出くわした、そしたら観光客がたくさんいた、「あ、ここが観光エリアだったのか!」と驚いた、えー、みなさんっ、もっと運河の向こうに見るべきものがたくさんあるような気がするんですけどーこんな土産物屋、どこにでもあるじゃないですかー、なにやってるんですかーと心の中で叫んだり、イオンで買った普通に売ってる烏賊のお刺身がびっくりするほどおいしかったり、紅葉が美しかったり。

泊まったホテルはおそらく過去20年以内にがーっと再開発されたと思われる湾岸沿いのエリアにあり、新しくきれいで部屋からの眺めも素晴らしかった。部屋から対岸のオロロンラインが見えそうなのですよ、素晴らしい。今回は、SU・DO・MA・RIでしたけれどもけれども。

だけれども、こういうつくりの街は神戸でも福岡でも見たことがあります。どうして広い日本で、それぞれに風土が違う日本で、これほどまでに似た作りの街が生まれてしまうんだろう、そして必ずイオンと大資本のドラッグストアが入り、ワオンのステッカーが貼ってあるのを受け入れてしまうんだろう。FeliCa を搭載した電子決済カードで一番決済額が大きいのってWAONなんですって、そんなにイオンに依存した暮らしでいいのでしょうかどうでしょうか! まぁイオンで買った烏賊の刺身、べらぼうにうまかったんですけどっ!!!

 

イオンを創った女 ― 評伝 小嶋千鶴子

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