先週、「あ、そうだ、次の土曜はきもの展いってみよう」と公式サイトから時間予約制のチケットを購入。「へー一週間先の分しかチケット開放しないんだ、なるほどこれが新しい生活様式というものか」などと思い込み、土曜の夕方見に行き、予想よりはるかによかった展示に興奮し、もう一回行くわ、今度はグッズ売り場もよく見るわなどと鑑賞後はささっと退出。すでに行ったというお友達に「ねえねえ私も行ってきたよ、すごくよかったー」などとLINEし、「あれは素晴らしかった! 明日で会期終了だもんね、滑り込めてよかったね」と返事をいただき、公式サイトを確認したら、そうでした、8月23日日曜で会期終了でした。うっわ、あっぶね、ほんとあっぶね、なにが一週間分のチケットだ、私は馬鹿か、あっぶねー!
覚えておきたい作品リスト
以下、自分の記憶のために印象に残った作品名を記録しておきます。ほとんどイヤホンガイドで紹介されたものなんですが。
小袿 黄地窠霰(かにあられ)模様ふたえ織物(国宝)
縫箔 茶練緯地段大手毬模様
小袖 黒綸子地波鴛鴦模様(重要文化財)
振袖 白絖地若紫紅葉竹矢来模様
小袖 白縮緬地近江八景模様/染分縮緬地京名所模様
小袖 杢目縮緬地薊蝶模様
三段振袖 橘冊子模様
懐紙挟 金地楓雀模様(和宮所用)
小袖 萌黄縮緬地雪持竹雀模様(天璋院篤姫所用)
陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様(織田信長所用)
陣羽織 淡茶地獅子模様唐織(豊臣秀吉所用)
胴服 染分平絹地雪輪銀杏模様(徳川家康所用・重要文化財)
(大正~昭和の着物)
TARO着物 岡本太郎
久保田一竹 連作 光響(15領/イギリス 国際ジョディエフ財団蔵)
森口邦彦 (三越の現在のショッピングバッグをデザインした人間国宝)
土屋順紀 (志村ふくみさんところで修行した紋紗で有名な人間国宝)
鈴田滋人 (木版摺更紗で有名な人間国宝)
感想
織田信長の鳥の羽を使った陣羽織の状態の良さに驚いた。
江戸時代の人々にとって、源氏物語がどれだけ重要なものだったのかよくわかったよ若紫。
今回多くの作品を出典した松坂屋コレクションと丸紅のコレクションを直接見に行くのもよいかもしれない。また徳川家の天璋院さま和宮様のお道具はどれも素晴らしく美しく、これも名古屋の徳川美術館に行って改めてみておきたいと思いましたわよ。
特に雀好きの天璋院さまのために作られた雀グッズは技巧こらしたものなれど大変に愛らしく(だって雀だもの!)、日本の身分社会の頂点まで上り詰めた女性が推し動物をこじらせるとここまでのものになるのか、ただただ圧巻。そして天璋院さまが「ねっ、ねっ、わたし、実はすごく雀好きなんだけど、和宮様はどう? 好き? よかったらこれ使ってもらえない?」などという経緯があったかどうかはわかりませんが、和宮様の雀の刺繍が施された懐紙挟がまた素敵。ふえええー早くこれでレプリカ作ってー、5万円くらいで精巧なレプリカ作ってーー。そんな素敵なものがあれば買って家に置いておきたい。
自由なデザインを大胆に楽しむ良い時代の大正モダンから昭和の着物までのコーナもよかった。よかったんだけど、そこを抜けて出たあとの現代作家のコーナーはもっとスペースを割いてもよかったのでは? 室町時代から始まった着物文化が600年以上続き、現代の作家たちも美しい作品を生み出し続けている様子をもって展示してほしかった。15領の着物からなる久保田一竹の連作「光響」(リンク先はカナダの展示から)ももっと広いスペースで見られたら素晴らしかったことでしょう。なぜあの最後の現代の作家コーナーを畳み掛けるような展示にしたのかしら、これでは着物が過去の終わったものになってしまうではありませんか、もったいない。そこだけ残念。
やればできるの新様式
今回、ウェブサイトでチケットを予約購入してQRコードで発券していってきましたが、なんというのでしょう、時間帯別に人数制限しての展覧会ってやればできるんじゃないですか。
真夏に行われた若冲の展覧会、炎天下のなか90分待たされ、熱中症予防のために涼みスペースを設けたり、注意喚起にスタッフの人が巡回したりしていたあの苦労はなんだったのでしょう? 館内に入ったら入ったで激混み、ロッカーは満杯、友達とははぐれ、ディズニーランドのような待ち行列に並ばされ、ようやく入れた展示スペースではやはり激混み、あっちで「あ、すみません」こっちで「ごめんなさい」とざわざわひそひそ、そんな中でひときわ甲高く響くバカップルの「若冲って江戸時代の人なんだぜ?」「きゃー、たっくん博学ぅ!」などという声、とろくに集中して作品も見られなかったあの混雑。。。
あの苦労は!
あの苦労は!
一体何だったのーーーー!
やってみたらスルッと導入できた素晴らしシステムです。これからもぜひ、コロナ禍を脱してもこのシステムで進めていってください。よろしくお願いいたします。
浴衣だけど和装で行った
今年初めて袖を通した着物が此の日の浴衣ではありましたが、久々に着物着たらテンションあがった。会場に和装の人多く、浴衣の人、足袋まできっちり履いた人、BIRKENSTOCKの人(私だ)など様々でしたが、みなさん思い思いの装いでそれも素敵。展示物に対して敬意を表しているようにみえて素敵。
下駄の鼻緒が擦れて痛かったんだよなーと足元はBIRKENSTOCK、レザーじゃない軽やかなバッグがないんだよなーとキャンバス地の大きめポーチをクラッチバッグ代わりにして、15年くらい前に買った吊るしの源氏物語の浴衣(人生で一番着ている浴衣、大変なコスパ)を着て、しかし半幅帯は同じ時期に三越で買った新品のシャーベットグリーンが差し色で入った博多帯をしてでかけた(つまり15年間日の目を浴びていなかったのです)。テンションあがった。やっぱりたまには袖通そう、思い出したくないくらい着物にお金使ったんだから少しでも元を取ろう、それでBIRKENSTOCKやサイドゴアのブーツでもいい和装運動をしていこうと思いました。
以上、そんな楽しい一日のご報告でした。
あ、「きのうなに食べた」最新刊出たんだ!
買いに行かなきゃ!