光琳図見むと縫ひゆく庭の梅 駒沢たか子/圧倒的建築!MOA美術館で尾形光琳の紅白梅図屏風を見てきたお話

富士山を降り、湯河原から熱海へ戻り、熱海駅からはMOA美術館へ。宗教法人がやっている美術館だというので、いままで少々敬遠しておりましたが、昨年リニューアルし、炸裂する展示技術を見やがれと各種雑誌などで目にしており気になっていたので、足を伸ばしてみましたの。

「うわぁ宗教・・・せかいへいわ・・・」な壮大なエスカレーターを7つ登り、ようやく美術館エリアに到着。シックなデザインの展示室では、作品にまっすぐ対峙できるよう映り込みのまったくないガラスで覆われています。その近くまで目を近づけても、手で触れるまでそのガラスがつくる隔たりに気がつくことができないようなガラス。たまにふわっと白い曇りがあるなと思ったら、別のところでゴツンとおでこをぶつけているご婦人がいたりする、あぁあれはそういう人がつけちゃった皮脂なのか。そんな存在感のないガラス。こんなガラスがこの世にあるのかと驚きながら、国宝級やら重要文化財がしれっと並ぶ展示を見ていくと、梅の季節ということで、尾形光琳の紅白梅図屏風が展示されておりました。

えぇ、びっくり。え、これ、こんな広いスペースで、ほぼ貸し切りな状態で、作品と向き合ったりしちゃっていいの? 館内は撮影自由で、フラッシュと三脚だけ禁止、なんて太っ腹な美術館なのでしょう。入館料1600円は、この建物やお庭全体を楽しむ動のアトラクションと、じっくり美術作品に向き合える静のアトラクションのニ要素から構成されているんだなーと思うと、すっごいお手頃な感じがします(熱海駅の観光案内所に割引券が置いてあったりしますし)。

海を眺めることのできる天井の高すぎるカフェも気持ちいいし、館内をうろうろしているだけでも楽しい。本館の設計施工は竹中工務店、天国にうっかり行っちゃいそうなエスカレーターは鹿島建設。望外にゴージャス且つ荘厳な建物のなかにいると、あぁ金持ちの無害な宗教家って方は、一世代に二三人いてほしいものですなーなどとも思う。ゴーのジャス、出し惜しみないなー、やるなーと感動しつつ、新大阪発のガラガラのこだまに乗って、アサヒスパードライと格別なマリアージュを奏でる鈴廣の笹かま・明太子味をむしゃむしゃしながら東京へ戻りましたとさ。幸せ。

3 COMMENTS

ふなき

あのガラス、確か大日本印刷さんの反射防止ガラスです。低反射層と高反射層の重ね塗りによる反射制御だったか、モスアイ構造のフィルムを貼るだったか、とにかく世界最高レベルの反射防止ガラスだったと思います。一度、実際の用途を見てみたいので、今度MOMA行ってみます。

返信する
ukasuga

ふなきさん、すごい・・ガラス情報まで・・・
ほんとにね「え、これ、ガラスあるの? ないの? どっち? ガツン」という四コマ漫画が各地で繰り広げられているんですよ。尾形光琳だって写真撮ってる人間の姿がまるで見えてないでしょう? すごかったですよ!

玉三郎のはアレですね、立派な能楽堂があるからそこでやってたんですかね。いやーすごい、豪気って言葉を久々に現物でみた感じ。かなり楽しい美術館でした!

返信する
いち

昔、坂東玉三郎の舞踏公演があそこで行われてて、
えんこらえんこら行きました。
でも美術館の収蔵品は見ずに帰ったような……。
記憶がないわ!
残っているのは延々続くエスカレーター。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください