先週日曜に読み始めた村上龍の『半島を出よ』、本日読了。村上龍の表現力って本当にすごいのね。傑作。
お話は、2011年北朝鮮の特殊部隊が巧みな外交戦術とも呼べるようなある作戦により、福岡に侵攻し制圧、そこまでがプロローグでそっから話が地すべり的に面白く動いていく。
もうね、圧巻。巻末にこの作品を書くにあたって参考にした資料が12ページ近くにも渡って紹介されていて、この小説を書くのに村上龍さんが注いだエネルギーが如何ほどのものであったのか知れるというもの。すばらしい。
村上龍さんのすごいところって、他人が全く理解できない皮膚感覚を文章に起こし、読者が的確に理解できるものを構築できるというところ。小説を読む間、行ったことのない(そしておそらく一生行くことのない)北朝鮮の貧しい農村の風景が目に浮かび、歩いたこともない福岡シーホークタウンの様子が手に取るようにわかり、味わったこともない心の病と言われるものがどういうものであるか(ここを一番訴えたかったのにうまく表現できないなー)簡潔に知ることができ、しかもストーリーはエキサイティング。
がっつり本腰入れて読み込まないと自分が負けてしまうような、一読者でさえ真剣に対峙しないと飲み込まれてしまいそうな、とても面白い小説でした。
本を読んでいる間、たとえば、作中痛みで目をかきむしって水晶体の体液をたれながしてしまう日本人のエピソードを読んだ後、あるところで同じような話を聞いたり(グロいので割愛)、SATの作戦が失敗し市民に大きな被害が出るところを読んだ次の日に長久手で立てこもり事件が起きて犠牲者が出たり、北と南で友好の証の列車が走ったりといろいろありましたが、そういう意味でも地のつながった可能性がゼロではない物語なんだと感じました。
しかし、カタルシスー。読んでない人は読めー。親しい人とは、こういう興奮を是非共有したいものです。装丁も骨太でかっこいいです。カバーの中身も男らしくてステキ。
・・・ジロ、全然見てない・・・・。
ジロを見まくっているんですが、村上龍さんの本をあまり読んでいなかったりします。
そういえば、何で読んでなかったんだろう?
面白そうなので早速本屋に行ってみまーす
>そういえば、何で読んでなかったんだろう?
わーかーるー。世の中にはそういうものがいくつかあると思います。ちょっと気合入れて読んでみてください。値段分のエキサイティングっぷりは保証しますよ!
あたしもいつか読むー!
「コインロッカーベイビーズ」はたいそうエキサイトし、
「愛と幻想のファシズム」はわけがわからず断念したけど
こんなあたしでも大丈夫でしょうか。
いけるいける!大人になったら村上龍!若いときに読むのとはまたちょっと違う感覚で味わえると思います。