なぜ日本公開にあわせて「半地下の家族」などというネタバラシの副題をつけるのか、謎。わかりやすい副題をつけないとお客さんが足を運んでくれないとでもいうのでしょうか。こういうふうにお客さんを子供扱いするのよくないよ? 原産国の監督たちを信頼してないってことだよ? よくないよーよくないよー。
今回は「スノーピアサーや殺人の追憶のポン・ジュノ監督が、スノーピアサーや殺人の追憶のソン・ガンホを主演にした映画」という情報だけを手がかりに見に行きました。町山さんや宇多丸さんのラジオの書き起こしなども一切目にせずに行きました。正解でした。韓国映画は、前半のほっこりギャグ展開で観客の気持ちをぐっと主人公たちに寄り添わせておいてから、折り返し地点でまったく想像もつかない展開に連れて行くのがすごい。「こんなほっこり展開だけでアカデミー賞作品賞ノミネートなんてされるはずないじゃないですか!」と観客が訝しみはじめるあたりから怒涛のラッシュ。なるほど、今回はこうきたか。
持てる夫婦が、持たざる夫婦の本質を見抜く表現などはほんとうに上手でキツかった。映画の最後半でアウトドア用品の Snow Peak のブランドロゴと商品名のカタカナがパッと目に入り、ふわっときた。そうか、韓国の富裕層はお家で使うなんらかのギアに Snow Peak などを選ぶのか、メモメモ。ラストがよかった。余韻が。そしてあのエンディングの韓国語のポップソングが。
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した本作ですが、カンヌ国際映画祭が好きそうな映画です。その前の受賞作が「万引き家族」で前々年度が「わたしは、ダニエル・ブレイク」ですもの。わかる。貧困を描いた映画は、見た人が何かを考えさせられた気持ちになるからヒットするのだと思う、現実では駅前でBIG ISSUE を手にもつ初老の男性がいたら目をそらしたりするのに。
などということを考えながら、鑑賞後はアカデミー賞受賞予想レースをしてきました。パラサイトは、外国語映画賞・脚本賞はかたいと思います。作品賞はやっぱりジョーカーなの? 甲乙つけがたいときは社会派映画が受賞することが多いように感じますが、今年はジョーカーなのかなー。
ところで今、「わたしは、ダニエル・ブレイク」のAmazonの作品紹介ページをちらっと読んだけど、「ダニエルが教えてくれたこと – 隣の誰かを助けるだけで、人生は変えられる – 」とありましたが、えっと、その誘導の仕方はちょっと違うような・・。「ブラピ演じるイケメンパパのハートフル・ファミリードラマ」かと思って見に行ったらゾンビがぞろぞろでてくる映画並みのミスリードでは・・・?
これ、近々見に行こうと思ってたんです。ストーリーやソンガンホはじめキャストの演技ももちろんですが、劇中に散見されるというヂャパゲティのようなコリアンジャンクフードを見るのも楽しみで。
韓流ドラマでは貧困層の登場人物が半地下の部屋や屋上に立てたプレハブ小屋に住んでますが、映画の中での描き方がどうだったのか気になります。
よかった。危ない危ない!ふなきさんにいろいろコリアンフードについてメールで質問するところでした。ぜひお楽しみにご覧くださいませ!