失ったものをもう一度手に入れることの困難さ「白い馬の季節」


時間がぽかっとできたので「白い馬の季節」を見てくる。
モンゴルの遊牧民たちがかつて活躍した緑の大地は、様々な要因で砂漠化が進み、草原を後にし街へ住まいを移す人々も少なくない。その地に残されたかのようにして暮らすウルゲンとその妻インジドマと息子のフフー。彼らの一家には賢くも老いた馬サーラルがいる。現金収入も少なく、羊たちに食べさせる牧草地はいつのまにか国有化されてしまい鉄条網で囲われてしまう。その施策のために結局遊牧民たちは土地を追われることになる。皮肉なことだ。その中でインジドマはたくましく明日へ向かって生きる道を選び、彼らの家族以上の存在である白い馬は・・・。
あまりうまいとは言えないカメラワークに涙する。緑の大地を駆ける若きサーラルとウルゲンの姿に涙する。荒れ果てた大地を一人で歩く主人公の背中に涙する。画面いっぱいに広がった青空と荒地、静かな素晴らしい映画でした。上映は今月いっぱい。神保町岩波ホールで。

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