おでん煮る左翼と右翼と大根と/ブレイディみかこ「レフト UKセレブ列伝」「子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から」


長毛種の猫ちゃんのお腹の毛羽たったメレンゲの連なりのような部分が好き。
※写真は本文と関係ありません。

 

 

子どもたちの階級闘争

2017/4/19 出版、内容紹介はAmazonのサイトから
「わたしの政治への関心は、ぜんぶ託児所からはじまった。」
英国の「地べた」を肌感覚で知り、貧困問題や欧州の政治情勢へのユニークな鑑識眼をもつライターとして注目を集めた著者が、保育の現場から、格差と分断の情景をミクロスコピックに描き出す。
2008年に著者が保育士として飛び込んだのは、英国の「平均収入、失業率、疾病率が全国最悪の水準1パーセントに該当する地区」にある無料の託児所。「底辺託児所」とあだ名されたそこは、貧しいが混沌としたエネルギーに溢れ、社会のアナキーな底辺層を体現していた。この託児所に集まる子どもたちや大人たちの生が輝く瞬間、そして彼らの生活が陰鬱に軋む瞬間を、著者の目は鋭敏に捉える。

この託児所は、ブレア政権下で緊縮緊縮緊縮で緊縮しまくった結果、館山の貧しき給食のような事態に追い込まれていく。「貧困は見なかったことにされてしまうのだ」という著者の静かな憤りがずしりとくる。日本でも駅前でBIG ISSUEの販売員さんをみかけたとき、自然と目をそらしてしまうのと同じだ。
そして託児所は一旦閉所し、時を経て移民専門の保育所のようなものに役割を変えていく(正確には英語習得支援センターのようなもの)。しかし当初の地域の子供達の保育園であることには変わりないので、意識高い系の移民ママの子どもたちと、アンダークラスの「チャブ」と呼ばれる若きママたちの子どもたちが一緒に机を並べることになる。そして、「おたくの国のアンダークラスの子たちとは遊ばせたくないざます!」と移民ママたちに詰め寄られるシーンなどは読んでいて暗澹たる気持ちになった。ははっ、多様性とは!

ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝

2014/12/10 出版、内容紹介はAmazonのサイトから。
その「地べた」に目を配ったイギリスのセレブリティたちの発言や思想をまとめたのが、こちら。
ハリー・ポッターやMr.ビーンが左翼ってホント?
12人の英国人セレブの人生を通して、政治リセットの現代に「左翼の意味を問う」。保育士にして英国のいまを見つめる“ゴシップ”・ライター、ブレイディ・みかこによる待望の新刊! Mrビーン、映画監督ケン・ローチやダニー・ボイル、元ハッピー・マンデーズのベズ、元スミスのモリッシー、ビリー・ブラッグ等々……英国大衆文化はかくも「左翼」がお好き。しかし、では、何故に? UK在住の日本人女性ライターが、12人の英国人セレブの人生を通して、政治リセットの現代に「左翼の意味を問う」書き下ろし痛快エッセイ!

この本を読んで初めてロンドン五輪大会のダニー・ボイルの開会式の内容を理解したわけですが、野村萬斎の開会式は一体どうなることかと思いを巡らせた。私の父親は社会党を支持していたのだけれど(今の社民党はだいぶ違う立派な政党だったのです)、父の気持ちも意味もなんとなくわかったような気がした。

しかし「生活保護の分際でいい思いをしている!」「あんな楽ちんな仕事に、そんなに高い給料を!?」などといって緊縮緊縮に追い込んでいくのはイギリスも一緒なのか。「労働者階級の男ひとりの稼ぎで一家を養えなくなったのはなぜなのか」というセレブの言葉も出てくる。それも日本も同じだ。

いやぁ日本もなかなか大変だけど、イギリスも大変なことですなぁ。なんでこんなに生活というものが大変なものになってしまったのか、本当に不思議ですわ。

世界はクソみたいだけど(ブレイディさんの本を読んでいると、こういう単語がするする出るようになってくる)、そういうクソみたいなニュースがひとつでも減る安定した世の中になりますよう。

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