大分にワールドカップを見に行った/イングランド・オーストラリア戦 二泊三日新幹線のぞみ・日豊本線で行く別府拠点乗り鉄の旅!!

これは、軽自動車みたいな体躯の男たちが、不安定な動きをする楕円形のボールを巡って激しく戦う姿を、お茶の間で猫ちゃんと一緒に好きな飲物片手にリラックスして見るのに飽き足らなくなった女が、うっかり準々決勝のチケットを買い求め、急遽、観戦客でひしめく大分に行くことになった記録である。二万字超えちゃったのでゆるゆるとお付き合いください。ラグビー情報少なめです。

10月12日(土) チケット購入

ラグビーワールドカップのマスコット親子「レンジー」にメロメロになり、またサッカーとは一味違うラグビーというスポーツに魅了され、公式サイト・会場運営の行き届いたデザインにノックアウトされ、また、こういう四年に一回のスポーツ大会って見たことないな、次はいつ日本開催になるかわからないし行ってみようかなと軽い気持ちで開いたラグビーワールドカップのチケットサイト。翌週の19日と20日の大分開催の準々決勝に在庫があることを知る。えっえっえっと戸惑いながらも、なぜかマウス操作もなめからに、クレジットカード情報をするする入力し、チケットを購入してしまう。簡単! 破産しかねない高額チケットなのになぜこれほどまでに簡単にするっと買えてしまうのか。4万円かー、結構よい席だといいなーうふふふと甘い考えに浮かれる。

10月17日(木) 全行程の予約完了!

全滅の空路

10月12日、台風19号の情報を見ながら、引き続き飛行機を取りましょうとJALのサイトを覗く。大分便全滅、うふふ、そりゃーワールドカップ開催ともなればそういうこともあるでしょうよ、と次に福岡便を調べる。
福岡-大分間は特急電車もあるし高速バスもある、福岡便も多く飛んでいるからいけるんじゃない、と思ったらこちらも全滅。全日空はどうじゃろう、全滅。スカイマークはどうでしょうか、全滅。
だっ、だったら宮崎はどうでしょう? 特急で3時間かかるけど行けなくはないんじゃないかしらー。全滅。

そこで空路は諦め陸路で行くことにした。新幹線の安いパッケージツアーはないのかと調べたら国内老舗旅行代理店のサイトで「新幹線のぞみ往復・小倉のビジネスホテル一泊付き3万円」という目を覆う価格帯のパッケージ商品を見つける。東京駅から小倉駅までののぞみの運賃がおいくら万円か奥様知ってらして? 22,730円するんざますよ? そこをなんと、往復3万円、しかもビジホ付き! なんですかこれ! これなら土曜の朝に東京出発 → ラグビー見て小倉に戻るという一泊二日の旅にすることができる。旅行代理店の人たちが価格設定のミスに気が付かないうちにすかさず予約・・・しようと思った瞬間、ふと疑問がよぎる。

「小倉から大分までは約1時間半はいいとして、スタジアムまでどうやって移動するの?」
「4万人入るスタジアムだというけど、試合終了後4万人もの観客をどうやって吐き出すの?」

大分別府シャトルバス

次にラグビーワールドカップの大分の公式サイトを確認。

「スタジアムへは大分と別府からシャトルバスが出ています」
「シャトルバスが着いたところからさらに15分歩いてもらいます」
「当日は、福岡から大分までの特急は大変な混雑が見込まれます。乗車できず試合が見られなくなるということもありますのでお早めにお来しください」

特急が混雑するとは! JR九州のサイトで空き情報を見ると、19日(土)の福岡から大分へ行く特急の指定席は、始発のグリーン車を除きすべて満席。ひっ。

その後、実際に大分の観戦をした人のブログを探す。参考になった記事は1件だけ。ラグビー好きの旦那さんに連れられて、また自分も日本の快進撃ににわかに興味を持ち、博多から日帰りでワールドカップを見に行ったご婦人のブログ。「観戦慣れしてなさそうな人だから、率直な意見が聞けて参考になりそうだな」などと失礼な、しかし確かな感触を持ちながら読み進める。

「試合が終わってから大分駅まで戻るのにバスの待ち時間を含めて二時間半、駅でなんとか博多行き最終便に乗れたけど、中津まで座れなかった(※筆者注 大分・中津間は約1時間)。博多の自宅に着いたのは夜中の1時半だった」とのこと。過酷なり、過酷なり日豊本線!!!

しかし他の観戦慣れ&ブログを書き慣れている人のブログを読むと、「バスは8レーンで待っていて満席になったところで8台が一斉に出発する仕組み。少し待ったけどスムーズだった」とも書かれている。ゲーム閉会後の初動を早くすればなんとか帰れそう、だけどJR九州の特急はその日の福岡行きはすべて満席、臨時便も出るだろうけどそんな混雑で自由席にさっと座れる自信はない。

というわけで、土曜朝東京出発→小倉→大分→試合観戦後は小倉へ戻る、という案は却下することに。そもそも東京土曜発というのが無理なのだ、土曜日の始発の特急で小倉から大分に行くのがベストなのだ、別府に早く着くといっても別府は温泉地獄という私が大好きな種類の地獄、待ち時間に温泉をはしごして時間を潰し、シャトルバスでぐったり寝て英気を養えばいいんですよということに気が付き、旅程を大きく変更する。ベースは、先程の『のぞみ往復ホテル一泊付き3万円パッケージツアー』です。

金曜 最終便ののぞみで東京発、日付の変わる頃に小倉着。
   パッケージツアーのビジホ一泊をここにあてる。
土曜 始発の特急にちりんで別府に。
   温泉で時間調整し、シャトルバスの始発に乗り早々にスタジアムへ行く。
   試合終了後は別府に戻り、別府に泊まる。大分よりは空いてそうだし。
日曜 別府から特急ソニックに乗り小倉へ、小倉からのぞみで東京へ戻る

よしこれだ。折よく金曜夜の仕事が終わってから行けるのぞみが予約できそうだ(実際予約できた)。あとは、土曜日の別府のホテルの予約を残すのみだが、空室がない。空いているのは一泊12万のちょうこうきゅう宿だけ。んな金あるかー!! この日は、チケットの購入、パッケージツアーの申込み、JR九州の特急指定席の予約にとどめ、別府の宿の件は別の日に考えることにした。

別府のホテル

その別府のホテルが決まったのは17日(木)のお昼。マジか。

土曜の夜は別府に泊まるのが体力的にもベストだとわかってはいたけれど、念の為19日(土)の小倉のホテルを予約しておいた。別府のホテルはなかなか空きが出なかった。Google先生は「今週の土曜日もこんなに在庫ありますよー」と各所旅行予約サイトをご案内してくれたけど、在庫情報の更新に時間がかかるのか、リンク先をたどればすべて満室。思いつく限りの旅行サイトや、横断検索サービスを使って探すが、1泊12万の宿一室しか在庫がない状況が続く。12万あればそれだけで首都圏開催の決勝戦のチケットが買えるじゃないですか! これでは本末転倒すぎる! ラグビー破産してしまう!

破産の恐怖におののいてる最中、ラグビーワールドカップチケットサイトから「大分準々決勝・チケット在庫復活(限定数) !」のメールが届く。日本戦じゃなくなったからキャンセルが出たようだ。

ということは奔っこい人だったらホテルもキャンセルしてるんじゃないかとおもむろに「じゃらん」のサイトを開いてみる。祈る気持ちで別府の宿を探す、12万のあの部屋は相変わらず残っている、そして、出た、一泊ニ食付き3万の部屋! 建物外観はボロそうだけど☆☆☆☆の口コミ。これは女将の人柄でどうにかこうにかしてる宿なのかな、普段だったらどうせ2万円くらいの部屋なのではないか、ワールドカップ開催中だからって足元みやがって、ばかーと涙ぐみながら予約。

予約後すぐさまホテルに電話し「ワールドカップを見に行った帰りに泊まる予定です。食事の時間に絶対間に合わなさそうなんですがどうしたものでしょう」と相談する。「間に合わない場合は、夕食無しになりますが料金を変えることはできません」、ガガーリン、そりゃそうですよね、「ですがシャトルバスに乗ったところで念の為電話ください。調整できるかもしれません」と回答を得る。「どうせワールドカップ料金で食事期待できなさそうだけど(失礼な物言い)、外に食べに行く気力も残ってなさそうだからここでご飯食べられるといいんだけどな」と思いながら電話を切る。

さて、別府の宿も予約でき、これで準備が整いました! やったー! 
しかし、正直いってラグビー見る前に燃え尽きたぜ!!!

10月18日(金) 小倉へ


最終便の一個前の便で小倉へ。小倉はウェールズのキャンプ地だったのでウェールズの旗で駅はにぎやかに。人生初小倉、8時間ほど滞在してそのうちの時間のほとんどは睡眠にあて、朝にちらっとポケ活してすぐ移動。

10月19日(土) 別府へ

特急にちりん


博多6時発の特急にちりんをホームで待つ。イングランドジャージを着たイングランドびと、黄色いオーストラリアジャージを着たオーストラリアびと、そして日本人が1対1対1の割合で乗車。にちりんのグリーン車ふかふかー広々-ゆったりーすてきー。


不安定な動きをするサイコロに翻弄される四人組が浮かれてベロンベロンになれそうな個室もある。のどかな農村地帯を進んで眺めもよい。最高。

不老温泉


別府到着。


さすが大分! 竹細工で編んだ特大ラグビーボウル! 素晴らしい工芸品ですね。写真右側は現地の小学生たちが描いたウェールズ応援の絵です。微笑ましいし、素敵だ。

スーツケースを駅のコインロッカーに預け、駅から徒歩4分の不老温泉という公衆浴場に行く。

入湯料は110円。熱めのお湯・ゆるめのお湯の浴槽が中央にあり、洗い場は水のシャワーだけ、温水はないみたい。石鹸やシャンプーなどは添えられておらず、おおきな浴槽の周りで床に座りタオルでゴシゴシ体を洗って湯船に浸かる。
お風呂上がりに更衣室で、現地にお住まいの奥様に「あら、あなたモデルみたいな体型ね!若いっていいわねぇ!」などと話しかけられ、記憶の石版にその言葉を刻んだ。奥様のお話では、高齢者になると半年分のお風呂無料券がもらえるので一日置きに通ってる、別府なんて温泉しかないけど逆に他のものがあっても役に立たないから温泉最高、長崎から嫁いできたけど本当に温泉があってよかった、春とお正月には温泉祭りがあるから次はそのときに来てねと温泉を称えるお言葉を聞く。そのハキハキした感じから学校の先生かなんかやってた人かなとなんとなく感じる。奥様との会話でのぼせた体もちょうどクールダウンでき、次の温泉に行こうと思ったけど、お腹がぐぅーとなったのでなにか食べにいくことに。

ロイヤルホスト 別府北浜店

今回空室があったら是非泊まりたかったホテルのカフェは空いてないかしらとそこのホテルを目指す。しかし到着してみるとカフェなんて営業してなさそうな外観だったので、大通り沿いのロイヤルホストまで移動する。

ロイヤルホスト別府北浜店のドアを開けたらそこはイングランドジャージのたまり場だった。ぎゃふん! 朝10時を過ぎた頃からジャージをきたでかい外国人が続々とやってくる。ここは何国!? ロイヤルホストは比較的椅子やソファ席が大きいお店ではありますが、でかい外国人たちにぴったりサイズ。ほんとうにでかい。なんでこんなに大きくなるの?

北浜の温泉街を歩いていたら、裏通りには民家サイズの旅館がいくつかあった。彼らはおそらくここに食事無しプランで宿泊し、10時のチェックアウトの時間に宿を出てここにやってきたのだろう。イングランド国旗のぶきっちょなフェイスペイントをした同世代のマダムや、試合開始6時間前から「必勝」だの「神風」だの「合格」だのの筆文字が書かれた鉢巻をしているオーストラリアびとでお店は満席。普通の奥さんにしか見えないスタッフの日本人女性たちも流暢に英語で応対し、やりすぎない程度のジョークを英語で交わし、ほんとここ何国なんだろう。別府すげえ! ロイヤルホストすげえ!

10月19日(土) 大分スポーツ公園 総合競技場

スタジアムへ


11時30分頃からスタジアム行きのシャトルバスが出るというので別府駅前へ移動する。その日は11時50分が始発とのこと、乗車の列に20分ほど並びバスに乗車。46人乗りのバスに日本人は8人だけ、残りはすべて外国人。こんなにたくさんの人が母国から応援にくるものなのかとびっくりする、それも大分まで、別府まで! 
世界の人々のこういうお金や時間の使い方や移動の仕方を目にし理解することができただけでも、ワールドカップを見に来た甲斐があるのかもしれない。


13時00分バス停車。スタジアムの駐車場に着いてからは、紅葉の始まりつつある歩道を15分ほど歩く。道中はハイタッチやレンジ-フォトパネルで沿道スタッフの方たちから歓待を受ける。


13時20分、ゲートで手荷物検査を受け、チケットを見せスタジアムに入る。大正製薬や三菱地所などの企業ブースや、これももう有料企業ブースといってよいハイネケンの店などが立ち並び、順番にまわり会場の盛り上がりを楽しむ。花壇の石垣に座って、大分の山並みを眺めながらハイネケンを飲む。ビューティフルデイです。


大正製薬の企業ブースでは、レンジーちゃんモデルのリポビタンDが無料配布中。レンジー部位だけ大事に切り取り、お財布の中にしまいました。


試合開始をビールを飲みながら待つ各国のみなさん。


かっこいいKIMONO夫婦。

 


15時スタジアムに入り、自分の席がニ階席中盤にあることを知る(写真の黄色い円のあたりです)。四万円でもあの席なのかと見上げる。客席がまだ埋まってなかったので監督席などの近くまで行ったりして探検する。途中、ゴミ袋を配っている青年がいたので保管用とすぐ使う用に2枚もらう。

開幕を告げる太鼓も準備万端!

スタジアムの前の観客たち。すごく黄色い!

こんなんがこんなんですからね! 黄色いし白い!


15時45分着席。スクリーンでオーストラリア・イングランドのこれまでの試合ハイライトを放映。ここでもう一杯ハイネケン350mlを飲む。


座席のお尻を乗せる部分が狭く、カップホルダーもない四万円の席。さすがワールドカップ! そこに痺れる憧れるぅ! しかし、周囲の足元が不安定そうなので、自分のリュックをさきほどもらったゴミ袋にいそいそと詰め、足元に置く。

イングランド対オーストラリア戦


前の席に座っているのはオーストラリア人二人組。ふたりとも同世代らしく、ひとりは社交性もある落ち着いた青年で、もうひとりはパニック映画で一番最初に飛び出して死んじゃいそうな落ち着きのない青年、いやもっといえばトレインスポッティングのベグビーみたいな人(ロバート・カーライルが演じてました)。私にはわかる。「こいつは俺がついてないとだめなんだよ」と落ち着きボーイがベグビーと一緒に日本にやってきたんですよ。高校時代も一緒だったんですよ、ベグビーが失恋したときに一生懸命支えたのも落ち着きボーイなんですよ。

などと妄想していたらその落ち着きボーイに「日本のご飯最高だよ。みんなに歓迎されててとても楽しい滞在になってる」と突然話しかけられた。あわあわとしながらも「そりゃーよかった、ところでどこを拠点に泊まってるの?」と尋ねると、「東京だよ、今日は別府のオンセンに泊まる予定なんだ、今回は観戦のために日本中移動してるよ。もう五週間いるかな」とのこと。ひえええ、これがワールドカップというものなのですか! しかし私の語彙力ではここまでが限界、「試合楽しもうね!」というようなことをお互い口にして、16時15分キックオフ。

円陣。優秀なタムロンのレンズ。

拍子木ボーイ。

和太鼓ボーイズ。

感極まって火を吹いちゃうゴールポスト裏。

試合開始。

わー!わー!わー!

わー!

痛そう・・・。歯が丈夫じゃないとできないスポーツだな。

18時試合終了。

ほんっとにあれよあれよという間に試合が終わっちゃった。にわかファンなので、試合の見所がうまく伝えられなくてすみません。試合のすべての展開が見通せる席だったけど、キックやトライを楽しむためだけにゴールポスト裏の席を取るのも手だななどと思ったりした。イングランドのインターセプトが見事だったとか、後半に選手が総入れ替えになった頃にはオーストラリアの糸がぶつんと切れるのが見て取れたり。イングランド、べらぼうに強いじゃないですか。予選と決勝は別物なんだなと肌身で感じた。

イングランドのOWEN FARRELL、かっこいい。(そしてそこそこ優秀なタムロンのレンズを褒めて!)

イングランドの3番 KYLE SINCKLERのガタイ!!

ジャージの交換いいね!

グランドの美しきノーサイドとは裏腹に、私の隣に座ってたイングランドファンの日本人中年ご夫婦は前半終了時に退席(なぜ!?)。くだんのオーストラリア青年二人は試合終了5分前に退散(見届けないんだ!)。床に置かれていたハイボールやハイネケンのカップは倒れ、客席の階段は酒浸し。食べ残しは置きっぱなしだったり、客席の乱れっぷりはなかなかなものでした。カオス。ですがトイレは、新歌舞伎座みたいな一方通行の作りだったので、列に少し並んだけど混乱することもなくスイスイ使用することができたし、会場の運営にはなんら不満がございません。運営のみなさん、お疲れさまでした!

スタジアムから別府駅へ

18時30分。試合終了後、ピッチ(というの?)に近い席まで降りて、ノーサイドの雰囲気を味わってからスタジアムを後にする。会場を出てゲートの前で10分ほど待たされ、DJポリスの指揮で一斉に人々が動き出す。シャトルバスは試合終了前から動いていたようだけど、多くの人はだいたいこの時間から移動を開始したのではないでしょうか。おとぼけ警察人情漫画「ハコヅメ」を読むようになってから、警察官に急に親しみが湧くようになり、DJポリスの女性におつかれさまですと心のなかで敬礼し、眼光尖すぎてバレバレの私服警官を見つければ「モジャツンペアのモジャのほうだな」と思ったり。

競技場から駐車場への歩道はゆっくり歩く人、小走りに移動する人さまざま。混乱のないようにかなり早い地点から大分行きと別府行きにレーンが分けられていた。イングランドジャージをお召になった60代くらいのイングランド奥様が、群衆の中でスムーズに人をかき分けていく姿が印象的で、彼女の背中を追うようにして移動した。おかげで結構早く乗車待ちの列に並ぶことができました。ありがとう、イングランド婦人!

19時00分。別府行きのバスの列に並び、19時20分バスに乗車。山口ナンバー、福岡ナンバー、大分ナンバーなど、近隣県かかき集められた観光バスが100台ほど待機している。別府行きのバスは5台が一斉出発するようになっていて、19時20分には私もバスに乗れた。このシーン、映画で見たことあるなとシン・ゴジラの避難シーンを思い出す。

乗ってみて周囲を見渡すと、またもや日本人10人、残りはすべて外国人。ふええ。お願い、イングランドびと、勝利の歌とか突然合唱したりしないでー(してもいいけど)。

19時35分、少し渋滞したけど割とスムーズにインターに入れた。そこで一回「今、バスに乗れました」とホテルに電話。「別府駅に着いたらまた電話してね」とのこと。

20時00分、別府インターを出る。意外と順調に移動していましたが、市内に入ってから少し渋滞にはまる。別府市の運動公園で一旦停車し、そこで何人か降りる。運動公園脇にはファンゾーンが用意されていて、ここでまたハイネケンを飲むことができるようです。ハイネケン、周到すぎるぜ! 
そのときホテルから電話がかかってきて、「いまどこですか?」「運動公園です」「運動公園ならよいでしょう、もうご飯出しちゃいますからねー」「ふええ、ご面倒かけて恐縮ですよろしくお願いいたします」。

20時30分、普段ならインターから駅まで15分の道を倍の時間かけて別府駅着。実はさきほどの運動公園で降りて駅まで歩いたほうが早かったと薄々気がついていたけれど、もう仕方ない。駅のコインロッカーに預けた荷物を出し、急ぎ足でホテルへ。

ホテルで

20時40分、ホテル着。外観からは想像できないほどゴージャスで広々としたエントランスに戸惑う。そのまま食事会場にご飯を食べに行くべきだよな・・と食事会場を目で探していたら「すべてお部屋に用意してますので、そのままどうぞ」とチェックインもそこそこに部屋に通される。あら、部屋食なの? ワールドカップ料金めぇ・・と苦虫潰しそうな顔で客室のドアを開けたら、えっと、お部屋の奥行きがががが!

踏込四畳、客室十六畳、広縁六畳、その奥に露天風呂があるお部屋。オスロで泊まったホテルの客室と同じサイズの露天風呂浴槽、オスロめ・・・オスロのホテル事情め・・・。床の間には立派なお軸と茶道具を収めた棚、四種類の有田焼で揃えた珈琲カップセット、女将の手慰みというには恐れ多いサイズの生花。居室には大きめの卓が二台並び、関あじ関サバの豪快なお造りと、悪夢といってもいいサイズ感のあわびの茶碗蒸し、はもしゃぶ、大分牛が並んでいる。食事の〆は、ふぐ刺しとふぐのお茶漬け。いい卵使ってると一口でわかる濃厚なお味のプリンがデザートで出て、ふええ、ワールドカップ料金じゃなくて、正当な旅館のまっとうな土日料金なだけだったー。見損なっててごめんなさい!! というか、私、安宿に泊まり過ぎていて(あるいは国内ホテルの場合、夕食無しで泊まることが多いからか)、こういう日本のまっとうな旅館に泊まったのがひさしぶりすぎて腰抜かしそうになる。美味しいごはん美味しい、お米おいしい、ロイヤルホストでも朝食のご飯をお代わりしちゃったんだけど本当にお米がおいしい。海の幸おいしい。お風呂最高。いい旅館って、いいもんだね。露天風呂に入って体をほぐしたらそのまま爆睡。翌朝目覚めたら、読みさしの「死に山」がヨレヨレになっていました。ごめん、本。

10月20日(日) 別府タワーと北浜公園

翌朝は、部屋の露天風呂→ホテルの朝食→ホテルの最上階展望大浴場へ。展望されるのはこっちじゃないすか、という開放的すぎるデザインの大浴場だったので早々に部屋に戻り、部屋のお風呂で最後の別府の温泉を堪能する。荷物を詰めて宅配便で東京へ。リュックひとつの身軽な体で、東京へ戻ることに。

別府タワー


別府タワーに登り別府を一望する。大阪の通天閣によく似たテレビ塔ですが、それもそのはず、別府タワーは建築構造家・内藤多仲が設計した「タワー六兄弟」のひとつ。

1954年名古屋テレビ塔
1956年通天閣(2代目)
1956年別府タワー
1957年さっぽろテレビ塔
1958年東京タワー
1964年博多ポートタワー

このタワーたちは六人兄弟だったんですね! 内藤多仲のことしらなかった、帰ったら本読んでみよう!


歴史ある塔の展望台からは佐多岬が見え、豊後水道の全貌を捉えることができた。もぎりの奥様は「入場料はスリーハンドレッドね、オッケー?」といいながら、続々とやってくるウェールズジャージのお客さんたちをさばいていく。


展望台から見える山々について彼女からいろいろと教えてもらい、また別府こなくっちゃーうふふと決意を新たにする、次は飛行機で、できれば一泊二日3万円くらいのパッケージツアーでっ!!

北浜公園

11時00分、別府タワーで日本の近代建築史に触れてじわわーんとしたあと、すぐ近くの北浜公園に行く。ここは海岸公園になっていて、えっと、その海で泳いでる欧米人が複数人、上半身裸のウェールズファン、短パン姿のフランスチームのファン、旅館の丹前をファッショナブルに羽織って出てきちゃった脚長フランス娘やらが闊歩していて相当なフリーダムな砂浜に! 

石段に座ってほええーと欧米人の挙動に見とれながら座っていると、別府在住の親族男子がやってきた。おーおー久しぶり! 早速ポケモン交換会しながら別府の話をいろいろ聞く。

・いつもなら韓国人・中国人・東南アジア人でいっぱいの別府が、この期間はほぼ欧米人にジャックされている。
・北浜公園はポケストップやジムがたくさんあるからコミュニティデーはすごく混む。すごく混むんだけど、今日ほどじゃない、今日は本当にここを散歩してる人が多い。
・あの建物と砂浜の間には野良猫がたくさんいて和む。街のみんなで世話してるみたい。

確かに温泉街の野良猫って、温泉パワーで人情も厚いためか、危機感薄く冬も暖かく過ごせそうな場所がたくさんあって苦労してなさそう。温泉街で出会ったこの子はスマホを向けたらてこてこやってきてゴロンとすぐさまヘソ天してくれたし。しかし久しぶりに会って現地野良猫情報を教えてくれるとは! 和む。

10月20日(日) 東京へ

11時45分 別府の駅まで歩き、特急のチケットを発券後、駅の近くのピザ屋さんで大急ぎでランチ。

12時15分 駅の改札で彼と別れる。

12時18分 特急ソニック号出発、小倉へ。にちりんと違って、ちょっと昔に発案した近未来といった感じのデザインが施された車両。車内は欧米人とアジア人がほぼ半々。指定席は半分ほど埋まってる感じか。

13時33分 小倉着。乗り継ぎの時間に博多のモツ鍋セットを買う。

13時55分 小倉発のぞみで東京へ。小倉-広島間を新幹線で乗るのは人生で二度目。太平洋ベルト地帯の端っこの風景をじっくりと見てゆく。

16時00分 死に山を読んだりうたた寝したりして目が覚め、むにゃむにゃもう名古屋あたりかな?と思ったらまだ神戸。遠い。

17時00分 ラグビーワールドカップの公式アプリで、大分でやっているウェールズ・フランス戦の速報を見る。

18時00分 ウェールズ・フランス戦の結果を知る。おぉ、すげー、ウェールズ逆転! ウェールズの主将が男前なのでみんなも覚えておこう!

18時35分 東京着。人の少ない日本橋口改札を出て東西線で自宅へ帰る。

19時15分 スーパーとドラッグストアに寄って自宅着。ちょうど日本戦が始まるところ。テレビをつけて荷物を解いて手を洗って猫に不平不満をブツブツぶつけられている瞬間、ふと気がついた。

「モツ鍋、荷棚に置いてきた!」。

JR東海の総合案内所に電話して問い合わせるも芳しい回答なく、「なにかあれば明日連絡してやるので、一晩待ってね」と優しくなだめられる。手元に残るクレジットカードで支払ったモツ鍋のレシート。うぅモツ鍋、有楽町の交通会館で買えばよかったのか、あのモツ鍋! 
モツ鍋のことは一旦脇に置き、アサヒスーパードライを飲みながら試合観戦。ハイネケンよりアサヒスーパードライなんだよなぁ、ハイネケンってすっごく穀物っぽいんだものー、いえ、悪くない、悪くないんですけれどもね、でもスーパードライの穀物然としてないのどごしが私は好きなんだよな。

21時00分 試合終了。いやー、負けた、負けました。南アが強いというか、南アがきっちり日本戦に対策してきたのに対して、日本は少々準備不足だったのでは。残念! しかしこの課題をクリアすればまだ先に進めるということだと思うので、今後の展開に期待。
試合終了後の会場を中継を見ていると、しかしこれでは日本の敗退とともにラグビーワールドカップが終わってしまったかのような放送内容ではないですかと苦言を呈したくなる。これからだよ、見るべき試合はこれからだよ。あの南アのカチンとくるルックスの9番とか最高じゃないすか! イングランドの3番はあの立派な体躯でなぜこの競技を選んだのかとか、ニュージーランドのベロベロバー選手とか、これからも見応えたっぷりじゃないですか。楽しみじゃないですか。なぜまとめる、なぜ日本敗退で番組をまとめちゃうのー!

22時30分 疲れたので早めに就寝。

そしてモツ鍋

09時30分 メモリに入ってない電話番号から電話。なんだろうと出てみたらJR東海から「モツ鍋見つかりましたよ」の連絡。ありがとうーーーーモツ鍋ーーーー!!! 「冷凍って買いてあったので、預かり所の冷凍庫で預かってますからね」、優しいーーーJR東海!! 「佐川急便で着払いで送ることもできますが、取りにきてもらっていいです。どうします?」、行きます、行きますとも!!!

この電話で、私の愉快な大分旅行は終わりました。うっかり2万字も書いちゃったけど、行く前からも楽しくて、行ってる最中も楽しくて、もちろん試合まで見れちゃって、試合見に来ただけなのに大分の人は手厚く歓迎してくれて、しかも会場まで往復の送迎バスまで用意してくれちゃって、旅館はお値段以上の満足感を与えてくれたし、親族男子に久しぶりに会えたし、一回のぞみを大阪から東京まで走らせるだけで1500万くらい売上の立ついけ好かないJR東海は思いのほか親切で、うっかり破産しがちなほどお金使ったけどとてもよい秋の旅となりました。

「出発間際でも案外なんとかなる!」
「空室のご案内には素直に乗っちゃえ!」
「私のことを旅のアレクサと呼んで!」
などなどいろいろな発見がありました。決勝戦まで楽しむぞー。オー!

旅はこれ一本で☆ 優秀!
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