ひたむきできらめきの青春小説/又吉直樹「火花」

文藝春秋 2015年 09 月号 [雑誌]

あら、文藝春秋一冊千円で芥川賞二作読めるのー、あらあらお買い得じゃないー、えっ、文藝春秋9月号も在庫僅少であわてて増刷したんですってー、などと、各種ネット本屋さんでは在庫なしで、近所の本屋さんの店頭覗く暇もなくそのまま帰省。そしたら地元のスーパーのレジ脇の雑誌コーナーで一冊残ってた。ラッキー。

文藝春秋を久々に買ったら、表紙がつるつるコーティングしてあって雑誌としての堅牢性が増してました。あらしゅてき。又吉さんの「火花」を読む前に、若山県知事の神様になったたま駅長の死を悼むエッセイで滂沱したり、阿川佐和子と平岩弓枝の談話で文豪セレブリティすげーとうなったり、興味深い記事がちらほらとありなかなか又吉さんまでにたどり着くことができません。そして又吉さんにたどり着いてからはさくさくと。あらすじはAmazonから。

お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。

読んでいる間、この神谷先輩は町田康や中川敬でずっと再生されておりました。後半はずっと中川敬で、あのオチの部分も含めて。町田康を意識しすぎないようにしすぎないようにしすぎないようにぃぃぃぃーと思って書いてらしたのでしょうけれどもなにかしら漏れ溢れ出てくるものが、うふふふ。きらめきの青春小説でございましたことよ。町田康の「告白」を読み返したくなりました。

火花

この9月号で佐藤優さんが「火花」を大絶賛してまして、その論評もあわせてぜひー。

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