武家物を永井路子でふたつみつ/「北条政子」「執念の家譜」

三谷大河は今回の「鎌倉殿の13人」で三回目。「新選組!」で「みんな死んじゃって辛い悲しい」と思い、「真田丸」で「やっぱりみんな死んじゃう辛い」とさめざめとしたけれど、三谷さんは多分、みんなが死んじゃう話が書きたいおじさんだということにようやく気がついた。そうかみんな死んじゃうのか、じゃぁその死を見届けることにしましょうと覚悟を決めて、この大河ドラマにつきあうことにした。

つい先日の日曜は曽我兄弟の仇討ちを描いた第23回「狩りと獲物」。まさか頼朝が助平心丸出しにしたばかりにまた助かっちゃう頼朝強運伝説を裏付ける展開になるとは。
それはさておき、日本三大仇討ちといわれている曽我兄弟のことをよく知らなかったので、その時代を描いた小説を読んでみた。鎌倉幕府設立に題材をとった昭和54年の「草燃える」の原作のひとつに数えられている永井路子さんの「北条政子」「執念の家譜」を手に取った(kindle unlimited)。

北条政子 (文春文庫)
初々しい政子が京都人の頼朝に見初められ結婚し、やがて東国武士団の女ボスにのし上がっていく話(すごく乱暴にまとめると)。「この人だれだっけ? あ、阿南健治さんがやってる役だ」と大河ドラマサイトの相関図を調べながら読み進める。政子の晩年直前で終わっていますが、特に丁寧に書かれていないけどたくさんの武士が淡々と退場していったもよう。これは女性の目で見た「鎌倉殿」の全体の予習本ですね。うん、こらー三代で滅びるわ。

執念の家譜 (講談社文庫)

「執念の家譜」 北条家をいつか蹴落とそうと目論む三浦家の話。メラフィス星人も苦労したのね。しかし三浦家はこうやって滅亡したのか。油壷はこわい地だ。
「裾野」 遊女虎の目から見た曽我兄弟の仇討ちを描いた短編。時政に烏帽子親になられた屈辱も、伊東家の恨みもわかる。史実にしろ、大河ドラマの中にしろ、工藤祐経は殺られ損。
「信貴山落日」 松永弾正久秀が平蜘蛛とともに果てた話。平蜘蛛偉大なり。
「群猿図」 長谷川等伯の物語。
「裏切りしは誰ぞ」 秀吉というかねねちゃんの養子だった豊臣秀秋、つまり小早川秀秋のお話。そらー関ケ原の戦いの最中に裏切ってもおかしくないですわ。わかるー秀秋のその恨み、超わかるー。
「関ケ原別記」 鳥取二十万石の若き殿様がかつての「じい」にうまいようにしてやられて人生を無駄に過ごしてしまった話。厳しい。高遠に幽閉された江島生島事件の江島くらい厳しいー。
「刺客」 大阪冬の陣直前、平々凡々だと思っていた武士がうっかり大望を抱いてしまったがために起きた悲劇。きびしいなぁー。

永井路子さんの「炎環」「つわものの賦」なども読んでみたいのですが、それだとネタバレがすぎるのでこの辺にしておきます。そうね、もうね、これからの北条義時はマイケル・コルレオーネみたいにね、バンバン抗争して、バンバン人が死んで行くんですよ。三谷さんの題材選びーーー!!

ゴッド・ファーザー (字幕版)

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