早回し対決列島!稚内-枕崎3200km二泊三日日本縦断の旅

旅の経緯

「水曜どうでしょう」に『対決列島!甘いもの国盗り物語』というシリーズがございます。安田顕さんの「やぁーやぁー鈴井貴之!」から始まる名作でございます。札幌から鹿児島まで各地でその土地の名物の甘いものの早食い競争をしながら南下、その戦いの地の都道府県面積をポイント化し計算、決戦の地鹿児島でどちらがより多くの領土を獲ったか争うというものです。彼らの移動手段は自動車。何日もかけて移動していくけど、これって鉄道でやったら案外早く行けるんじゃないのかしらとgoogle map を開いてみました。

試しに稚内-鹿児島とルート検索してみたら、16時に稚内を出発すると翌日の18時には鹿児島中央駅に到着するようです。あら、まぁ、たったの26時間で? 
北の大地では在来線特急を二本乗り継ぎ、北海道・青森間は急行はまなす(来年3月で営業終了)で、そこから先ははやぶさ、のぞみ、さくらを乗り継げばよい。あら、そんなんなの。世界に誇る正確無比な鉄道システムでたったの26時間で運んでくれちゃうの? 
JRのお値段は6万円弱、乗車券が約3万、指定席が合計3万。そうなの、うっかりトンチキなお洋服二枚買うようなお値段で日本を縦断できちゃうの? 羽田から全日空で稚内へ、稚内から鹿児島まではJRで、鹿児島から羽田までは日本航空で、おし、いける、二泊三日の旅で日本縦断できる! 乗り鉄だからこのくらい全然平気!

というわけで車の名前と号数書き込んで旅程表を組み、Wordできれいに印刷し、JRのみど窓(みどりの窓口の愛称)に駆け込み、「この通りに切符用意してくれや」とWordの表をチラチラさせながら(なんて準備の良い客なんでしょう、わたくしは!)プラスティックのカードをタシーンと光らせ、羽田空港第二ターミナルに搭乗時間ギリギリに到着し、ひらり日本列島縦断の旅に行ってきました。

初日 羽田→(空路)→稚内→(鉄道)→函館


羽田空港10:30発、稚内空港12:20着。
空港を出たところで待機していたタクシーを拾う。「これから80分後にJR稚内駅から特急に乗るんですがノシャップ岬を回りながらゆるゆると稚内駅に向かいたい。本当は宗谷岬に行きたいんだけど、時間がないから諦めてます」とお伝えしたところ、運転手さんが大変ノリのいい人で、あわせてこの客往復させるだけでうっしっしな金額になることが計算できたのでしょうけれども、「お客さん、まかせてください、宗谷岬行きましょうよ!」と勢い良く車を走り出させてくれた。
いやいや電車出発まで80分しかないんですよ、小さめの日本地図で見てもノシャップ岬と宗谷岬って視認できるほど距離離れてますよと彼を制したい気持ちで一杯だったんですけれども、運転手さんはノリノリ、もう誰にも彼を止められない、うん、諦めた、先に料金ポッキリ決めておきゃよかった、往復して普通に走って遠距離割引適用して一万五千円くらいだろう、うん、そのくらいの出費は致し方ない、レンタカー借りる時間もないし、天気はいいし、えぇ諦めましたとも、どうぞ日本最北端に連れていっておくれー。


ぐるりと宗谷岬牧場を回りつつ、宗谷岬へ。


美しく晴れた日でサハリンの突端をしっかりと目に収めることもできました。自転車で一周してる人もいらっしゃいました。


宗谷岬からは鏡のように穏やかに輝く宗谷湾を横目に稚内市内へ。ホタテや海藻がたくさん採れる漁港だそうですが、ぎょっとするサイズの水鳥をたくさん見ることができました。おまえらいいもん食ってるなー。


宗谷岬といえばマミリン、間宮林蔵の像が。ゴアテックスもダウンもない時代に、木綿の和装でよくお出かけになられました。


稚内駅、ナウい。


駅前広場には「ここで線路が終りなんですよー」なオブジェが(オブジェ?)。


詳細にはこんな感じ。奥に見えるのが全日空ホテル。人生三度目の稚内。


稚内駅ホームへ、えぇ、初めてのJR北海道稚内駅。これから試されに行きますよぅー。稚内駅にはオシャレ売店があるのだけど、わかりやすい駅弁が少なく涙を飲んだ。おみやげ向きなものも少なく、駅舎の反対側にあるセイコーマートに走って現地おにぎりとか現地サッポロビールとか現地お菓子をちょっと多めに慌てて買っていく。


「枕崎から3,126km 北と南の始発・終着駅」、えぇえぇ知ってます、これからさくっと縦断いたします。ほほぅ、稚内市と枕崎市とは平成24年に姉妹都市に、一旅行者にとってもこれはそれは賢明な選択だと思います。


稚内駅13:45発、サロベツ号、札幌到着予定時刻は19:08。


天塩川に沿って南下し、旭川経由して5時間乗るんですのよ、ヒャッヒャッヒャ。右に左に揺れるディーゼル車は音もなかなかの迫力です。備え付けの清涼飲料水の自動販売機以外は車内販売ナッシング! 早速の試練ですな! おやつや飲み物を多めに買っておいてよかったねー、自分! しかも名寄に出るまではずっと携帯電話は圏外、潔い、潔いですぞ、JR北海道! 


稚内出た直後はロールちゃんの遥か遠くに利尻富士が見えたりしてなかなかの旅情。


いいですな、うむ、北海道らしい。


暑寒別岳でしょうか、沈む夕日が美しい。


札幌到着19:08。19:29発スーパー北斗18号で函館まで。函館到着予定時刻は23:01。近いね!札幌と函館って、稚内と札幌に比べたら全然近いね!!!


スーパー北斗、数年前にこの車両のがやっぱり大地に試された記憶があるよ、そういう事故があったよね。


札幌駅では北海道らしい駅弁が買えて大変嬉しかった。ビールも新幹線開業を寿ぐ爽やかなデザインでかわいい。もうね、稚内-札幌で心の耐久性がかなり強度になったので、札幌-函館なんて屁の河童のようなもんですよ。なにしろ座席がふかふかだし、車両もがっちりしてるし。

途中大沼公園のあたりでちょっと電車がもたつき、5分遅れで函館手前の五稜郭駅に到着。函館・青森間は急行はまなすで移動するがよろしと乗換案内たちは勧めてくるけれど、朝の4時出発、6時青森駅到着などとなかなかヘビーな時刻表っぷり。出発までの時間をどう過ごすべきなのか、これは少々身体に堪えそうだと判断し、ここでJRからは一旦離脱し、青森へは津軽海峡フェリーで移動することに。津軽海峡フェリーはね、フェリー乗り場の設備がピカピカでとっても綺麗で充電もし放題で売店も終夜営業で大変具合がよいの。


とはいえフェリーの出発も2時40分。ひとまず五稜郭駅からタクシーで七重浜のスーパー銭湯でタクシーでさくっと移動し、一時間お風呂に入り、フェリー乗り場までは時間つぶしも兼ねて徒歩で移動し、出発時刻まで館内でうたた寝しながら待つ。函館でスーパー銭湯探すのにgoogle map がなんと役に立ったことか! google map は徒歩・公共交通機関・車での移動手段が提案されて、これが距離感がつかめるようになったのがすごく嬉しい。「あ、これなら電車より車拾ったほうが早いね」などと把握できるのが心強い。

二日目 函館→(フェリー)→青森→(東北新幹線)→東京→(東海道新幹線)→博多→(九州新幹線)→鹿児島→(指宿枕崎線)→指宿

函館港03:10発の津軽海峡フェリー『ブルーマーメイド』、青森港着は06:50。昨年青森から函館に乗ったときは夏休みの口開け三連休の前日で大変な混雑だったけど、シーズンのピークもすぎれば船内ガラガラ。二十人くらい横になれる部屋を独占してゴロリ。貴重品入ったバッグを枕に、パーカーを毛布代わりに被る。お風呂に入ると身体も疲労困憊っぷりを強く認識できたらしく熟睡できた。素晴らしい。スーパー銭湯、素晴らしい、大変なコストパフォーマンス、一人400円のスーパー銭湯の効能が計り知れない! 


目が覚めたら青空の青森港。7月に続いて青森にまたきちゃった☆


フェリー乗り場から新青森駅まではタクシーで1000円、一律料金で決まっているようです。安心価格でひらりと移動し、新青森駅へ。コーヒー飲んで一休みして行くぜ、東京、はやぶさで! これは新青森駅のホームに行く階段近くにあるねぶたさんたち。


新青森駅07:43発はやぶさ10号、東京駅着11:04。
はやぶさ車内ですっかりくつろぎ、気がついたら東京駅。東京駅のホームには0km地点のプレートがあるのね。いままで気にしたこともなかった。


東北新幹線から東海道新幹線への乗り換え口を使い、お次は東海道新幹線。


東海道新幹線のホームからさきまで乗っていたはやぶさが見える


東京駅発11:20 のぞみ331号、新大阪駅着予定は13:53。天気はくずれてはいたものの運行にはまったくの遅滞なく定刻通りに新大阪へ。


6分の乗り換えで、新大阪駅発13:59 さくら559号、鹿児島中央駅着予定は18:01。この6分の乗り換えも問題なく、途中、売店でじゃがりこを買う余裕があったくらい。日本の鉄道システムの正確さにただただ感謝。


九州新幹線の車両は、普通席でもグリーン車仕様なのかしら。ふかふか素敵椅子で大阪から九州へ。広島以西を新幹線で行ったのははじめてでして、「お、あ、このトンネル、下関、下関なの、下関なのね」とか言ってるうちに九州に入ってた。しかし九州新幹線、トンネルが多い。座席で仕事してたけど圏外になる回数が多すぎて仕事になりませんのぅ。おぉ、これが川内、原発の町、などと感心してるうちに鹿児島中央駅へ。


日本の鉄道システム・・・素晴らしいねぇ!!! すべて乗換案内通りにまったくの遅滞なく到着しましたよ。


駅前のホテルにとことこ移動して桜島の動向を確認したり、


駅前ビルのアミュ鹿児島の中で「むじゃき」さんを見つけ、


巨大しろくまの写真を撮ったり、おみやげに買ったりしました。


その後、快速の指宿枕崎線に乗って指宿まで。指宿駅しっぶい状況に。。。

三日目目 指宿→(指宿枕崎線)→枕崎→(空港リムジンバス)→鹿児島空港→(JAL)→羽田空港


一夜明けて旅館から。お宿から見える風景はこんな感じ、海の向うに大隅半島が見えていました。旅館から歩いて数分のところに砂蒸し風呂のメッカ「砂むし温泉」があり、朝食後に砂むし温泉を堪能。砂かけヤング男子に存分に砂をかけられしっかりと堪能してきましたよ。


砂むし温泉から戻ってきたところで、部屋の冷蔵庫に前日鹿児島中央駅で購入した白くまがあることをようやく思い出す。さすがかき氷、一晩冷蔵庫に入れておいても全部溶け、エライことになってました。このエライ状況の白くまをずいずいと飲み、お宿をチェックアウト。指宿では飲食サービスの人たちがさっぱりしすぎててアウェイ感を何度か・・・いえ、あのその・・・旅行客だからっていつでも歓迎されてると思ったら大間違いよという声が海から聞こえてきたような・・・いえ、あのそのあのその・・・。


指宿枕崎線の指宿駅を11:27発、枕崎には12:52着。一日に数本しかない枕崎行きのひとつです。黄色い電車に乗っていきます。地元の方は大変少ないです。小ぶりなバズーカをお持ちのカメラおじさんやそのお連れの奥様や、単独カメラおじさんなどがちらほらと。電車は二両編成、全部で10組いたかいないかというところでしたでしょうか。


あぁー開聞岳がー開聞岳がー!開聞岳が見えないですが、日本最南端の駅西大山駅では、電車が5分ほど止まり、小ぶりバズーカおじさんたちがわらわらとホームへ降りて、記念撮影を。もちろん、わたくしもホームに降り、みんなで譲り合って記念撮影。


全国最●端駅マップを見て「次は佐世保か、あるいは東根室か」などと次の旅の当たりをつけたりしました。指宿から枕崎までは、開聞岳のような絵に描いたようなこんもりと丸い小さな山が点々と続き、その麓ではゆったりとした農村地帯が続きます。お魚はとれるし、野菜もとれるし、いいところだなー。


12時52分、とうとう枕崎に到着! 


JRの始発から終点へ、約47時間で到着! うわー、しかし、お金で解決する日本縦断の旅ってあっけない・・・呆気無いよぅ!!!


あ、本土最南端っていう表記だ。


枕崎の「ここで線路は終りですよぅー」オブジェ。ちょっと感慨深くなる。


帰りの空港行きのバス出発までの2時間弱が与えられた枕崎観光時間。駅前で拾ったタクシーの運転手さんが穏やかなよい人で「そんなに短い時間なの?もっとちゃんと遊びにきてよ」と言われながらも、観光スポットへ連れていってくださいました。まずは火之神公園へ。ここで枕崎のシンボルの岬を見て、


戦艦大和の撃沈地を望む「平和祈念展望台」に連れていってもらいました。遺族の方の高齢化に伴い慰霊祭も昨年で終了してしまったとのことです。


「枕崎はカツオの町だからカツオ食べてってね」と、下はおみやげ屋さん、上はレストランという「お魚センター」というところでおろしてくださったの。この運転手さん、各観光スポットではタクシーのメーターを止めてくれていたのです、払ったのは移動距離分だけ、なんてお優しい方! 宗谷岬のノリノリ運転手さんといい、枕崎の良心の塊運転手さんといい、今回はタクシー運がよござんした。そのかわり、飲食運が・・・いやそのあの・・・。
ここのカツオ定食は大迫力で大変おいしゅうございましたことよ。カツオの刺し身ってこのサイズで食べるものでしたっけ、と疑問に思うくらいのボリュームで。


枕崎からは鹿児島空港へは空港バスで。もう旅も終りでございます。おぉ、これは「ミスターが見たかもしれないお茶畑」。


鹿児島空港のレストランでで白くまを注文し「皆で川下りに行こう!!」と心のなかで野太い声で叫んで完食。あら、旅が、旅があっさりと終わっちゃいました。

全体予算と総括

稚内-枕崎間のJR乗車券は29,800円、特急券が全部で26,970円、合計で56,700円。青森-東京のはやぶさの特急券が7200円、東京-新大阪-鹿児島間が14,070円、なんとなく日本列島を7000円ずつで等分できるイメージ。新幹線で走ってみると北から南まで意外とトンネルが多いのに気付かされます。駅舎はどこも同じなので見分けがつきません。来春、北海道まで新幹線が開通するので、退屈で苦痛な行程でも急行はまなすに乗っておけばよかったのかもしれません・・・が、いや、いいです、フェリーがよいです、津軽海峡フェリーが良いです!!! 

しかし、ほんとうに、なんというか、お金で解決する日本縦断ってあっけない。やってしまえばこんなもの、そしてもう二度とやらないであろうツアー。去年アラスカで5日かけて1,000キロ移動したのとは全く違う感慨をもって言う、「本当にあっけない」。移動が早すぎたからかしら? 時刻表通りの正確な運行には感謝、これが世界各国で普通に行われることと思っちゃいけないね。バンコクではチェンマイに行く特急が始発駅から1時間遅れて出発したし。いやぁあっけない、これを車や自転車でやればまた別なんでしょうけれども、電車って便利ね、素晴らしいわね、ディーゼルでない車両も素晴らしいわね、揺れないってよいことね。北と南では大揺れだったけど、新幹線は静かなもんでしたよ。鹿児島から羽田に戻るとき、気圧の関係で割りと早くに『みなさま、どうぞ着席しやがれ』モードになったんだけど、その機内だって北と南のJRに比べたら全然揺れなかったように感じたわ。

あぁ振り返れば、JR乗り比べの旅でもあったのですね。
JR北海道、5時間の電車の旅でノー車内販売のご都合はわかるけれども自動販売機の品揃えがまた渋くて寂しい、しかし車掌さんによる「ただいまから右手に利尻富士が見えてまいります」の車内放送はよかったですよ。稚内-札幌間は古い車両だったけど座席に電源が完備されていてそれはありがたかったです。
JR東日本、ディ・モールト! 検札もなく車内販売のコーヒーもおいしい、座席には電源完備、まったくもって非の打ち所がございません。
JR東海は特にいうことはございません。検札なくならないのかしら。
JR九州のスマホサイト、いいんだけどもうちょっと操作性を・・・。九州新幹線のさくらちゃんは乗り心地がよかったなー、トンネルの間に間に現れる景色を眺めては手元のgoogle map で現在地確認しつつ「あれが天草かなー」などとしていただけれど、あんなにトンネルがあるとは思わなかった。

全般の天気運は宗谷岬で使い果たしました。宗谷岬はまさに「Beautiful Day」でした。北から南まで田んぼの間を走り抜けるトンネル多めの鉄道と正確な時刻表の国、それが我が国日本なんだな、と。

4 COMMENTS

ゃました

なるほど早回しですねー。サイコロ5では、砂むし温泉で砂をかけていたのはおばさんでしたが、異性がかけることになってるんでしょうか。。。?あと黄色い電車の中でミスターと魔神が白くま対決してましたね、、、今思えば、あれが対決列島の序曲でした。。。とか、色々懐かしく思い出せました。

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ukasuga

砂むし温泉にいたスタッフの人は男性だけだったのですよ!! 母親が昔職場の旅行で指宿に行ったときの写真では、お姉さんたちがかけていましたが、平成の指宿では爽やか好男子たちがスコップで砂をわっしわっしかけてきます。かけられている最中では「ブレイキング・バッドにこういうシーンなかったっけ?」という緊迫感も少々・・・
黄色い電車の中でも白くま対決があったのですね。どの回でしょう。こちらも復習してみます。

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ukasuga

ありがとうございました。早速見返しました。黄色い電車でしたー!ミスターがよく喋ってるぅー!!! ハフハフ熱い思いを味わいました。あの砂むし温泉施設、1mmとも変わりはなかったですよ、あの企画は1998年作品だというのに!

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