わたくし、一時期、着物にハマっていたとき(今もハマっていますが)、池波正太郎や藤沢周平の時代小説にすごくハマりまして、剣客商売も鬼平犯科帳も全巻紙の本で読みました(というか紙の本しかなかった時代です)。この時期の「着物+時代小説+池波正太郎の書き出すなんだかうまそうなもの」に対する熱が、「俳句やってみたい」という思いに変わり、その句会ももう12年もやっているのです。先生、句会のみなさま、この長い時間を一緒に歩いてくれて本当にありがとうございます。
さて、そのときから十余年経った2019年の冬、kindle unlimited でリイド社版のさいとうたかを版鬼平犯科帳が49巻まで開放されているのですよ、読みきれないーーーー!!!
小房の粂八って割と割と若かったんだ、おまさってもっと若い、彦十さんはイメージ通りなどと記憶をたどりながら読んでおります。また、近所の神社が登場してきたり、これまた近くの勾配のきつい坂にヤング長谷川平蔵が通っていた道場があったり、いろいろとぐっときてる。ぐっときてる。味わい深い。
それよりもなによりも、わたくし、ゴルゴ13を紙の本で150巻まで揃えているほどのさいとうたかをウォッチャーですが、いつも無表情のゴルゴを見慣れているせいか、こちらの作品では豊かな表情を見せる主人公にドキドキしたり☆ あれーさいとうたかをせんせいー、芸細かいー。長谷川平蔵がかぶる編笠の編みの畝はひとつひとつおそらく手描き、着物の模様もスクリーントーン使わず手描き、茶店や屋台の葦簀の一本一本も手描き、画面に白いところが見当たらない濃密な作画。繰り返し使用している要素があるかもしれませんが、なんて丁寧な表現なんでしょう。
そして出てくる酒と料理のうまそうなこと。これを読んでると、着物着て池波正太郎の作品に出ている料理だけで取り揃えた池波正太郎飲み会をやりたくなってくる。永遠に熱燗が出てくる魔法の蛇口を用意した上で、猫を肴に一人飲み会を一日中やっていたい。テレビで箱根駅伝でもやっていれば最高だ。江戸時代のことだから、いくら酒飲んだところで、味付けがヘルシーだと思うのよね-。この本を参考にすればよいのかしらどうかしら。
ワタシ的にはAmazonからのクリスマスプレゼントかと思っちゃうくらいの超長編時代小説漫画。季節感たっぷりでどの季節に読んでも楽しいです。アカウントをお持ちの方はぜひ、読んでも読んでも終わらないめくるめくさいとうたかを&池波正太郎ワールドへようこそ!