THE ICEMAN 氷の処刑人/あふれるばかりのマイケル・シャノン地獄!

誰もが羨む優しくてリッチで家族思いの素敵なパパ・マイケル・シャノンが、実は殺し屋で大量殺人鬼じゃった!!! 妻のウィノナ・ライダー困っちゃう!!!  解説はヤフー映画から。

実在した殺し屋リチャード・ククリンスキーの姿を描いた、実録クライムサスペンス。家族に殺しの仕事を隠し通し、100人超を葬ってきた彼の20年を追う。監督は『ザ・カオス』のアリエル・ヴロメン。『マン・オブ・スティール』のマイケル・シャノンが、良き家庭人にして冷酷な暗殺者でもある主人公を熱演する。また、『若草物語』などのウィノナ・ライダー、『127時間』などのジェームズ・フランコら、実力派が脇を固める。事実は小説よりも奇なりを地で行くリチャードの人生に、ただただ驚かされる。

あのさ、『マン・オブ・スティール』のマイケル・シャノンってのは訂正してくれないかちら!
『テイク・シェルター』のマイケル・シャノンってご紹介していただけないかしら!

マイケル・シャノンが好きすぎて、マイケル・シャノンが登場しただけで、あぁもう常軌を逸した役どころよね、わかります、わかります、と思いながらスクリーンを見つめる。あぁ、もうそうですよね、暴発するなにかを抱えて生きてるのよね、わかるわわかるわ、神の気配がちらほらするけれどもそれは主人公のククリンスキーに響くはずはないわ、響くはずがないですとも、チンピラ役のジェームズ・フランコが美味しすぎるわ、とても美味しすぎるわ、『スプリング・ブレイカーズ』を見逃したのが悔やまれるわ、嫁のウィノナ・ライダーのお嬢様っぷりが見ていてイライラするわ、夫を過信しすぎてもダメよ、貶めてもダメだけど、程よい距離感をもって現実的な目できちんと見つめるべきよ! そんでまあ二十年も殺し屋やった人がまともな終末を迎えられるはずもなく、おぉっとこれ以上は言えないや。

物語の舞台は、60年代から80年代、犯罪者たちがポケベルで連絡とりあうような今考えれば牧歌的な時代。同じように実話をもとにしたデンゼル・ワシントンの「アメリカン・ギャングスター」はよいエンディングでしたが(描かれた時代も重なってます)、まぁ、ほんと、ごちそうさんのめ以子ちゃんとおしんは生まれ年で5年しか違わないってことと同じで、人生ってのは生きてたように死んでくのよね。面白かったー。ライアン・ゴズリングの「ドライブ」見てぐぐっときた方はぜひー!

ふさふさ猫ちゃんが被害に遭わなくてよかったです!

ギンレイホール、イノセント・ガーデンやってたのか! 今週金曜まで!!!


一晩あけて追記。

ウィノナ・ライダーら美人ママと二人の娘は、お父ちゃんが殺人鬼だったとは知らずに暮らせていたのだろうか。ククリンスキーは為替ディーラーと偽っていたけれど、いくら世間知らずのお嬢様でも「なんか怪しい」くらいには思ったりしたのかしら。

もともとククリンスキーは、ポルノ映画のダビングで生計を立てていた。まともな仕事じゃない、日本でいうヤクザの息のかかった仕事です。そんな彼も隣の職場のデボラ(ウィノナ・ライダー)に一目惚れして猛アタック、初めてのデートの翌年には長女を儲ける。美しいデボラのため(ウィノナ・ライダー演じるデボラは、最盛期のいしだあゆみにオードリー・ヘップバーン補正を掛けた感じ)、愛しい家族のために、もっと稼いでよい暮らしをさせたいと思っていた所、イタリア系ボスに目をかけられ、組織のメッセンジャー兼殺し屋として働くようになる。

夜遅く殺人のしごとから帰ってきたククリンスキー、子供にミルクを作ってやりながら、デボラが見ていた不動産の広告に目を落とす。今よりちょっとよい地域のちょっとよいアパートメントの広告。フーンと眺めていると、目を覚ましたデボラがリビングにやってくる。
「(赤ちゃんと)何話してたの?」
「(赤ちゃんは)●●●のアパートメントに住みたいんだってさ」
「そんな・・・わがままは言わないわ」
「なんでだよ、男に頼るのは悪くないことだろ?」
「あなたは十分頼れる男よ」

「男に頼るのは悪くないことだろ」とか言われてみたかった ☆(ゝω・)vキャピ まぁそんな感じで頑張るククリンスキー、人を殺した報酬でリッチな暮らしの構築に邁進してくざます。それから十数年、私立の学校に二人の娘を通わせ、相棒も見つけより高度な殺人技術を手にし、人生を謳歌してるところではこんなやりとりが。

「あなたのスーツをクリーニングにだそうとしたら、中から●百ドル出てきたわ」
それは殺人の報奨だったのだけど、ククリンスキーはしれっとこう答える。
「フランを売ったら300万ドルほど儲かった」
「そんなに?」と幸せそうな顔でククリンスキーの胸に顔を埋めるデボラ。

「デボラ、仕事の難しい話、わかんなーい」って思ってますよね、思ってますよね?!
1970年代の専業主婦はそれでもよかったのかしら?
夫の仕事をそれほど理解してなくってもよかったのかしら?

しかし、そんなある日、ボスとの溝が深まり、ククリンスキーの仕事が減り収入が絶たれそうになる。為替ディーラーのくせに毎日家にいるようになり、デボラも不審がる。

「ねぇお願い、あなた、(仕事休んでるけど)本当のこと話して」
暴れるククリンスキー、食器を投げつけ、飾り棚のものを落とし、壁を叩くククリンスキー。
「家も買ってやった、娘も私立に行かせた、いい暮らしをさせてきた、なにが不満だというんだ!」
夫の激昂に妻はなすすべもなく、「ごめんなさい、許して」とすがりつく。
このとき、妻は「この人を怒らせてはダメだ、多少のことは目をつぶろう」と心に決めたんじゃろうか。

ククリンスキーは、2006年に刑務所内で死亡します。1960年代にデボラと結婚したということは、1940年代生まれといったところでしょうか。すると奥様のデボラはまだご存命かもしれません。娘たちは事故や病気にでも遭わない限り、まだまだお元気なはず。彼女たちのその後の人生はどんなものだったのかしら、と考えていたら夜眠れなくなっちゃいました。

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