ラスト サムライ
2003年作品。初めてちゃんと見た。20年前の「多様性」の「た」の字もまだ生まれてないような大雑把な世界観の時代に、これだけ丁寧に日本の武士道をアメリカ人が描いてくれたというのは素晴らしいことではないでしょうか。村の入口に必ず大きな鳥居があったりとか、髷のスタイルが和風じゃないとか、まるでニュージーランドみたいな田園風景だったり、少ーしずつおかしなところがあったけど、日本文化に深い理解を示した大変な意欲作でした。
冒頭の北米大陸で酒浸りで荒れてるトム・クルーズの演技ときたら、いがらしゆみこ先生のキャンディ・キャンディのエピソード、場末の劇場で酔っ払いながらだらしない演技をしているテリゥースを、「あなたはこんなものじゃないはず!」と客席に座りもせずに劇場の入口に立ったまま見ているキャンディが泣きながら叱咤する、あのシーンを思い出させるほどです、元ネタかな?
ウィキペディアで制作時のエピソードを一通り読みましたが、「合戦シーンはアジア人なら誰でもいいよね?」という制作陣に、「ここは日本人でないとだめなんだ!」と食い下がった話なんて本当に胸が熱くなります。また日本の俳優陣が「あのぅ・・・忍者ってのはちょっと・・・」と苦言を呈したときにも、「うんわかる、わかってる、頭では理解しているんだ、でも絶対にニンジャは入れたいんだ!!」と粘った制作陣のエピソードなども。ふふふ。いいものを拝見しました。Amazon Prime Video で。
「平家物語 犬王の巻 (河出文庫)」
劇場アニメーション『犬王』が大変評判なので、映画を見に行く前に原作を読んでみた。行間少しゆったりめ、ページの余白も多め、紙にハリがあり、めくりやすく、あらよい手触り。平家物語から続くあの時代の琵琶法師と能楽師の物語。
アニメ平家物語、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、劇場アニメーション「犬王」ときたら、必然的に一大中世ムーブメントが湧き上がって「お能の敦盛をみたい!」「船弁慶をみたい!」という能楽ファンが増えるのではないでしょうか、どうでしょうか。あたしゃ今年中に「船弁慶」と「摂待」は見てみたいと思ってますわ。