飢えながら読め! 鹿島茂「妖人 白山伯」


ぎゃばー!!!!

フランス文学研究の第一人者・鹿島茂氏が描く幕末開国明治維新大騒動『あなたソンノーハ?それともジョーイ派?』異色長編小説「妖人白山(モンブラン)伯」、もー小説読んでこんなに興奮したの久しぶりー。あんまりにも内容が濃いので、10ページくらい読んで、一度本を閉じ、はぁとため息をつき、描かれていたことが史実だったらどうしましょうとおたおたし、また気を取り直してもう一度挑む、そんな小説です。
物語の主人公は、幕末から明治にかけて、日本とフランスを手玉にとった実在の大山師・モンブラン伯爵。この小説を読んじまったら、幕末開国陰謀論やらフルベッキ写真なんかかすむかすむ。原敬と黒田清輝は○兄弟ー、井上馨と後藤象二郎も○兄弟ー、幕府がしでかした失策の数々ー、御旗の錦のからくりはこれだー、徳川慶喜はこうやって大阪から江戸に戻しちまえー、大久保一蔵はこうやって指示を受けたー、万国博覧会の琉球王国出品顛末についてー、実録風雲博徒録・為替相場はこう動かせ! 妙に納得できちゃうことが滾々とあふれでてくる説得力満載の異色小説。
ちょっとでも幕末まわりの本を読んだことのある人間だったら「わーわーわー、どこまで事実なのか確かめたいわー!!」と、何度もおたおたにやにやわくわくできちゃうおもしろい小説です。そして読んでるそばからWikipediaでいろいろ調べたくなっちゃうんですが、それはもったいない、まずはパソコンのない空間に移動し、物語世界に没頭して「うぅー実際どうだったか確かめたいぃぃぃ」と飢えながら読みすすめ、最後に脳みそがくがく揺さぶられて「はわわー」とため息をついてから、おもむろに関連事項について調べていくのが楽しいと思います。ふぅ!
ひとまず私、「竜馬がゆく」を読んでみるわー。
その頃のフランス風俗についての本も読んでみるー。
ボードレールも読んでみるー。
それらを読み終わったあと、もう一度この本読み返したいと思います。
石川英輔先生みたいに、なんつーかー見てきたような小説なのよね。“多少”以上の教養を必要とする感じが憎いあん畜生って感じー。関係ないけど、漫画『モテキ』の教訓は「童貞は十代のうちに捨てておけ」です。この小説は「歴史とは酸いも甘いも噛み分けたい」です。
でも鹿島先生の「悪女の人生相談」はそんなに面白くなかったです。村上龍の「わたしは甘えているのでしょうか?」〈27歳・OL〉のほうが面白いですー。
しかしこの頃の日本人ってアグレッシブだしワールドワイドだしインターナショナルだわー。やるなー。

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