藤沢 周平の『風の果て〈上〉・〈下〉』を読んでます。今、NHKの木曜時代劇でやってるドラマの原作ですね。ドラマを見よう見ようと思ってもなかなかその時間にテレビの前に正座できないので、えぇいと原作に手を出してみました。
すごくおもしろいです。
新田次郎の「怒る富士」も農民と上級官僚の郡代との話でしたが、こちらも下士から地道に出世した郡代の物語。むー。藤沢周平っていままでどうもぴんとこなかったんだけど、ドラマのおかげで登場人物の顔立ちがくっきりして、すんなりと読めるように。文春文庫の文字間・行間の成熟っぷりがよいのかも。
この主人公(桑山又左衛門・ドラマでは佐藤浩市)の青春と夢、そして藩の中枢に食い込むまでの成長・・・そのグラデーションも鮮やかな人間ドラマでもあります。度重なる飢饉に襲われた米が中心だった時代の農政、農地の開墾、また藩内の政争が招くミステリーめいた動きという物語の筋も面白いのですが、なんといっても物語にはさみこまれている主人公たちの青春のきらきらした日々が、読者の私にまで眩しく光るのです。みずみずしい輝きを感じるのです。
「寝る前にあの本読むんだー」と思いながら、仕事をするのは楽しいものよのぅ。のぅ、ウカ之丞、あいたたた、がぶがぶがぶ。
※このドラマのポイントは、市之丞役を(あたいの)遠藤憲一さんが演じているところです。いやっほぅ! 映画「あずみ」における変態っぷりが最高でやんした、アニキー、好きー。