こんのゆるふわ邦題&ゆるふわジャケットがぁぁ! このジャケット、ほんとうにひどい。なにがひどいって、物語を三行でまとめちゃってるところ。営業妨害といってもいいのでは・・・。他国版はこちら。
2014年作品。ロンドンで精神科医をやっている社会的地位もちょっと高いヘクターおじさんが「ほんとうの幸せってなんじゃろうか」とうっかり旅に出て手痛い目にあったり、出会った男たちのある小道具に毎回助けられたり、素敵な友情を育んだり、現実を直視したり、最後に「ごーん、お前だったのか!」と気がつくお話。当然ハッピーエンドの物語なんですが、クライマックスでハラハラハラハラ涙がこぼれてしまいました。やられたぜ!
俳優陣がうっかりと豪華で、長身イケオジのステラン・スカルスガルド、あふるる犯罪臭ジャン・レノ、ラスボスに我らのトラップ大佐:クリストファー・プラマーが登場します。また、これは犬映画でもあります。ボヘミアン・ラプソディが猫映画だとしたら純然たる犬映画です。
この映画のサイモン・ペッグは、都心の精神科医ということで大変に小奇麗。子どもはいないものの夫婦仲は良好、奥さんもよく稼ぐ方で、部屋は常に清潔に保たれ、すべてのものが整然としているお部屋に住んでます。交通至便・インテリア最高のテムズ川沿いの日当たりの良い立地の「先進国で世帯年収三千万超えるとこんな暮らしができるのか」という羨ましさと、「ロンドンってこんなに住宅事情がよかったっけ?」と疑問符が行ったり来たりするとても素敵お住まい。悪趣味じゃないところが素晴らしい。こんな隙きのない夫婦二人暮らしインテリアのお部屋といったら北欧犯罪肌色多め映画「ヘッドハンター」以来ね!!
インテリアもさることながら、サイモン・ペッグが都会の小奇麗な中年紳士を爽やかに演じていて見ていて大変に気持ちがいい。細い縞が入ったパリッとしたシャツに薄手のシルク混の少し艶のあるニット、きちんとしたウールのパンツにウールのジャケットなんかを着ている。ハンサムでもイケメンでもないけど、髪型だって最近M字の額がくっきりしてきたけれど、常に髪を整えた清潔で親切な中年男性・・・・
もうね、これで十分! 社会でどのように見られているかを控えめに計算して、清潔な姿で礼儀正しくしているだけで十分! 派手なアクセサリーも高い洋服もお高いカバンも給料何ヶ月分相当のぶっ高い時計もしてなくていい、清潔で、きちんと、していればっ!!! 雑誌「LEON」のガツガツした雰囲気も男には必要なのかもしれませんが、ほどよく枯れた端正な中年男性(イケメンでもハンサムでもなくていいので)を目指すムーブメントもそろそろ起きてほしいものです。
[NEW (old)]Hector and the Search for Happiness
via Dave Benavente https://t.co/Er1CHhmQWT
#simonpegg #hectorandthesearchforhappiness pic.twitter.com/N5V2SVrOvg— Simon Pegg Photo&News (@simonpegg_photo) 2017年5月13日
「見ないと損をする!」という映画でもないですが、「見た時間を返せ」という映画でもないので、お時間ありましたらぜひー。トラップ大佐だけでも拝んでみてはどうでしょう?