頑張らない器を求め山笑ふ/2016年介護の旅

ロイヤルコペンハーゲン ブルーフルーテッド メガ 18cm ボウル 2381456【並行輸入品】

介護というても、微妙な表現ですが一人は元気な寝たきりで、二人とも直近の記憶が曖昧だけどまだ激しいボケはなく、ご飯と生活の世話をするのが私の主なミッションで、しかし田舎の家は空気も良いし庭も広いし畑もあるし、数年前トイレとお風呂を全面改築したこともあり古い家なりに使い勝手も改善されていて、読みたい本はKindleで買えるし、なにかあればAmazonとヨドバシカメラが運んでくれるし、スーパーに行けば新鮮な野菜がうひゃっほうという値段で売られているし、これで母親が猫嫌いでなければウカやんと田舎で暮らせばええですやん、たまに仕事の時に東京行けばいいですやん、と思うのですがいかがなものでしょう水曜どうでしょう。

実家の台所は、というか調理スペースは横幅120cm、シンクは横幅80cm。調理スペースの上はなにも何も置いて無く、なにも設置されてなく、常にステンレスの広野状態、なんだこの広さ、机かよ。母親が50代のときに自腹で改築したのでした。その前のキッチンの様子はまったく思い出せない。いま思えばこの台所は、母親の仕事場であり一番楽しい創作活動ができるデスクトップだったんだよね。その料理好きの母親の最後の手料理が2年前に一緒につくった恵方巻きとなってしまったことを考えると切なくて仕方ない。もっといろいろ一緒に作っておけばよかった、郷土料理を教えてもらえばよかった・・・などとおセンチな気分でいると、寝室から呼びつけられ、一日一品なにかしら料理のレシピを教えてくれる。口伝でも失敗しない簡単なものばかりだけど、アレンジせずに伝えられたとおりに作るようにしてる。山椒とくるみの味噌なんか、母親の味を再現できる自信がない!

料理のあと、食器に盛りつけるんだけど、実家の食器ってなんでこうも使い勝手がよいのでしょう。「伝統工芸を現代に蘇らせる」といった手の込んだものでもなく、「匠の技をモダンにアレンジ」したデザインデザインしたものでもなく、特殊すぎる形状でスタッキングできないといったこともなく、「シンプルでありながら使い勝手のよい」というほど素っ気ないものでもない。植物の絵柄がほどよく藍で入っていて、ちょうどよいサイズで、田舎特有の茶色多めのものやどんな料理を載せてもそこそこ見栄えがよく、毎日のおかずに釣り合ったお皿。「あー、そのお皿、うちにもあるー!!!」と友達の誰かにいわれそうなありふれた品物なのですが、こういう類のものは平成のいま廉価版とか普及版とか大量生産品とか云われてあまり出回ってないのでしょうか? 程よくっていいのに! 身の丈にあってていいのに! そんなに頑張らなくていいのに! ある意味このほどよいセンスのよさも日本の伝統工芸、あるいはお家芸といってもいいものなんじゃないかしら。私の食器センスは昭和50年代のそれで止まっているのかもしれませんが。まぁ、それじゃぁいまどき売れやしないってだけかもしれないけどね。

ロイコペはいいぞ。このブルーパルメッテシリーズは、デザインの配分がほとんど和食器のノリだぞ。

ロイヤル コペンハーゲン  ブルーフルーテッド メガ ベースM

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