10月31日、阿鼻叫喚のハロウィン地獄と化した渋谷へ、その地獄の最深部ともいえる円山町まで映画を見に行きました。
フィンランド大使館・フィンランドセンター共催の『日本-フィンランド外交関係樹立100周年記念イベント』の一環として行われている『東方の記憶フィルムツアー・ジャパン』の渋谷ユーロスペースの回。最終回は明日11月2日(土)、北海道大学で行われる上映会です。もしこのブログを読んで興味を持たれた北海道の方いらしたらぜひ。
渋谷駅の大混雑にまみれ(でも神泉駅経由で向かった亀の甲より年の功乗り継ぎ!)遅れて行ったら、席があまりなく、スクリーンの近くで鑑賞。あけて今朝、駐日フィンランド大使館のツイッターを見ていたら、私が見ていた視界と非常によく似た写真がアップされていた。まさか私の前の席にいたあの男性がフィンタンの中の人だったの? フィンタンというよりは、村雨辰剛さんといった感じの方でしたが。
初代駐日フィンランド公使だったラムステッドの、モンゴルと日本への旅を描いた『東方の記憶』は、脚本家のマルティ・カルティネンとプロデューサー兼撮影カメラマンのニクラス・クルストルムが製作。モンゴル研究をしていたマルティと早稲田大学に留学していたニクラスが意気投合し、9週間かけて撮影 pic.twitter.com/Qf9EPf2s0Y
— 駐日フィンランド大使館 (@FinEmbTokyo) 2019年11月1日
この作品はフィンランド人初の日本への特使グスタフ・ヨン・ラムステッドの足取りを追うモンゴルと日本への旅を描いたドキュメンタリ映画。作中では中国・韓国・台湾なども登場しています。ラムステッドは1873年生まれ・1950年没の言語学者兼外交官で、監督たちは「言語界のインディー・ジョーンズなんだよ」と紹介していました。
その言語学者でもあるフィンランド人ラムステッドの目を通し、モンゴルから日本までをカバーする東アジア近代史を辿るロードムービーともいえ、しかし映像は現代のモンゴルと日本が中心。ラムステッドが生きた100年の時間を一気に越えたレイヤーの組み立て方が新鮮でした。注意深く見ると、モンゴルと日本のそれぞれの対比を細かく重ねてもいて、しかしどちらの国にも等しく愛情を注いでいる(であろう)監督たちの思いも伝わってくる。
中銀カプセルタワービルがでてきたときは「よくツボを抑えてらっしゃるじゃありませんか」と唸ったものですが、あれはモンゴルのひとたちが暮らすグル(ゲル)のシーンとの対比だったんだよね。そういうものが都度都度でてきて、思い返しているいま、じわじわと来ている。
いままでいろいろと、人並みな量の映画を見てきたつもりですが、北の人がつくる映画は印象深いものが多く、珍作というかなんというか妙な味わいがあるというか珍作というか珍作というか、なんというか。そうそう昔、永瀬正敏が出ていた「コールド・フィーバー」という映画がありましたが、あれもアイスランドを舞台にした作品でした。あれも妙に印象深い作品でした。
あまり日本で大きな上映がされないためか、「あ、これ北欧の映画なんだ」と思って見る作品は、だいたいじわーんと心の片隅に残っていきますが、この作品もそうなりそうです。いやぁほんと珍作というかなんというか、それはともかくモンゴルには一度行っておかないといけませんね!
日芬外交関係樹立百周年切手もかわいいです。私が好きな飛行機会社はフィンエアです。フィンエアの機内放送にフィンランド大使館のツイッターアカウントのアイコンになっているフィンたんが主人公の「フィンたん日本に行く」っていうゆっるーいアニメが入ってるから今度見てみてね! トーベ・ヤンソンのムーミンママのハンドバッグに憧れて鞄病になりました。北欧の食器はとてもかわいいです。でも愛用の器はデンマーク産のものと小石原焼です。そうよっ、ムーミンママに会わなければ私、鞄病になったりしなかったのにっ!!! 鞄病にならずにすんだのにーーー!
そんな八つ当たりをしながら、おもしろい映画だったなーと噛み締めているところです。ほんとう、「珍作」以外の高尚な褒め言葉の語彙が私にあればよかったのですが。ほんとうに、語彙が、自分の。