冷まじや海賊王に俺はなる/義経の東アジア (智慧の海叢書) 小島毅

義経の東アジア (智慧の海叢書)

中国大陸での宋金2大国の抗争が源氏と平氏の命運を分けた―わたしたちになじみの深い「義経像」も「武士道」も、じつは東アジア海域のなかで生まれたものだ。いま話題の源平時代の背景を、日本を超えるスケールで巨視的によみとく。

文章のそこそこに紛れ込まされている書き手の方の小ネタが少々鬱陶しい。「金払いのいい大学のせんせ」的立場でバーなんかにやってくるお客さんならまだしも、本読んでる最中にーもー。でもきっと、これがこのせんせの味なのやもしれませんね。

町田康の「義経記」を読んでて、まぁこれはフィクションなんですけれども、もしかして実在の義経って、木曽義仲なんかと同じくらい迷惑で空気が読めなかった青年貴族だったのではないのかしら、中世の騎士道に憧れてドイツの山奥にお城を作っちゃった人とおなじくらいに、と思ってた矢先に、ある本の参考資料欄に記載されていたので取り寄せて読んでみた。

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この本は2005年の大河ドラマ「義経」の年に義経ブームにあやかって発行されたようですから、滝沢秀明のビジュアルで再生しつつ、しかし敵対する平清盛は2012年の大河ドラマで主役を演じた松山ケンイチで頭に浮かび上がり、海賊王に俺はなる。ふんふん、平清盛のおとうちゃんっていう人が日宋貿易で蓄財し、成金ヤクザ一家の頭の切れる長男坊が政界に食い込むものの、大陸の経済戦争のあおりを食らってしまい、それ同時に東国で農本主義を立ち上げようとした鎌倉幕府と敵対することになり、最後は奇襲戦法しかしてこない野蛮で卑劣な山猿・義経に壇ノ浦で滅亡させられた、と。ひどい! 清盛に同情しちゃう!

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当時、日本で使われていた宋銭。これって、いまのジンバブエでいろいろ面倒くせえからドル札で経済まわそうぜ、みたいな話で、そのかわりに日本からは平泉から金を輸出していた。平泉すごい。兄頼朝と決別した義経は助けを求め、かつてお世話になったその金の産地に逃げていくけど、その逃避行のさなかに「安宅」と「勧進帳」が生まれるんだけど、結局は彼の地で死んでしまう。気の毒! 義経にも同情しちゃう!

学生の頃、歴史の時間で「日宋貿易ってなんでそんなに重要トピックとして扱うの?」と不思議に思っていたけど、この本を読んでその辺の地平がつながった感じ。書き手の方のうんちくが少々鬱陶しいことを除けば面白いご本でございました(二度書いた!)。

しかし、先日読んだ「大飢饉 室町社会を襲う」と読む順番間違えたな。

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