お育ちの良き人々と梅の庭/国立劇場近松門左衛門祭り「平家女護島」

人形浄瑠璃文楽名演集 近江源氏先陣館・平家女護島 [DVD]

お友達が「急用できた!代打お願いします!」と譲ってくれたチケットで。文楽見るのなんて何年ぶりかしらー。11時に始まって14時に終わるって、一体どんな演目なのかしらー、と事前知識ゼロで行ってきました。あぁ楽しかった!

現在、国立劇場では「国立劇場開場50周年記念」として『近松名作集』というテーマで興行してるざんす。第一部は平清盛と平氏打倒を企てた俊寛との一連のやり取りを描いた「六波羅の段」「鬼界が島の段」「舟路の道行より敷名の浦の段」の三部作。第二部は「曾根崎心中(そねざきしんじゅう)」、第三部は「冥途の飛脚」。どれもよく知られている名作ぞろいですが、わたくしが観賞したのは第一部の「平清盛祭り」。

「六波羅の段」は着席後15分で、ヒロインであるところの俊寛の奥様が自害して、ぎゃー! その数分後に奥様の首がかっ切られて再びぎゃー! 「清盛様ー、俊寛の嫁はあんたになびくといってますぜ」「ほんとか?でかした?嫁はどこ?」「これだよ」と奥様の首をゴロンと投げつけてぎゃー! そんな清盛邸に遅れてやってきた助っ人有王丸が派手に暴れてぎゃー! 「俺は、俺は、強かですたい!」と啖呵を切るが、能登守教経に「黙れ糞ガキ!」と一蹴されて終了。そこまでで30分。ザ急展開! そして30分の休憩。ザッツ急展開!!!

「鬼界が島の段」はその俊寛の流刑地でのお話。流刑地で寂しく惨めに暮らしている俊寛たちのもとに、都から恩赦を知らせる船がやってくるが・・・というお話。俊寛のお人形は大変にイケメンでした、線の細い関羽のようでとても魅力的。派手な舞台廻りのラストシーンではらはらと涙を。あんな切ない人形浄瑠璃ってなくってよ。

「舟路の道行より敷名の浦の段」はその恩赦の船が瀬戸内海に入ってからどういう運命をたどるかというお話。清盛と一緒の船に乗っていた瀬戸内寂聴似のお顔の後白河法皇がざぶんと海に飛び込みます。えぇ、黒子の方が放り投げるのが見えました。あわわと見ていると、それを救おうと鬼界ヶ島から一緒にやってきた海士の娘が海に飛び込みます。あわわ。法皇、海に流されていきます、どんぶらこっこ。船上の清盛は、邪魔な海士の娘が法皇を助けるのを阻止するため長い獲物で頭を押さえつけます、平たくいうと溺れさせています。あぁなんて極悪非道! なんて生き生きとした人形たちの動きなんでしょう! そんな非情なことをやり続けた清盛も、最後には精神に異常を来し、このあとの彼の運命がろくでもないものを示唆しながら物語は終わるのでした。

「敷名の浦の段」は太夫も三味線もノリノリでよござんした。ゴクリ。なまはげ祭りの生太鼓演奏会ってくらいの迫力でした。堪能しましたわ。3時間も見続けていると、舞台の上で動いているのは人形じゃなく、ああいうサイズの妖精たちではないかと思えてくるから不思議よね。繰り出される日本語がリズミカルで、日本人の言語感覚って近松門左衛門を素地にしてるところが多いんだろうなとうっとりしたり。

 

土曜日の国立劇場はなんというか、良きお召し物の紳士淑女が多ござぁして、平河町のエキゾチックレザー祭り会場でもありました。着物の方も多いんだけど、ダウンとかシルクの軽いコートじゃなくて、カシミヤとかウール、ツイードのしっとりした素材の上着を着ていらっしゃる方が多くてのぅ。「おばあちゃまが買ってくれたロエベのバッグなんです」なんかを提げてる方とかねぇ(鞄病)(私くらいの鞄病になると、ロエベ/アマゾナ/28cm/スエード/ダークブラウンで、その方のことを記憶しちゃうからねぇ)。

チケットありがとうございましたー! 堪能いたしました!

2 COMMENTS

のの吉

楽しんでいただけて良かったです。
紳士淑女多めなのも良かったです。(たまーにお隣の席の方に困惑することもあったりするし)
ありがとうございました。

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ukasuga

紳士淑女多めの席でよござんしたよー。ありがとうございました。
※ご入金ご確認くださいませー。

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