本書の内容をAmazonから。
〇シャンパン好きで大酒飲みの明治天皇。その祖父に似ずパーティでも酒を一口も飲むことはなかった昭和天皇。
〇歴代有数の漢詩好きだった大正天皇も、少しだけ興味をもった俳句の世界にどっぷりつかった皇族とは。
〇酒癖が悪く日本刀を振り回し、「酔って妻を殺した」と囁かれた元勲総理・黒田清隆。
〇第一次大戦の講和会議の代表を勤めた独身貴族・西園寺公望(70)が、パリに同伴して、列強首脳に妻として遇された「ミストレス」について。
〇その元老西園寺の政治秘書として政治の裏も表も知った男と、彼の回顧録を手伝った文士との心温まる交流。
〇森鴎外と夏目漱石のフトコロ具合。
〇「ベースボールを野球と訳したのは正岡子規」というトリビアは間違っていた。
――などなど、近代日本の華族たちの研究の第一線で活躍する著者が、それぞれの分野でいまも名を遺す偉人たちの知られざる、そして人に語りたくなるエピソードを紹介します!
著者は華族研究者なのですね。華族研究者という人生、優雅そう!
明治大正昭和時代の華族・文豪・軍人・政治家・学者などのそんなお話を読みやすい長さでまとめて、チョコレートの詰合せみたいにぎゅぎゅっと収録してくれています。華族同士の意外な人脈のつながりなどもわかり、だからそこであれがこうしてこうつながるのかなどという発見も。一番強烈だったのは植物学者牧野富太郎のお話。
こんな画集出すお方で、高知の商家の生まれでもともと頭もよく、たっぷりと送られてくる実家の仕送りをあてにし悠々気ままな学生生活を送る。しかし研究費を湯水の如く使ったこともあり実家の経営も傾いていき、ついには生家は没落。しかし富太郎氏は全然へこたれない。借金を頼めばどこからかお金が湧いてきたり、同じ土佐出身というよしみだけで政治家経由で岩崎弥太郎に引き合わせてもらいぽんっと大金を援助してもらったりする。自分でお金を稼がないが、なんだかお金にだけは困らないという強運人生。人たらしな部分があったのか、お坊ちゃまならではの魅力的な人物だったのか、ちょっと興味がわきました。高知には、牧野氏の名前を冠した高知県立牧野植物園があるそうです。一度行ってみたいものですじゃ。
この本の出展リストで知ったこの辺のご本を次に読んでみたいと思います。
少し前の時代のニッポンのセレブを知る取っ掛かりにちょうどよく、あとがきがとても爽やかでした。あべちゃんのことをけちょんけちょんに言ってるのも、ちょっとくすっとなりました。