今週の本と映画とやまと絵展/やまと絵展がすごすぎて最後に泣いてしまったお話

概況

10/31-11/5 阪神が日本シリーズを制覇してしまった。オリックスを応援していたのだけど、中嶋監督がまだ若かったのだ、老練且つクレバーな岡田監督に負けてしまったのだ。前回の阪神優勝は1985年、その直後日本経済はバブル景気に突入したのを覚えておいでであろうか(覚えてない)。いやー。どうやって過ごせばいいのかしら、また崩壊するとわかっているものを前にして。

その他、やまと絵展で見て足と頭がクタクタになったり、ロイヤルホストのパフェを食べて唸ったり、天下富舞という品種の柿の存在を知ったり、半袖半ズボンで楽しく過ごしておりました。暦の上では晩秋のはずですが!?

やまと絵展

すごいすごいといわれていた東京国立博物館の「やまと絵」展にどれどれと行ってみた。「四時間使った」というポストを見て、おしりの時間を決めて行かないと大変なことになるじゃろうと閉館の17時にあわせ15時に入館した。
いやすごかった。書の素養がまったくないので飛ばし飛ばしで見たつもりだったけれど、館を出たのが17時ちょうど。飛ばし飛ばしで見て2時間!! 映画かな?

以下、自分メモ。
・蒔絵琴(国宝)
・源氏物語絵巻(国宝)
・伴大納言絵巻(国宝)
・信貴山縁起絵巻(国宝)
・鳥獣戯画(国宝)
・平家納経(国宝)
・月次風俗図屏風(重文)
・神護寺三像(国宝)
・山水屏風(国宝)
・紫式部日記絵巻断簡(重文)
・石山寺縁起絵巻(重文)
・百鬼夜行絵巻(重文)
・ラストの浜松図屏風(重文)

色の違った料紙をつなぎ合わせた巻物がいくつかあり、当時のイケてるデザインだったのでしょう、それには日本人の和紙好き・装丁好き・筆好きのスピリットを見た気がした。奈良時代は小さい文字でびっしり書かれていたものも、平安時代になってくるとどんどん字が大きくなり、お、和紙の生産体制が整ってきたのだなと察せられたり。和紙、すごーい。がんじょうー。

ラストの浜松図屏風はほんとうに圧巻で、「まぶしく輝く浜辺の風景に多くの花木や草花、鳥の姿を重ね、画面右から左に移ろう季節をも表した大変ににぎやかな屏風。古代・中世やまと絵のさまざまな要素を集約した、本展一押し、究極のやまと絵です」という説明書きがあるのですが、ここで音声ガイドの夏木マリが耳元で「ね、こんな優れた美意識を長いあいだ、大事に育ててきた国に生まれて、こういった伝統や文化、自然を愛する心で生きていくのって素敵じゃない?(意訳)」とささやくのです。ブワッと涙が出てしまいました、「エウレカー」と心のなかで声をあげながら。

これらの作品をすべて見るために、所蔵している寺や美術館の特別公開やらなにやらを待ちながら日程を合わせるとなれば大変な交通費と膨大な日数がかかるはず。神護寺三像なんて、神護寺にいってもポスターが飾ってあるだけだったものー、現物を拝む機会なんてこないと思っていましたものー。その点だけでも大変にコストパフォーマンスのよい展示です。鳥獣戯画がかわいいうさぎや猿だけを描いたものじゃないって今回初めて知ることができたし。みなさまもぜひー。12月3日まで。

映画「世界の果てまでヒャッハー!」

実写版シティハンターで日本中を湧かせた(少なくとも私の中では大沸騰でした)フィリップ・ラショーの映画。主人公は漫画家で、恋人の父親が経営するブラジルの自然豊かなホテルに友人たちと一緒に遊びに行くが、「娘をおまえなんかにやるものか」パパ、「あたいの面倒は誰がみてくれるんだい」おばあちゃん、「やだあのひと有名な漫画家じゃないの?」逆ナンパギャルなどに囲まれて・・・・・。

直径大きめのぼかしが何度か出てくるすっごくバカバカしいくだらない映画で最高でした! 動物の使い方がうまいです。私の中で好感度ナンバーワンのフランス人はいまのところ、フィリップ・ラショーです。ほんとうに素晴らしかった。

こっちも見てね。冴羽リョウを演じるために体重増やして筋肉つけて撮影に挑んだそうですよ。

バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー

こちらもフィリップ・ラショー作品。冴えない映画俳優の主人公は、アメリカン・コミック「バットマン」のコピー映画の主演に抜擢されるのだが・・・。

クライマックスのタイミングで主人公チームの女性俳優になぜあんなにもどっさりと緑色の粉が降りかかってしまったのだろうと真剣に見続けていくと、ある沸点に到達した瞬間大爆笑する羽目に。もう(ニヤニヤしながら)! 物語の面白さのベクトルは「いわれてみればそういう辻褄があうよね」な「カメラを止めるな」的な筋書きで、しかしフィリップさんにとってはいままでにない充実した予算のようで、ビジュアルは大満足。そしてくだらなくて最高。ウカデミー賞外国語映画賞を差し上げたい。ぼかし面積の登場シーンは少なめです、それもすっごくばかばかしいところで登場します、バカーーー!
ご興味ありましたらぜひ。

インファナル・アフェア

 

何度も見ているはずですが、アマプラで配信されていたのでまた見返した。結局は、「バカのキョン」が意外と美味しいところを持っていった映画でした。

ヤクザの下っ端が乗っているのは、日産GT-Rでした。ほかにも日本の工業製品が随所で活躍しています。2002年の映画ですが、登場する女性俳優たちは全員当時のコギャルっぽい眉毛をしています。日本の存在感たるや。香港のヤクザが安易にベンツやBMWを選んでいないところがいい。悪い人たちが集まって、美味しそうなものを囲んで食べながら悪いことを企むという図式は、後に韓国映画に引き継がれていくのです。そして韓国映画ではラグジュアリを表現する際、躊躇なくベンツやBMWを使うのです。

不思議なのは香港の公務員であるところの刑事・警察官たちがなぜあんなによい広くて良いお部屋に住めているのかということですが、その謎は2023年に見返してもわかりませんでした。

ノック 終末の訪問者

シャラマン監督作品。物語の最終盤、主人公が「なんだったのだこれは」という顔をしていたけど、私も同じタイミングで同じ顔をしましたよ。なんだったのだあれは!

ヨーロッパ史入門 原形から近代への胎動 (岩波ジュニア新書)

中学生向けに歴史のありようを大雑把に掴むための良書なのに、今年の2月から読み始めてようやく読み終えた。途中、ゲルマン人が何しようと別にそんなに私は興味がないのではないかと自問自答したりした。これを読むと、世の揉め事のほとんどは欧州が蒔いた種によるものではないかと気付かされる。住民が奴隷として刈り取られた国では、独立しても国としてもうまく機能していない国が多いというところを読んだときは、天を仰いだ。ベルギーのチョコはもう買わないんだろうな。

それにしても柿の天下富舞の糖度はおそろしいほどでしたよ。
どうしてこんなに糖度の高いしっかりした実の果物ばかり作ってしまうのか。おそろしや!!

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