平成の豊かな森ってなんだろう/「きらめ樹 森の蘇り」間伐作業をやってきた

平成18年、長野県岡谷市で集中豪雨のため大きな土砂崩れが起きました。「平成18年7月豪雨」とか「2006年豪雨」と呼ばれるものです。被害の様子は中央高速道路からも見ることが出来、随分な被害であったと記憶しています。このときの土砂災害の様子がこちら(アジア航測株式会社:「平成18年7月豪雨」 長野県土砂災害(2006年7月))
拡大写真を見てもらうとわかるんだけど、すべて同じ形の木のところが土砂崩れしているのです、つまり戦後、人が植林したエリアがごっそり崩れ落ちているのです。

日本は豊かな森と水と引き換えに、水にまつわる災害となかなか縁が切れず、台風や梅雨の季節には毎年どこかで人命が犠牲になるような被害が発生しています。だけど、それってどうにもならないの? 地震の時は根が張っている竹やぶに逃げ込めって昔からいうけれど、人間が植林した森ではなく、自然のままに多様な木々で構成された雑木林ならばその役目を果たせるんじゃないの? 砂防会館はなんのためにあるの? 政治のためだけなのでしょうかー! でしょうかー! と、常日頃感じてたわたくしですが、「高尾山でやる間伐作業に行ってみない?」と友人に誘われ、『NPO法人森の蘇り』さんのイベントに本日行って参りました。

高尾駅下車、陣馬山行きバスに乗って恩方村の森林が本日の作業地。三々五々人が集まり10時半イベント開始。代表の方の挨拶とこの活動の趣旨説明と皮むき間伐のデモンストレーションを見る。木を抜粋する間伐と、樹の皮をはぎその木の生命を止める皮むき間伐の二種類があるんですってねー。木を伐採してしまう間伐だとお互いが支えあっていた森の形が変わってしまい、周囲に残した木々に却って負担をもたらしてしまうそうです。皮むき間伐は、皮をむかれて裸になった木が自然にゆっくりと死に向かい、しかし森を支える役目を失うことはなく、それ以上枝や葉が茂ることもなくなり、林床に陽の光が届き、空いた空間から鳥がフンを落とし新しい種を蒔き、そこに植物が生え、それを食べに動物たちがやってきて、豊かな森に再生されていく。その期間、なんと2~3年! 10年も見守っていけば、自然の形に近い森の姿に戻っていくんだそうです。私達が生きている間に本来の姿に戻っていくのを見届けられるかもしれないのです。うわー、姫様、夢の様な話じゃて! 

こちらは、昨年皮むき間伐したエリアで、樹皮がベロンと向けているのが皮むきされたもの。空の近くが明るくなっており、下草も豊かに生えているのが確認できました。森の中の木はヒノキです。

皮むきはまず鎌で樹皮を一皮剥き、竹を削ったヘラでぐいぐいと剥いでいきます。

左の男性が抱えているのが剥いだ皮、右の女性が根本まで竹のヘラで皮を剥いています。

木の一周分の皮を剥ぎ終わると、襞スカートみたいに樹皮がはがれてます。それを周囲の人間たちが掴んで、一斉にべりべりべりーっと皮を剥くのです。樹皮は虫が好きな栄養だらけなのでなるべく虫がつかないよう上へ上へと高く高く剥いていきます。ここは男性向きの作業、お父さんたちの腕の見せ所!

といった作業を終えるとこのように白いつるりとしたヒノキになるのです。

樹皮をむかれたヒノキは、まさにヒノキの色で、水分をたっぷりと含んでひんやりとしていてとても手触りがよいのです。木ってこんなに瑞々しいものなのかと感動するくらいです。「あぁ、ごめん、人間の都合でこの地で植えられたのに、人間の都合でおまえの命を断ってしまったね」と感謝を込めて撫でました。おつかれさまでした。皮むき間伐された木は数年後に間伐材として利用されるというので、彼らの寿命もまっとうできるそうです。

作業が終わったあとは自由解散。ライブやワークショップがあったようですが、鎌おばさん2人はささと下山し、激混みの西東京バスに乗り高尾駅に戻り、東京へ戻る中央線のホームがわからず迷い、中野の乗り換えでも東西線の乗り場がわからず迷い、2人で神楽坂で下車したらなんと青空フェスタという明るすぎる麻布十番祭りみたいなことをやってて、そこで算数の苦手なイタリアン食材屋さんで波なみとカヴァを注いでもらい、子どもたちの元気な笑い声が響く近所の公園で酔っ払い反省会を開催したのでした。楽しい日曜日でございました。

日本の戦後林業ってメッタメタだったらしいんですよね。この辺の勉強したいんですけど、どこから手をつけていけばよいのかしら。今から始めれば生きているうちになんらかの手立てがつけられるかもしれないので、なにか始めてみたいとおもうところでございます。

2 COMMENTS

asoyoko

お疲れ様でした。
楽しかったですねー!
自分がか「きらめ樹」した木材を将来、何か自分で使うものに加工したいなあ(机とか)…などと妄想が止まりません(^^;;
あの樹の皮も、染料にしたらどんな色になるのかしらん。
…森って、改めて豊かですね。

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ukasuga

楽しかったですね!声かけていただきありがとうございました。
手軽に参加できる林業を知ることができ刺激になりました。
こういう間伐材を使って古い駅舎などが新しい見栄えのものになるのをよく見かけますが、最後まで使命を全うさせたいものですね。

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