たいへんな国なのそこはアイルランド/フランク・マコート「アンジェラの灰」

アンジェラの灰  新潮クレスト・ブックス

悲惨、また悲惨。
けれど、わがアイルランド少年時代。

名人級のユーモア、天性の語り口。全米ベストセラー1位を続け、ピュリッツァー賞も受賞した回想録の傑作。

1930年生まれのアイルランド系アメリカ人のフランク・マコートの少年時代を描いた回想録。日本では1996年に新潮社から出版されました。映画にもなりました。働いても働いてもお給料をビールにして流しこんじゃうパパ(『28日後』のロバート・カーライルで再生)、「こんなバカ亭主のところに嫁いじゃって」と嘆く割りに意外とポコポコと妊娠しちゃうママ、この二人の長男として生まれたフランク少年! 差別差別差別、のべつ幕なし差別差別、ダブリンから西へ車で3時間(2014年現在)のリムリックというカソリックの多い街で成長していく少年の、貧困貧困、不衛生不衛生、教会からのほどこし、生活保護、失業保険、川の放つ湿気、酔っ払った父親が夜中に子どもたちを叩き起こし「アイルランドのために命を捧げられるか!」と叫びだす、あぁもう大変、本当に大変!!! 

歌うようなリズミカルな文章はとても読みやすく、この物語にどっぷり浸っていたくなりますことよ。次にアイリッシュダンスを見る機会があるとしたらもっと厳粛な気持ちで見よう、とか、ゴルゴ13のIRAの女兵士を描いた「冷血キャサリン」とこの作品を読めばアイルランドの歴史のことはほとんどわかるのではないのかしらとか、「奥さん、リムリックじゃ、みんな無知に育つ。なんにも知らずにいて、女になる前にもう母親だ」とか名言たっぷりで、堅苦しくなくてちょっとおもしろい、面白すぎる。

このごほん、出版当時はロングセラー&ベストセラーだったそうで、1999年には映画化されてました。Wikipedia で今、知りました。飲んだくれのお父さんは、あら、やっぱりロバート・カーライルが演じてました。ですよねー、あの年代に、あの年ごろで飲んだくれの父親役をやるといったら、やっぱりロバート・カーライルですよねー。ロバート・カーライルの他に、誰がっ、あの父親役をっ!!! 近いうちに映画を探してみてみましょう、当時37歳のロバート・カーライルをぜひ拝んでみましょう。ていうか当時37歳のロバート・カーライルのためにあるような役どころですよ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください


Notice: Trying to access array offset on value of type null in /home/users/2/oops.jp-mouse-design/web/wp-kimonomichi/wp-content/plugins/amazonjs/amazonjs.php on line 637