棕櫚の花海の男の足の裏/ユーリ!!! on ICE の聖地巡礼中に「ああいうのが真の勝ち組ってやつですよ」とうっとりしたお話。

唐津城の近くで見かけた青年の足の裏。

私たちは舞鶴橋を歩きながら、地元の小学生達がキスを釣っているのを冷やかしたりしていた。ふと城のふもとを見ると、民家の二階の窓から青年の足がにょきっと出ているのに気がつく。サマーベッドの上で本を読んでいる彼の右腕は、傍らに寝そべっている黒い飼い犬の頭をたまになでている。手入れの行き届いた黒いつやつやの二頭の大型犬が、ご主人様の近くに侍っているようだ。顔は見えない、長くてまっすぐな日に焼けた手足だけが見える。あの骨格は平成生まれのものだろう。足の裏はちょっと黒く、でも土踏まずは綺麗で白く明るく浮いて見える・・・・・・

今年、目にした風景の中で一番エロいものを見てしまったような気がしてハワワ、優子ちゃんだったら鼻血の垂れ幕を顔に作っちゃうくらいハワワ。ハワワハワワとしていると、「ああいう生活、うらやましいー!!」と皆が口々に叫ぶ。私も羨ましく感じながらも、田中慎弥の『共喰い』やら志賀直哉の『城の崎にて』が頭の中でぐるぐる回っていた。小説家だったらあの青年の足の裏ひとつで一本短編が書けるはず、書けないようなら小説家を名乗るのをやめてしまえばよい、そのくらい鮮烈な光景。

ぐわわー私がミッション・インポッシブルな肉食獣で容姿に自信があってメイクも洋服もバッチリでお財布の中に若い男の子を気持ちよくたぶらかすだけのお金がたっぷりあって彼を連れ出すのにふさわしいふざけた見栄えの二人しか乗れない素敵な車を持っててお友達と一緒にいなかったら、家の下まで行って二階の彼をナンパしたのに。
実際はミッション・インポッシブルでもないし肉食獣でもないし容姿に自信もないし普通の冴えない格好で現金もそこそこしかない、免許はあるけど二十年近く運転してないゴールド免許、さらにお友達と一緒だったので、橋のたもとで眺めるだけだったんだけど。あぁぁー、「常に備えよ」とはこのタイミングのためにある言葉だったのか! 

しばらくハワワとした後、友人に「あの二階の黒ラブ使いの男の子が、スタイルのいい若い女の子でもいいんだよね」と話を振ってみた。そしたら話が膨らむ膨らむ。
「あぁ、それであの小学生達は彼女の部屋が見たくって、キス釣りを口実にこの橋までやってくる、と」「そして土曜の午後は、あのお姉さんをドキドキしながら覗き見て」「たまに見慣れない車が止まってて」「その時は窓やカーテンが閉められてて」「それを見て切なくなるのよ(建国!)」「そしてその数年後、虹ノ松原海岸でみんなで海にプカプカ浮かんで『おっぱい!』と叫ぶようになるのね」「青春だー」「青春だわー」。
はっ、こうやってひとつの限られた情報から物語を作ることを二次創作といっていいのかしら? 言っていいのかも? 私にもできる、二次創作がっ!!!

ああいう暮らしができる人のことを真の勝ち組というのよね、勝ち組・負け組なんていう下品な言葉でくくれるような佇まいではなかったけど。あの黒ラブ二頭がアクセントとしては効きすぎでした。

唐津の男の子は、キス釣り小学生から海岸おっぱい坊主を経て、最後に窓辺で黒ラブ二頭と読書の午後にたどり着くとのだしたら、君たち、相当幸せな大人になれるんじゃないかな? 羨ましいですな。青春を楽しんでね。

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