団塊の世代は皆東京へ/生活支援ハウスというコンパクトシティと人類が体験したことのない人口ピラミッドのお話その2

俺ら東京さ行ぐだー[EPレコード 7inch]

その増築に増築を、あわせて使い勝手よく改築をなされてきた生活支援ハウス。運営を重ねてきていろいろと改善すべき点も見えてきて、たとえば、段差のあった狭い玄関は段差をなくし廊下の壁を取り払ってつなぎ、明るくとても広いロビーに改築。そこにも地元の間伐材がアクセントとして使われ、「MUJIの家ですかい」と確認したくなるような気持ちのよい空間に。その奥の野戦病院のように二十台ほどのベッドが点在しているスペースは、パブリックお昼寝スペース。かつて廊下だったところに明かり取りとして使われていた吹き抜けの窓からは、気持ちのよい秋の日差しが差し込んでいます。ちょっと気軽にお迎えがきそうなほどの和やかな空間・・・・。

しかしこの増築に次ぐ増築、ここらへんで打ち止めなんでしょう。父親たちの下の世代から急に人口が減っていくのです。人口ピラミッドでいうと、見事すぎる逆三角形を描いているはず。似たような人口ピラミッドの図はないかしらんと探してみたらちょうどよいのがありました。ちょうどこんな感じなんですよね。

高齢者が一番多くて、そのあとの世代からスパーンと減ってゆく。地元に残ったご家族のみなさんが笑福亭釣瓶に乾杯されながら、100年の間に五世代更新するような早婚を繰り返しててやっと自治体としてキープできる状態に(我が家は100年の間に3.5世代しか更新できなかったの、もともと晩婚の家なの)。地元ではいわゆる団塊の世代の人口はごっそり抜け落ちていまして、だって、ほら、みんな東京に行っちゃったから、この戦中・戦後直後あたりまでに生まれた世代が一巡してしまうとこの施設も静かになってしまうのでは。
反面、都市部では団塊世代の介護難民が急増しているんでしょう、いやぁぁこわいぃぃぃ。田舎に来れば手厚い保護が受けられるのに、こういうときにこそ「まだ東京で消耗してるの?」というべきなんですよ、ガハハ(ガハハ?)。ということは、地方では介護産業に従事されていた人たちが高齢者の人口減で雇用も減少、納税も減り、ますます縮小。都市部ではそれが15年後遅れくらいでやってくるというわけですね。いやぁぁこわいぃぃぃ。

ちなみに上の人口ピラミッドの図、国土交通省が作成した「国土のグランドデザイン2050 ~対流促進型国土の形成~」という研究資料から拝借してきたもので、実際は「山間地域の人口1000人集落の趨勢将来推計人口と移住を見込んだ推計人口」というグラフの中のひとつだったのです。

「2050年、このままなにもしないと山間僻地ではこうなってまっせー」という人口ピラミッドの予測図なんですけど、あははは、老人のいる施設ばかり見て回っているからかしら、別にモデル地域ってわけでもないのに、私の体感では、2016年のいま既にこんな感じに見えるんですけど見えるんですけど! 時代の先端行き過ぎているんですけど! だってみんな東京に行っちゃったしねー。もちろん大阪とか名古屋とか東京以外の場所もあるんだけど、みんな東京に行っちゃったもんねぇ。

最後にこちらです。これも2050年の未来予想図☆ 

緑の地域ってなんだと思います? 四国とかど緑じゃないですか! 中国地方も瀬戸内以外はど緑、和歌山も岩手も相当ど緑! 高校野球で四国勢が最近すごく弱くなってきていますし、鳥取は「大正時代より人口が減った」らしいではないですか。そうです、この緑の地域は2050年までに無居住化する地点なんですって。ララ族だー、ララ族エリアだ!!!

ララ族とは、山下和美の連作漫画「不思議な少年」のなかのひとつ、『タマラとドミトリ』というおはなしです。たまに郵便飛行機がやってくるだけ、神からも人類からも忘れ去られた村に残る老いた夫婦の物語です。アラスカで見たビーバー村がそんな感じだった(衛星放送も携帯電話もなんでも揃っていたけど)。民話とも読めるし、宗教の説話とも読めるし、近未来ニッポンの過疎地域の、というより、あの緑で表されたスポットのそれぞれに最後に残った夫婦の物語とも読めます。

こんな国で新しい新幹線作って、見積もりの甘すぎる五輪を開催して、人口どんどん減ってくのに、国体維持できるのかちらどうかちら。あの増築しすぎた生活支援ハウスは、20年後慌てて移住してきた地域に縁もゆかりもない人たちでいっぱいになっているの? それとも空き部屋だらけなの? そしてわたしはなんで子供作らなかったんだろう。腹の底では「ええですやん、自分ひとりが逃げ切れれば」って考えてたの?

さて、みなさん、どこで老後を過ごします?

3 COMMENTS

ukasuga

西日本ってこんなに可能性が低いんでしょうか・・・福岡などは早婚・子沢山のイメージがあるのですが。。
これからあとわずか30年でここまでになるって、明治時代の日本人には想像もつかなかった未来でしょうね。

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