町田康「猫にかまけて」

久しぶりに町田康の「バイ貝」読んだらニヤニヤが止まらなくなったので、他になにかないかしら、そうだわ、確かこの方猫ちゃんのエッセイ書いてらしたわ、シリーズものになっていたはずだわ、ちょっと読んでみましょう、ほほぅシリーズ最初のものは「猫にかまけて」というタイトルなのねぇと購入して読んでみました。平成１２年４月から平成１６年４月までの愛猫たちとの日々を描いたエッセイ。。。。。なんですけど、町田さんが自ら撮られた猫ちゃんたちの目がくわっと見開いたフラッシュ満載のお上手とはいえないお写真、濃厚な色使いの濃密なインテリア、「貧乏暮らし」とおっしゃってますが２人同時に使えるゆったり洗面所のおうち、あらあら結構部屋数の多い物件にお住まいなのね、さすが芥川賞をおとりになる作家さんは違うわねぇなどと、いけませんいけません、収録されているお写真からあふれでる情報量が多すぎます！　あ、いいです、わたし、ここで作家さんの私生活に立ち入るのはやめておきます、えええぇ、あのワンちゃんとの日々を描いたエッセイでは自分のことを「おとうしゃん」と呼んでらっしゃるとからっしゃらないとか、あわわわ、作家さんがそんな自意識でいらっしゃるという側面を、わたくし、知りたくはなかったー！！

町田康の朗読会に一度参加したことがあります。会の終わり、参加者との質問のやりとりの時間が設けられました。「ハイハイハイハイハイ」と威勢のよい挙手をしたずばり町田町蔵世代のお姉さまが「はい、あなた」とあてられガタガタと席を立ち、鼻息荒く質問を開始されました。

「●●年●●月の●●●のイベントに町田さんが奥様とおぼしき派手な女性と一緒にいらっしゃるのをみかけましたが、あれは町田さんだったのでしょうか？」

お、おねえさま、それっていま朗読会のあとに作家さんにお尋ねする内容？　しかも作家さんの配偶者かもしれない女性を「派手な」などと形容してアワワ。作家さんは淡々と「そのイベントには行ってません、人違いですね」と答えてらしたけれども、アワワ。もしかしたらあの方、長年のファンでファンでファン過ぎて「世が世なら私が町田康の嫁だったかもしれないのにぃぃぃ」という若干タラレバが入っていたのかもしれません、怖い。ファンとしての振る舞いも問われる凍りついた空気のこの朗読会は深く記憶に刻まれているのですが、そしてこの猫のご本は自らも猫飼いとしての振る舞いを顧みる必要があると反省を促される内容のものでした。

ていうかやっぱりヒグマニアのカサヤン家って、大変なインテリアとカメラ術の合わせ技だったんだなと！　あれがデフォルトって思っちゃいけないのよ！