概要はamazonから。
二人で何本も徳利を空にして、ゆらゆらと並んで歩く暗い夜の情景―「さやさや」。ちょっとだめな男とアイヨクにオボレ、どこまでも逃げる旅―「溺レる」。もっと深い仲になりたいのに、ぬらくらとすり抜ける男―「七面鳥が」。恋愛の過ぎて行く一瞬を惜しむ、傑作短篇集。女流文学賞・伊藤整文学賞受賞。
随分と不穏な印象ではないですか、奥様ー。この本は解説が素晴らしい。愛欲に溺れ逃避行を重ね人間ではない何者かの不死のものになってしまいそんな怪しげな恋の道行に導くのは、実は・・・・という解説、種村季弘さんが書いてらっしゃいます。この解説とセットで初めて腑に落ちる物語でございます。電子書籍は解説がないパッケージのものが多く、読後にもどかしいものを感じることがありますが(もちろん、世の中にはあってもなくてもよいような解説も多々ございますが)、これはよい、この解説とセットでひとつの世界だ・・・ということに、この本が出た当時に2002年頃のわたくしはちっとも気がついてなかったのですけれども。すごいね、伊達に年重ねたわけじゃなくってよ、えっへん。