平成十七年の「檸檬」

ベルカ、吠えないのか?
ベルカ、吠えないのか? 古川日出男
ある種を宿した軍用犬を軸にした戦争の世紀-20世紀-を駆け抜ける物語。
短いセンテンスで繰り出される密度の濃い近代戦争史。読み終わった後、ムシャラフ大統領辞任の報を聞いたのはなにかの偶然か。寝るのを忘れて朝まで読みふけりそうになってしまうほど夢中になって読む(次の日仕事があったので自制したのだ)。犬を飼っている人はつらくて読めないだろうと思われる箇所も。ところどころに、なにか、梶井基次郎の「檸檬」的なものを感じた。自分でつくる自分にしか見えない自分爆弾というか、そういうものを。
20世紀をおさらいにするには大変適した物語。時間を置いてからまた読んでみようと思います。私みたいな人間にもよくわかる、圧巻の近・現代史ですわ。
田舎に帰ってました。
あぁもう毎日天気がよくって、楽しかったわー。
又蔵の火 (文春文庫)
又蔵の火 (文春文庫) 藤沢 周平
子羊文庫から。藤沢先生は今日も暗い・・・とても暗い・・・なんてぇこったいというラストシーンが詰まった短編集。しかし藤沢先生の日本語、ちょうどよい長さで、しっとりとした質感があって、本当に美しい。なんてぇこったいという表現がたくさん詰まった短編集でもあります。
槍ヶ岳開山 新田 次郎
槍ヶ岳って、播隆上人っていうお坊様が開いた山なんですってー。それは江戸時代の末期の出来事なんですってー。・・・・新田次郎描く北アルプス(飛騨山脈)槍ヶ岳の開山にまつわる伝記物語。新田次郎さんもセンテンスが短いわー。不作から始まる一揆・米騒動・打壊しという時代のうねりから生まれた播隆上人のストイックさにココロ打たれながらも、あからさまに悪しき魂が物語で大きな顔するのが新田次郎節。おぉー、そしてこうなるかー。
そんな小説を読み終えた後、地元の新聞で槍ヶ岳の山小屋にバイオトイレを導入した記事を読んだのは何かの偶然か。
【信州山小屋ネット 連載「待ったなし 北アし尿処理」】
上のまとめサイトは、こちらのブログで紹介されていたのですが(ブログの書き主さんのなんともうらやましい生活!)、正直ここまでひどかったのかと驚かされました。ひー。そしてバイオトイレ高い! 新聞が手元にないので金額が間違っていたら謝りますが、槍ヶ岳が導入したのは全部で一億六千万円したそうですよ! ぎゃー!
ところで今回田舎で、小学校2年生の甥っこに「ヒグマニアの2巻ってないの?」と聞かれたのが収穫でした。いや、収穫だからといってなにがどうこうするわけではないのですが。。

3 COMMENTS

mine

20数年前、槍ヶ岳の山小屋のトイレで(確か頂上に一番近いところだったと思う)、お尻を拭いたティッシュが下から吹き上げる風で頭の上を舞ったのを思い出しました。匂いも一緒にね。

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スガ

生々しい記憶・・・ですね・・・。
しかし山小屋というある程度心構えができている人たちがくる場所でし尿処理のような問題があることを考えると、震災などの非常時にはどうなってしまうのでしょう・・・買おう、緊急・災害時用トイレ!

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かちゃにゃ

ヒグマさん2巻?うひょ??
姑が持ってったまま帰って来る気配がないので
もう1冊買いましたよ、ヒグマボン。
こちらで取り上げておられるので
藤沢周平熱が10年ぶりに再燃いたしました。
近所の文房具屋兼書店にもちゃんとおいてあるので
つい買っちゃうんだよなぁ。。

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