百名山孤高の人は氷壁に/ヤマケイ新書 明解日本登山史

明解日本登山史 (ヤマケイ新書)

山岳信仰の役小角から、ゴルゴ13 119巻「白龍昇り立つ(名作!)」でも絶賛されたアルパイン法の山野井泰史まで、日本の登山に関する歴史を一気に知ることができる良書。マーカー引きすぎて紙面が真っ黄色ざます。

古代から中世まで登山家といえばほぼ宗教関係のひとたち、江戸時代になって奥深い山地を天領として抱える諸藩のお廻り役人が山を登るようになる。明治時代になって外国人がやってきてレジャーとしての登山が輸入され、明治・大正と大学の縦つながりの登山部が隆盛を誇る。昭和5年に山と渓谷社が生まれ、山岳雑誌が刊行される。戦争で登山ブームは途絶えるが、戦後復興とともに登山ブームも再来、1949年の「フジヤマのトビウオ」、同年秋に湯川秀樹のノーベル賞受賞、1956年の日本登山隊マナスル登頂を日本三大快挙と呼び(初めて知った!)、ブームはさらに加熱していき空前のリゾート開発ブームを招いていく・・・。

超駆け足で紹介するとそういう内容なのですが、地理や気象を把握するための国家事業としての登山、信仰の対象としての登山、金持ちの道楽としての登山、スポーツとしての登山、文化としての登山、観光産業としての登山・・・、様々な側面から登山というものの姿を眺められます。

明治維新から大正時代まで、登山が貴族というか一部の選ばれた人々の遊びだった時代のエピソードは派手なものが多ございますが(欧州留学時代中にちょいと足を伸ばしてスイスのアイガー東山稜登っちゃったとか、その登頂記念に1万フランだして山小屋建設しちゃったりとか)(おい)(槇有恒という方です)(上のマナスル初登頂のリーダーでもあります)、「おっしゃ!冬の日本アルプスを縦走しようぜ、ついでに映画撮っちゃおうぜ!」と地元民に山小屋を作ってもらいながら踏破していった名古屋のお坊ちゃまの話などは最高でした、そのご予算たるや現代の金額に換算して20億。

・・・・ほんと、北海道でアイヌが残したという金塊を命がけで追ってる場合じゃないよ・・・あと樺太の旅も鯉登少尉がいなければ予算的に無理だったのもうなずけましたよ、あ、ゴールデンカムイの話です。

参考文献リストがほしいところですが、参考文献だけで一冊の本になっちゃうんだろうな。長野県の方には馴染みのある地名がたくさんでてくるので、ゆかりのある方たちはお読みになってみてはいかがでしょう。

 

アイヌの金塊をめぐって男たちが血みどろの戦いを繰り広げるロードムービー漫画、ゴールデンカムイ最新刊は2020年12月18日発売だよ!
ゴールデンカムイ 24 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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