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カリフォルニアで暮らす韓国人エンジニアのデビッド。彼女のティーンの娘マーゴットが行方不明となり、彼は警察の助けを得ながら彼女を探す、SNSでの彼女の動きをひとつずつ追いながら・・・。
「運良くgmailのパスワードがわかったからよかったようなものの、あそこで詰んでたらお話進まなかったよねー」などと無粋なことをいってはいけません。
SNSで知る娘の実像、たくさんいる「フレンズ」だの「フォロワー」だのとのうっすい関係。いやぁぁーー生々しくてこわぁいーー。「えっと君は娘と仲良かったんだよね?」「・・・別に。頭いいから一緒の(課題グループに)いただけ」。いやぁぁーーー。彼女をフォローしている陽キャグループのインスタではみんなでイエーイと写真を撮っている奥のテーブルでひとりでランチを食べてる娘の姿を見つける、やめてーなぜか私のハートをえぐってくる! さらにその仲良くもなかったガールが「彼女は私の親友で、失踪してしまったことが信じられない・・・」とさめざめと涙を流しながら動画投稿をしている。そうこうしているうちに「あのひと、頭おかしい」「犯人は父親じゃないの?」などと父親はネットで誹謗中傷の嵐のただなかに放り込まれる。こわい、ほんとこわい!!
こういうグサグサとくるネット社会の表現とともに、スリラーというかミステリー作品といての出来栄えも一流で、監督のアニーシュ・チャガンティはインド系アメリカ人。多様化~と舌を巻きながら鑑賞しました。1時間42分の100分映画、みなさまもぜひ。
FIRE 最強の早期リタイア(クリスティー・シェン)
中国の農村からカナダへ移住した両親を持つ「子供の頃は1日44セントで暮らしていた」筆者のクリスティー・シェンが、どうやってミリオネアになり、世界中を旅行しながら暮らせるようになったのか、その興味深い道程を描いた本。なるほど、こうやればパーマネントトラベラーになれるのか、おもしろいー。でも猫を連れて世界中を旅する方法は書いてなかったわ、残念! さて、メモを取りたくなるような人生の知恵がいたるところに散りばめられていたので、そのなかのひとつをご紹介。
ミリオネアには3つのタイプがいる。
ハスラー、お金を稼ぐ能力がある人。「金持ち父さん貧乏父さん」のロバート・キヨサキ、「なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?」のティム・フェリス、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ。
投資家、お金からさらにお金を稼ぐ専門家。ベンジャミン・グレアム、ウォーレン・バフェット、ジャン・ボーグル。
オプティマイザー、平たくいうとケチ、吝嗇家。私(筆者)、ピート・アデニー、「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」のJLコリンズ。
そう、彼女は大変な節約家というか吝嗇家というかケチなのです。創意工夫あふれるケチっぷりで、貯蓄率65%でガンガン若いうちにお金をためていくのです。服なんて買わない、外食なんてもってのほか、友達と外で遊ぶ?なんで?、広い部屋?すてきなお家?いらない、ブランド物は何回か買ったけどドーパミンが一回出たらそれっきりなのでもう買わない・・・それらの行動の積み重ねで種銭をつくり、そのほとんどを投資にまわしたのです。もともとお金がかからない暮らしをしているので、旅行中も、食べて寝ることしかすることのないホテルを避け、コスパの良いAirBNBで楽しく渡り歩き、お金が尽きそうになったら東南アジアで長い時間暮らし、また北米に戻り一年が終わる。この本が出たのは2019年、さてこのコロナ禍で筆者どうやって旅暮らしをしていたのかしら。それにしてもケチは金持ちへの近道、メモメモ、うむ。
西への出口(モーシン ハミッド )
西へ、さらに西へ。自由を求める人々を追いかける、新しい同時代移民文学。中東を思わせるある街で若い男女が知りあった。人目を忍んで二人は恋人同士になるが、内戦の拡大で街は荒廃し、命の危険を感じるようになる。そんな中、国境を越えられるという「扉」の噂を耳にした。果たしてその出口はどこへ通じるのか――パキスタン出身の作家が、世界中の移民たちの風景を交え、新天地を目指す人生を鮮烈に描く。
戦地となった都市のリアルが肉薄してくる、ふわっと手が届きそうになるSF小説の領域、たまに混ざりこんでくる現実社会の情報、切れ味の良いシュッとした文体、とてもおもしろい同時代文学を読みました。
新潮クレスト・ブックスのなにが素晴らしいって、手に持った感じの固すぎず、やわらかすぎないソフトカバーの掴み心地よね。読書用のソファに寝っ転がって日曜の夜に一気に読み、「新潮クレスト・ブックスにはずれなし」と満足して本を閉じました。
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今週のニュース
・エリザベス女王逝去
・ギンレイホール今秋閉館