囀るノッブは羽ばたけない/大河ドラマ「麒麟がくる」最終回/池端先生が描いたシン・光秀

斎藤道三・義龍の長良川最終決戦「おまえの父親は俺だっつーの!」の名シーンを再現するレンジー親子。

 

麒麟がくる 完結編 NHK大河ドラマ・ガイド

シン・光秀!!!

2月7日は「麒麟がくる」最終回を見るための日曜日だった。予め土曜のうちに買っておいた鴨肉でつくった鴨鍋をつつきながら早麒麟、デザート食べつつTwitterでみんなの反応みながら本麒麟。はぁぁ終わった。終わりました。

終盤は老け顔メイクが少々薄かったのでいまの光秀ってば何歳を演じていることになってるんだろうと思ったりもしましたが、ド派手な色彩の初回で度肝を抜かれ、放送回を重ねるごとに美麗で豪奢になっていくスタジオセット、本郷奏多演じる近衛前久はそのまま「いいね!光源氏くん」に出てもいいんじゃないか、片岡鶴太郎演じる摂津晴門などはその存在も知らなかったけど比叡山焼き討ちにいたるまでこういう背景があったのか(あくまでドラマの上ですけど)、京しぐさ満載の美しすぎる正親町天皇(坂東玉三郎)、小藪さん関白顔で意外とお似合い、オープニングで最後に名前がでるのが堺正章なんだ、玉三郎じゃないんだ、テレビ界の重鎮という意味では堺正章のが重要なのか、なるほど、眞島秀和演じる細川さんのそういうところがなーなどなどいろいろなみどころがありました。

最終回の長谷川博己の青揃え甲冑が美しかったです。いやもうなんか頭の形からして美しすぎる男性なんですけど、終盤の染谷信長と長谷川光秀がだらだらと流しまくるフェロモンが、ドモホルンリンクル的なものに変わって私に降り注がれたあたりも、初回を見たときにはまったく想像していなかった予期せぬ展開でした。なんというか、傑作香港映画「インファナル・アフェア(無間地獄)」的な、敵は本能寺でブロークバック・マウンテン的な、君の名前でノブを呼んでというか。

こんな大金と手間暇かけて旬の俳優さん総動員して「池端俊策の考える最高の明智光秀物語」をドドーンとやってくれちゃって、ほんとうに楽しい一年間でございました。徹頭徹尾光秀と信長の物語だったから、重要なライバルであるはずの佐々木蔵之介秀吉も雑魚扱いだったんだな、いい雑魚! 雑魚にしてはもったいないけれど。

 

一年をまとめるとこういうお話です。

「いつか平和になると顕れるという麒麟がくる世になる」という話を聞いた明智十兵衛光秀。青年時代の十兵衛は、「大きな国をつくる」と吹聴する道三様が麒麟になるのかなと思ってたんだけどどうも違う、だいたい主役よりめちゃくちゃ目立ってるし。

道三様つながりでうっかり知り合った信長という存在に惹かれるが、まだちょっとよくわからない。いろいろあって越前にいくけど、この蹴鞠おじさん(ユースケ・サンタマリア)はまぁ仕えるほどではなく。じゃぁ足利義昭様はどうだろう(かつてこれほどまでに愛情と哀しみをもって描かれた足利義昭はいたじゃろうか?)、いやいやいや違う違う、信長だ、信長様だ、悪辣非道なところもあるけど信長、君に決めた!! などと仕えてみると信長の人生は上昇しまくり、お金も稼ぎまくり、向かうところ敵なし、ついでに権力をカサにきたように暴走も止まらなくなる。

そんなとき、ちっちゃい頃から知ってる家康と親交が深まる、「なんだろうこの思い、このひとの器ってばでかくない? あとなんかすっげえ熱い視線感じるんだけどなんだろう?」。その熱い視線の源は信長。「なんで三河の家康とそんなに仲良くしてるのかちら!」、柱の影からぎりぎりぎりと唇噛み締めてる信長がそこにいた。

「おのれ十兵衛めええー! っていうか家康ぅぅぅー! なに楽しそうにしてるんだよ! はっ、家康に恥をかかせれば、十兵衛は俺に対してまた畏怖の念で接してくれるようになるんじゃないの?」と宴の席で家康の前で、光秀を激しく面罵するノッブ、それを受けて畳の上で大回転する明智光秀。理不尽なれどこれも主君のすることと歯を食いしばって耐えている光秀に「うそうそ、ちょっと家康に恥をかかせてやっただけだよ、利用してごめんね★」と甘い声でささやくノッブ。「えっ、あれ、人を試してたの?」と愕然としていると畳み掛けるように「あ、そうそう、義昭も殺してきてよ。お前ら最近仲いいみたいだけどさ」と残酷な命令をするっと口にする。マジかよ!

だいたい比叡山焼き討ちのあたりからおかしいなって思ってたんだよ、こんな暴走信長を育てたのは誰だ、俺だ、俺・明智十兵衛がここまで育てあげてしまったのだ、それにしても真田広之主演の「太平記」の時代から演技も顔も一ミリも変わってない陣内孝則(今井宗久)ってばいったいどういうことーーーと叫びながら、明智十兵衛光秀は本能寺に向かうのでした。

 

光秀の生死は明らかにせず物語は終わりました。光秀は最後は家康に心を寄せているような気配が感じられましたし、家康の手下の菊丸が要所要所で顔を出しておりました。これらのことから、わたくしは、

なるほど、光秀はその後生き延びて天海僧正になる。
そして菊丸は小山ゆう「あずみ」のじいになるんですね! 
なるほどわかりました!

という結論に至りました。どうなのかなー? 

承認欲求信長、パワハラ信長という、令和の時代だからこそ明確に描かれた信長像だったと思います。本能寺の変のあとは、信長の物語でもないし、ましてや光秀の物語ですらないという大胆な解釈によるあのエンディング、私は目くじら立てて否定する気持ちになれません。

コロナ下での撮影は本当に大変だったと思います。毎週日曜日は正座して見ておりました。一年間お疲れさまでした。美しく新しい光秀像でございました。ありがとうございました。

 

あずみ(20) (ビッグコミックス)

4 COMMENTS

ふなき

玉サマの陛下が登場したあたりから真面目に視聴しましたが、まさかの天海エンドで非常によろしゅうございました。細川の殿の下克上大名とは一味違う身の処し方に痺れましたし、細川サンからお手紙もらった秀吉っちゃんのつぶやきもなかなか良いものでした(如水も出て嬉しい!)最終回は、ワイワイと突っ込みを入れながら発声上映会っぽく楽しみました。

返信する
ukasuga

ほんと、シン・光秀でしたよね。天海僧正エンドかーそれはないよーと思いつつも、光秀の最後の日々がこうであったらいいなと素直に思えるよう作者にきっちり躾けられた一年でした。よい大河でした。

返信する
ラミー

あんなに美しく切ない本能寺の変があるだろうか…というくらいに釘付けでした。

そして…
いまだかつてない狡猾なサル!
佐々木蔵之介さんにしかできないサール―!!お下品にならないのはやはり蔵元のボンだからかしらん…なんて考えたり。

はああああ。
あの美しい十兵衛は、もうしばらくは上書きできませんね。。。

返信する
ukasuga

金柑頭のハゲチャビンでもないあんな端正な光秀、ちょっと出来すぎでしたわよねー。さすがクリスペプラーのご先祖様! 佐々木蔵之介さんもよかったです、新境地とまではいわないけど、あのなにかあったときのズササササと引き下がるスライディング土下座、いままでにない狡猾さが感じられてよござんした。毎週あの45分が待ち遠しかったです。ありがとうございました。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください