山笑ふ美醜格差の三千里/サムソン高橋・熊田プウ助「世界一周ホモの旅」「世界一周ホモの旅DX」「世界一周ホモの旅 祭」

世界一周ホモのたび

世界一周ホモのたびDX

世界一周ホモのたび 祭

あんなに嫌いだった飛行機も香港に何度か遊びに行ってる間に好きになり、2010年頃から長い休みを取る精神的余裕もでき(海外でも通信回線が確保しやすくなりなったのも大きい、其の点でもiPhone偉大だね)、飛行機乗る前に空港で酒のんで、飛んでる間も酒のんで、帰国直前のぎりぎりまで酒飲んで、いやー楽しい、海外は酒も安いし酒税の関係で日本の酒も安いし、アジアで飲む白ワインはアホみたいにのどごし爽やかでうまいし、食事は楽しいし、日本で泊まったら「パードン?」といった米国資本のホテルが逆の意味で「パードン?」な価格だったりすることもあり、ああ楽しい、体調が戻ったらまたうふふふふと遊びに行きたいものですじゃ、などとと思っていたのですが、この本を読み終わり「あたいの海外旅行って・・・なんてチャラいのかしら・・・・なんて高コスト体質なのかしら・・・・」と反省頻りの最中です。

これはホモの作者がハッテンバを求めて世界中を旅するお話。台湾、中国、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア(2004年の津波にも遭ってる)、トルコ、シリア、ブタペスト、クロアチア、ケルン、パリ、イスタンブール、アンカラ、ヴェネツィア、ミラノ、トリノ、ボローニャ、フィレンツェ、ローマ、ナポリ、ベルギー、スペイン、マドリード、バルセロナ、シッチェス、東京、大阪、作画担当の熊田プウ助氏が訪れたサンフランシスコ! なんて多彩な都市群! まるでくるりの歌みたい!!

ゲイ文化のある都市を選んでの旅が多く紹介されているので、辺境の土地よりは成熟した都市のお話が多く、またサムソン高橋氏はなかなかの吝嗇家なのであらゆるものに対して(ハッテン先のゲイサウナの入館料にまで・・・)大変シビアな目を持ってらして、「好きな言葉はコスパ☆」という名言を残されていらっしゃいます。下手な旅ガイド本読むよりも現地の様子が手に取るようにわかる。リーマン・ショックの後、日本円以外全面安となった時期、機を逃さず機敏に行動されている。見習いたい! 梵天丸も見習いたい!

この三冊を読んで行ってみたくなったのは以下の3カ国!
・「豪華なランチにシャンパン飲み放題で1200円」「世界一豪華なマクドナルド」があるブタペスト。
・「街並みも重厚で美しくてかわいくて多少汚らしくても(中略)雑多で豊かな感じ」のベルギー。
・「ヨーロッパ随一の観光国」「物価も安いし人も優しい(世界経済フォーラムの観光競争力ランキングの親しみやすい国民性で6位)」のクロアチア。

こう言ってはなんですがホモのハッテンバめぐりをテーマにした漫画で、「この国には行ったるわい!」と旅心をここまで本気で炊きつけられるとは思ってもいませんでした。アフリカ大陸・北米大陸・南米大陸の情報がないので「冒険感」は少ないですが、これからバックパッカーを目指す人達は、この本を読んで、なんとなくのその国の感触やコスト感をつかむといいんじゃないかしら。「ごめん、僕はストレートなんだ」な男性には近づかないほうがよい場所リストとして役立ちますし、「むしろホモな俺!」な男性にはここにいけばよいのかというガイドブックにもなっています。

サムソン高橋氏は各国のハッテンバに果敢に挑むもののあまり芳しい成績が残せておらず、「ホモに関してていえば『日本でダメだから海外で』なんていう希望は存在しません!」「日本でモテないホモは海外でもモテない」と断言されています。いまになって慌ててグローバル人材とか言い出してる日本の企業や大学に聞かせてあげたい名言ですわね・・・。ホモのみなさんは、ハッテンバにいけば自動的に誰かしらとなんらかの結果を満たせるものかと思っていた私は、そこにいた全員に拒否されるという状況に追い込まれることがあるのかとびっくりしました。そしてそんな思いを何度かしているのにまだ海外に旅立たれる高橋さん・・・すごい・・・すごいよ、そのタフネス! パリの空いてるカフェエエでなんともいえない席に通されそうになったのを阻止した私にはその根性はないよぅ・・・。

高橋氏はシリアにも行ってます。シリアに行ったことがある人はみんな「いいところだった!!!」ていうのですよね。高橋さんがいったのは2005年。「最近では反政府デモで人が亡くなったり警察権力が強すぎたり、北朝鮮と仲よかったりきな臭い感じですが、俺的にはシリア居心地よかったの」と紹介しているシリア。あれから10年、まさかこんなことになるなんて。今は行きづらくなった土地の話を読むと胸が痛みます。国って滅びることがあるんだよ、そう思って生きていかないとね。

「世界一周ホモの旅 祭」はパリのLGBTパレードから始まる各国のその類のお祭りのお話。この巻にのみ作画の熊田氏のサンフランシスコでのゲイパレードへの参加ドキュメントが収録されています。熊田氏も東欧で手痛い洗礼を受けているのですが(平たくいうとハッテンできなかった、もっとひどい表現にすると誰にも相手にされなかった)、サンフランシスコでは異国の仲間たちに暖かく受け入れられています。「よかったじゃん、熊田さん!やっぱりアメリカ人ってのは大らかで優しい人種なんじゃない?」と読んでるこちらもほっと心があたたまるシーンでした(レザーコスチューム着用の本人イラストが掲載されているのですが・・・・)。これから変な大統領を選ぶことになっちゃうかもしれないけど、アメリカ人って基本的にはお客様ウェルカムな態度を示してくれる人たちなんじゃないかなー。

で、直近の課題としては、台湾の高速バスの設備がすごいらしいので乗ってみたい、紹介されていた台南にも行ってみたいと目標を立てました。台湾のゲイシーンは日本に比べてすごく進んでるみたいです、私は屋台のドラッグクイーンのところでちょっと感動しました、この辺のことは読んでみてのお楽しみ☆ 

現時点ではこの3冊セットでまとめ買いしても217円なのでなにか琴線に触れた方はぜひ!!

同じことを題材としているのに・・・・しているのに・・・・
囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics  ihr HertZシリーズ 129)

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