ニッポンは一体どうしてこうなった/「物流の世界史――グローバル化の主役は、どのように「モノ」から「情報」になったのか?」

物流の世界史――グローバル化の主役は、どのように「モノ」から「情報」になったのか?

物流の視点からひもとく世界経済200年史。いやおもしろかった。
日本の未来も心配だったけど、自分の老後も老後資金以外の面で不安になったよ!
また本書を訳された田辺 希久子 さん、大変な力作だと思います。素晴らしかったです!

物流の世界史

ふたつの大戦前から工業国として名を馳せていたある国が、敗戦後にも政府主導の様々な保護柵策により驚異的な経済復興を成し遂げた、しかし、いまではその地域の経済の牽引役としての役目は終わり、新興の大国にあっさりと抜きされた国の話(日本)とか、1950年代の輸出産品の半分が海藻だった国が戦後、猛烈な教育投資を行い、研究開発機関を増やし、輸入規制をし、いまでは中間財の輸出国として成長を遂げた国の話(韓国)とか。バングラデシュやカンボジアが世界の洋服工場になったのか、中国がどうやってここまで経済発展したのか、アメリカで失業者がなぜこんなに多いまま置き去りにされているのか、全部俯瞰してサワリを知ることができた。規制緩和と民営化にのめり込みじゃぶじゃぶの補助金で産業を守るのはどこの国も一緒、大抵の場合、あまりうまくいってない。

世界の平均寿命はこの四半世紀で10歳伸びたそうですが、あわせて高齢化も進んでる、ドイツと日本は国民の半数が47歳以上に、ロシア・中国・米国も年齢の中央値が40歳に。日本の高齢化や生産年齢人口の減少はエグいけど、だからといって他の先進国がプギャーと笑っていられるほどでもなさそう。

その日本、2000年代の映画では海外の映画でイケてる電化製品と癒えば日本製だった。パソコンもプリンターもPCのガジェットも日本製のものがちらちら画面に写り込んでいた。G-SHOCKをつけてるひとだっていた。それがいまじゃ映画の登場人物たちが握っているのはiPhoneひとつ(中の部品が日本製じゃんって話は脇においておいて)。今となっては輸出できるものが車と漫画とアニメとポケモンくらい(最近のアメリカ映画で日本車乗っている人は、たいてい貧乏人設定)。しかもこの円安、インバウンドの幻想もコロナで消えた。漫画やアニメに夢中になって、手頃な価格帯のおいしいものを食べてヒンナヒンナしてればいいじゃん、ってわけにもいかんじゃろうー。

さて、本書は「コンテナの発明により世界のグローバル化が加速した」という視点で書かれているものですから、それを牽引した日本の造船会社の歴史も自然と気になりました。非上場の今治造船っていまどうなっているのかしらと検索したら、このような記事が、ビジネスジャーナルのサイトに。

[2019.5.8 日本の造船業、世界市場で消滅危機…国による設備縮小指導、韓国勢の市場独占許す]
[2020.4.15 日本の造船業界、存亡の危機…“地方の独立系”今治造船が“大手”JMUを救済の異常事態]
[2021.1.30 日本、造船業も中韓勢に敗北、存亡の危機…一地方造船所だった今治造船、国内トップへ]

いいところがないーーー!!! 
ポケモンとトヨタ車だけでは日本人全員が食っていけないよぅーーいけないよぅーーー!

明治維新後、渋沢栄一のような人たちが最初の30年猛烈な勢いで築き上げた工業立国ジャパンのアドバンテージを、バブル崩壊後の30年ですっかりとろかしてしまったようで切ない、さてこれからどうしたらいいのでしょう。

 

マルク・レビンソン先生、面白かったので、本作の前に出版されたこちらも読んでみます。

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版

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