あらすじはeiga.comから。2010年日本公開。
1987年のニューヨーク・ハーレムで、両親の虐待を受けながら希望のない日々を生きる黒人少女プレシャス。レイン先生に読み書きを習い、つたない文章で自分の心情を綴り始めたプレシャスは、ひたむきに人生の希望を見出していく。
サファイアの小説「プッシュ」を、「チョコレート」で製作を務めたリー・ダニエルズが映画化。マライア・キャリー、レニー・クラビッツ、ポーラ・パットンらが出演。2009年のサンダンス映画祭でグランプリ、第82回アカデミー賞で助演女優賞と脚色賞を受賞した。
これは公開時に見ておくべき映画でした。見るのが10年遅かった、10年早く観ておくべき映画でした。1987年のアメリカの福祉はまだまだ充実していただろうけど、2020年7月のコロナ禍でのハーレムで暮らす「プレシャス」はもっと悲惨な目に遭っているかもしれない。黒い服を着た母親との対話のシーンでは、思わず声をあげてしまった。映画館で見てもあまりの残酷さに声をあげてしまっただろう。母親の無知無学に唖然としたが、あれがデフォルトの社会があるということだ。そういうことを人生のもっと早い段階で知っておくべきだったのかもしれない。プレシャスの母親とソーシャルワーカーが事務所でヒアリングするシーンなんて海外のドキュメンタリー番組を見ているような臨場感だった。こういうの、夜中のNHKでやってるよね、という。
素顔のマライア・キャリーが大変にキュートでほどよくくたびれた感じがとてもよかった。レニー・クラヴィッツ先生も「あ、こういう顔の人なんだ」という安心感が面白かったです。アマゾンプライムビデオでは7月14日まで無料配信中。未見の方は急げ急げ!
プレシャスを演じたガボレイ・シディベはこの年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされますが、サンドラ・ブロックが受賞。プレシャスの母親を演じたモニークが助演女優賞を受賞することでバランスを取った感じに見える。いやあねぇ、そういうの。「しあわせの隠れ場所」もいい映画でしたけれども、サンドラ・ブロックがみごとに共和党母さんを演じていましたけれども!
【第82回アカデミー賞主演女優賞リスト】
サンドラ・ブロック – 『しあわせの隠れ場所』 – リー・アン・テューイ役
ヘレン・ミレン – 『終着駅 トルストイ最後の旅』 – ソフィヤ・トルストイ役
キャリー・マリガン – 『17歳の肖像』 – ジェニー・メロア役
ガボレイ・シディベ – 『プレシャス』 – クレアリース・”プレシャス”・ジョーンズ役
メリル・ストリープ – 『ジュリー&ジュリア』 – ジュリア・チャイルド役
監督のリー・ダニエルズは、2012年に「ペーパーボーイ 真夏の引力」、2013年に「大統領の執事の涙」を撮影します。ペーパーボーイ 真夏の引力、いい映画だったという感想は持っているのに、マシュー・マコノヒーの腹筋しか思い出せない! なんたる!!!
というわけで晩夏になりましたらこの映画をみてエッロい気分に浸りましょう。なんという落ち、しかもマシュー・マコノヒーもリー・ダニエルズも関係ない! ケイト・ウィンスレットとジョシュ・ブローリン、エッロいんですよー、この映画をみたら桃を尋常に食べられなくなっちゃうくらい! みなさまもお試しあーれー。