老婦人と高校生がひとつのBL作品を軸に友情を深めていくという漫画の実写化作品。単行本は全5巻、映画見終わったあと、帰宅してから全巻読み返してしまった。
老婦人を宮本信子、女子高校生を芦田愛菜。芦田愛菜をスクリーンで見るのはパシフィック・リム以来ですが、まぁまぁこんな立派な女優さんになっちゃって!
光石研が印刷屋さんのおじさん役で登場してますが、光石研の美意識からしたら絶対許せない洋服(おじいさんたちがよく着る綿とポリの混紡の地味な色の横縞のシャツ)で登場。書道教室に通って「鬱屈」「寂寥」といった文字を書くくらいの年代の孫がいる設定。おぉ俺たちの光石研がそんな年代に。
エンディングのテーマ曲は宮本信子と芦田愛菜のデュエット。最高! ほんとうに最高! 実在する書店がたくさんでてくるのも最高! ロケ地の高校がおしゃれ内装、雪さんの家は漫画よりも豪壮、つむっちとえりちゃん、身長差がアレですが、クラスの陽キャイケメン美女カップル感がバチバチにでていてよい配役!
そんなふうに、すべてが原作そのままというわけではないけれど、5巻分の物語が118分の映画の中にすべて収まっています。宮本信子が「あらーーー」と声をあげるたびに、物語が進むのです、ほんとうに素敵な老婦人を演じてくださいました。黒リュックで走る芦田愛菜がすごくいい。
※光石研が着ている洋服のサンプルです。
さて、この漫画作品の中で、老婦人と女子高生がそのBL漫画を囲んで話しているときにこんなセリフが登場します。
どうして
こんなに
どこまでも
優しいものを
作ったの
私はそのページを読んだとき、「ばかっ、やさしいのはこの作品じゃないのっ!」と思いました。
映画の中でもこのセリフが登場するのですが、「ばかっ、やさしいのはこの映画そのものじゃないのっ!」と心のなかで声をあげました。そういう映画です。なんと穏やかで愛らしい実写化作品。素晴らしいシスターフッド作品です、こういう作品も世界に羽ばたいてほしいな。
映画を見終わったあと、別の映画を別の映画館で見た友人と合流した。その映画は私も見ていて、誰かとちょっと語りたかったので好都合。お互いの映画感想会を焼き鳥屋で敢行した。「とにかく君と一発やるまで俺は帰るつもりはない」という強い意志を1mmも隠そうとしない(もちろんそのことを直接口に出しているわけではありません)声の大きい若くもない男性客がいて最悪な環境だったけど、焼鳥は美味しくて親切な店員さんのいるよい店だった。
映画化記念特製ボックス・セットが発売されています。
友達と本屋行くのって本当に楽しいよね、ほんとに楽しい。
お時間ありましたらみなさまも作品か、映画をぜひ、もちろん両方でも。