山本一力「蒼龍」

蒼龍
蒼龍 山本 一力
どうしてこの人の書くものにいきなりはまったかというと、「職業」というものを中心にすえた話が多いからなんだと思う。生きていくための、収入を得るための職業、自分が誇りを持てる職業について、力強く描いているからだと思います。働き盛りの人間が一度読むと初心に戻れるお話かもしれません。
大江戸殿様列伝―傑作時代小説
大江戸殿様列伝―傑作時代小説 細谷 正充
【収録内容】
名君孤愁(安西篤子)
火消しの殿(池波正太郎)
鰤の首(神坂次郎)
色でしくじりゃ井上様よ(佐藤雅美)
かたくり献上(柴田錬三郎)
引越し大名の笑い(杉本苑子)
廃藩奇話(堀和久)
「色でしくじりゃ井上様よ」というのは、浜松六万石の大名井上正甫が、内藤新宿(今の新宿のあたりです。ちなみに内藤様は桜で有名な信州高遠の藩主)の下屋敷でうっかりもにょもにょなことをしてしまい、一度はもみ消したものの、人の口に戸は立てられぬ、噂はしっかりと広まってしまい、ごろんと失脚してしまいます。この一端だけ切り取ればどうしようもないダメ大名の話なんですが、佐藤雅美さんはそこだけで話を終わらせない。この話を端緒にした長い物語を描きたくて、井上正甫の話を出したんじゃないかと思うくらい。長生きたぁするもんだ。

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