麦の飯みな貧しくて気高くて/映画「 わたしは、ダニエル・ブレイク (原題 I, DANIEL BLAKE)」

わたしは、ダニエル・ブレイク [DVD]

あまりの○○さに、ハワハワと涙流しっぱなしの90分。それって○○フラグですよね、○○フラグですよねー・・・、んがー、やっぱり○○フラグじゃないですか! 続く○○の場面で涙が止まらなくなって、プールに突然放り込まれたときのように鼻の奥がツーンとなり、イギリスにこんな映画作る監督がおるのか、まるでケン・ローチ監督のようではないですか、とハンカチを頬にあてていたら続く瞬殺のエンドロール。おぉ、やはりケン・ローチ監督だったのか。ケン・ローチ監督ぅ!! 

第69回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、第69回ロカルノ国際映画祭で観客賞受賞作品です。あらすじはギンレイホールのサイトから。
2016年 イギリス・フランス・ベルギー合作映画 英語 100分 DCP
監督: ケン・ローチ
出演: デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ、ディラン・フィリップ・マキアナン
イギリスで大工として働く59歳のダニエルは心臓の病で仕事を止められ、国の援助を受けようとするが複雑な制度に翻弄される。そんな時、シングルマザーのケイティと2人の子どもに出会い… 容赦ない現実に追い詰められながらも懸命に生きようとする社会的弱者の姿と、彼らを取り巻く厳しい現実を描く人間ドラマ!

国の援助を受けようとするが複雑な制度に翻弄されるダニエル・ブレイクが、シングルマザーと出会うことによりほんわかした雰囲気になると思ってみていたら、そう簡単に話は進みません。『複雑な制度』の表現も最初の15分から30分くらいで済むと思うじゃないですか、しかしそのシーンは全編なんですよ、全編、主人公は全編、複雑な制度に翻弄されるんですよ。ひどい! ただでさえ複雑なシステムなのに、パソコンが使えないダニエルは「申請書の申込みはオンラインで」「求職はオンラインで」「この用紙もオンラインで」といたるところでシャットアウトされる。実際、私の母や父の介護の書類はすべて娘たちで記入したけど(記入させてもらえるだけまだ優しいね★)、これだってしばらくしたら日本でも全員オンラインでお申込みということになるかもしれません。パソコン使えておいたほうがいいよ、およよ。

大きい声で言っておきますよ、ハクソー・リッジより、こっちのが全然悲惨ですよ? (映画『ハクソー・リッジ』をひとつの兵士の英雄譚として捉えるならばという前提で、沖縄戦が悲惨じゃなかったという意味ではないです)しかも、いまそこにある悲惨ですよ、無慈悲ですよ、あぁ無情ですよ? そしてそれは「保守党が大好きな政策」の結果なんですよ? 映画の中でダニエルが「そうだよ、寝ているだけで寝室税もとられているからな」と文句を言うシーンがありますが、一体なんなの、寝室税って? 

寝室税とは。
2013年4月にイギリスで導入された制度で、使われていない寝室の数に対し、低所得者向け住宅手当の支給額を削減する制度。 tax(税)の名称をとりながらも実際は金品を徴収するものではなく、手当を減額するシステムである。

ひどい! いろいろとひどい! こういうのが積み重なってあの高層住宅火災が起きたんだろうな、と思うと。この映画についてはきっとブレイディみかこ先生が批評を書いているに違いないと思ったら、ありました。よろしければこちらもぜひ。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』はチャリティー映画じゃない。反緊縮映画だ。 ブレイディみかこ

花の命はノー・フューチャー: DELUXE EDITION (ちくま文庫)

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